英議事堂の外で襲撃、警官と女性が死亡
- 2017年03月23日
ロンドン中心部にある英議会議事堂の周辺で22日午後2時半過ぎ、通行人と警官への襲撃が相次ぎ、警官1人と女性1人が死亡した。議事堂前で警官を刺した襲撃犯は、武装警官に射殺されたという。ロンドン警視庁は、テロ事件として捜査していると発表した。
議事堂はテムズ川に面しており、議事堂の真横にかかるウェストミンスター橋では歩道に乗り上げた車両によって複数の通行人が倒された。
調べによると、襲撃犯はまずウェストミンスター橋を車で渡り、複数の通行人を倒した後、議事堂の鉄柵に激突。午後2時40分ごろに車を降りて議事堂に向かって走り、警官を刺したとみられている。刺された警官と、橋の上でなぎ倒された女性が死亡したという。
BBCのドミニク・カシアニ内政担当編集委員は複数の消息筋の話として、ウェストミンスター橋を暴走した車両に乗っていたのは2人の様子だと話している。
テリーザ・メイ英首相は同日午後にも、緊急治安閣僚会議(COBRA)を開催する見通し。
ロンドン救急サービスによると、橋の上で少なくとも10人を手当てしたという。
近くのセント・トマス病院のコリーン・アンダーソン医師によると、犠牲になった女性は現場で死亡した。
医師によると、橋の上で複数人が負傷しており、中には「すさまじい」重傷の人もいると言う。
「自力で歩けるけがの人もいれば、これで人生が変わってしまう重傷の人もいる。負傷者は十数人だと思う」とアンダーソン医師は話した。
ロンドン警視庁は事件発生から2時間以上、議員や議会スタッフ計約500人に議事堂内に留まるよう指示したほか、議会広場の立ち入りを禁止した。議事堂周辺の道路も封鎖した。
午後4時半すぎに記者会見した警視庁幹部は、テロ事件としての捜査がすでに始まっていると述べ、事件現場の映像の提供を呼びかけた。さらに、緊急車両が通行できるよう議事堂周辺に近寄らないよう市民に呼びかけた。
英紙インディペンデントのトム・ペック政治編集長はツイッターで「大きい破裂音が聞こえた。悲鳴。混乱。続いて複数の銃声。そこらじゅうに武装警官」と書いた。
英PA通信のアンドリュー・ウッドコック編集長は、議事堂北西側にあるオフィス窓から事件現場を目撃。「窓の外から叫び声や悲鳴が聞こえたので見下ろすと、(橋のたもとから議事堂前に続く)ブリッジ通りの角から議会広場に向かって40~50人が走って来るのが見えた。何かから走って逃げているようだった」と話した。
「警官がゲートを警備している馬車門にこの集団がたどり着くと、男がいきなり庭に向かって走り出した。長い包丁を持っているように見えた」
「銃声のような音を3回ほど聞いた。気が付くと地面に2人倒れていて、周りの人たちが助けに走っていた」
「武装警官がすぐに現場に到着し、その場にいる人たちにすぐに庭を出るよう怒鳴っているのが聞こえた」
現場を目撃したハーバード欧州研究センターのラドスラウ・シコルスキ上級研究員は、ウェストミンスター橋に複数の人が倒れている様子を撮影し、「ウェストミンスター橋で車がたった今、少なくとも5人をなぎ倒した」と書いた。
ロンドン警視庁は、ウェストミンスター橋で銃器事件があり複数人が負傷したとの通報を受けたと明らかにした。
ロンドン交通局は、警察の要請を受けて、現場近くのウェストミンスター地下鉄駅を閉鎖し、バスを迂回させたと発表した。