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小説版SW(スピリットワーク)、サンプル

作者:池部九郎
小説版SW(スピリットワーク)のサンプルです。
お気に召しましたら、続きはこちら〜。

http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7918684
   序


 その風景はまるで絵葉書を現実にしたようだった。真っ青な空と海、耳を澄ませば静かにさざ波の音がする。二月の澄み切った空気は微かに梅の香りをまとい、より一層景色をくっきりとさせていた。
 手つかずの自然が残ったこの場所は、実は首都圏内に存在する。千葉県凄井すごい市は、県庁所在地から少し南に位置する田舎と都会が混在する地域である。そして今、この海辺の土地にはリゾートマンションが立てられようとしていた。
 美しい自然の中に忽然と現れた赤茶けた土地には、その綺麗な景色には似つかわしくない工事車両数台が静かに鎮座していた。工事は中断しているようだ。そして黄色い車両に紛れて、一台の『千葉県教育委員会』の文字の書かれたた四WDが停車、その車の前では数人の男が口論をしていた。
「ったく、なんで今まで申請しなかったんだよ!」
 茶色の短髪に三連ピアスの男が、黄色いヘルメットを被った年配の男に食ってかかっている。双方服装はツナギの作業着。傍目からは作業員同士の口喧嘩に見えるが……このピアスの男、身分を明かせば千葉県教育委員会の埋蔵文化財調査士補である。
「これ、どう見ても貝塚だろう? 文化財保護法違反だぞ!」
 日本には『文化財保護法』というものがあり、個人の土地で土器や石器などの出土品があれば、これを所轄の教育委員会に申請しなければならないのである。しかし現実には、それらの出土品は黙殺される事が多い。申請して調査が入れば、工期は延期されて費用の増大につながる。リゾートマンションのような大規模な工事では建設会社の死活問題になりかねないのだ。法律と会社の事情に板挟みにされた現場監督は、申し訳無さそうに首をすくめた。
「おめぇ、下請けはツライのよぉ。元請けさんが工事続行っつったら従うしかねえっぺ? それに罰金二千円じゃ、マンション建てた方が得だっぺさ」
「チッ」
 現場監督の言葉に茶髪ピアスが唾を吐いた。だがこの有田という男も、本当はそこまで怒っている訳ではない。見た目から想像できる通り、有田は十代までは不良として名を馳せていた。更に高校卒業後は建築現場での作業経験もある。だから現場の気持ちもわかるのである。ただ、現場で円滑に話を進めるコツは唯一つ、『ナメられない』なのである。彼の露骨なヤンキーファッションを教育委員会が黙認しているのもこれが理由である。
「おい、発掘作業に入るぞ」
 有田が部下の発掘調員に号令をかける。二人の小綺麗なツナギの男が指示に従い、機材を降ろしに四WDへと走った。
 だがその時、説明不能な現象が突如として始まった。
「えっ!?」
 二人の発掘員は走るのを止め、顔を見合わせて硬直した。工事現場の隅に整然と積み上げられた建築資材が、突然音を立て始めたのである。勿論家鳴りのように、温度変化で建材が音をさせる事はある。しかし今ここで起こっている現象は打撃音と言うべきレベルの音で、しかも一定のリズムを持って繰り返されていた。
「ほれーまーた始まったっぺ! これで元請けさビビっちまってな、『ちゃんと発掘してお祓いしろ』って言ってるっぺ!」
 現場監督が声を上げ、有田の背後に身を隠した。ラップ音は音量と速度を増していった。耳障りな金属音は付近の丘に木霊し、まるで森が作業員たちを拒絶しているかのようだった。
「オイ! しっかりしろ!」
 有田はラップ音にすくみ上がる発掘員二人に声を掛けつつ四WDに走り、助手席のドアを勢いよく開けた。
「班長!! 出番っス!!!」
 車内では三十ぐらいのやせ型の男が、密閉型ヘッドホンとアイマスクをつけてグーグーいびきをかいていた。口元には薄笑いを浮かべ、うっすらヨダレまで垂らしてツナギの襟を汚している。
「班長! ……尾上班長!!!」
「……んが!?」
 短気を起こした有田は助手席から男を車外に引きずり出す。彼の身体は重力に従って顔面から着地した。赤土に突っ伏した男は数回ピクピクッと痙攣し、ゆっくりと顔を上げて言った。
「……うう……もう着いたのか?」
 班長と呼ばれたこの男・尾上隼人おがみはやとは完全に寝ぼけていた。おぼつかない手つきでヘッドホンを外し、アイマスクをずらしながら立ち上がる。よほど熟睡していたのか立ちくらみを起こしたようで、百八十センチほどある身体を所在なく四WDにもたれ掛けさせた。
「あんれ、この人だいじょぶだっぺか?」
 現場監督と数人の作業員が、心配そうな声で尾上を覗き込んだ。周囲の視線を浴びる中、尾上は眩しそうに細めた目で工事現場を見回した。
「……何だ、ありゃ?」
「何か見えるんですか!?」
 尾上の呟きに有田が身を乗り出す。尾上は笑いながら返す。
「縄文人が……サンバ、踊ってやがる!!」
「サンバぁ!?」
 有田は尾上の言葉に素っ頓狂な声を上げた。
 当然この会話は、現場監督には意味不明である。その上、尾上は寝ぼけ眼のままサンバを真似て踊って見せている。
「……こんの人、頭打っちまったっぺか?」
「オッサン、静かに!」
 有田が現場監督を制すると、尾上は踊りをやめて一点を睨み指差した。
「そのセメント袋の真下ぁ~~」
 尾上の間の抜けた言葉に、有田がすかさず指示を出した。
「地中レーダー、設置!」
 二人の発掘員が草刈機のような機材を運び、モニタリングを行う。地中レーダーは電磁波の反射で地中を探索する機材である。すると付属の液晶モニターが、地下二メートル付近の影を写し出した。
 即座に有田が判断し、その場にあったショベルカーを借りて一メートルほど掘り返した。土木作業の経験のある有田は、ショベルカーの操作も難なくこなす。感心しながら有田の作業を見ていた現場監督だったが、ふと後ろを見ると、尾上が辺りを睨みながら虫を払うような手付きで何かを追っ払っていた。
「……?」
 意味不明な発言とサンバ踊り、そして訳の分からない行動……もはや現場監督には、尾上は危ない人でしかなかった。その傍では有田たちが着実に作業を進めている。掘り終えた穴に有田と発掘員らが入っていく。しかし尾上は同行せず、何かを睨みつけて動かない。
「あん人、なんか怖いっぺ……目が、おかしいっぺ……」
 尾上の目は一点を凝視しているものの、その焦点は合っていなかった。
 二歩、三歩と後退しながら見守る現場監督をよそに、穴の中では発掘が進められていった。尾上の異様な雰囲気と暗い穴の中で響く怒声に、現場監督はますます後ずさりし、石につまずき尻もちをついた。それでも尾上はそちらに目を向けず、頭を振りながら威嚇するように一点を見つめている。
 だが現場監督には、尾上の視線の先にあるものは見えはしない。この見えない存在こそが怪現象の原因なのだが、常人から見れば尾上もラップ音も同一カテゴリーの異質な存在である。
「……イカレてるっぺ」
 現場監督がつぶやいた瞬間、穴の中から声が上がった。
「出ました……人骨です!」
 人骨をかざしながら有田が穴から出てきた。途端、尾上は安堵の表情を浮かべた。そして大きく深呼吸しながら倒れこみ、天を仰いで大の字になった。
「お前らの骨、丁寧に掘り出して絶対無駄にはしないからな……安心して成仏しろよ!」
 現場監督たちの怯えた視線の中、尾上の目は見えない何かが天に上って行くのを見つめていた。


◇◇◇


 考古学の調査には、おおよそ二つの業務がある。過去の資料を当たって思考と推理で歴史に触れるデスクワークと、現場に向かい自分の身体を使って発掘を行うフィールドワークと……。
 しかし発掘の現場には第三の業務が存在する。人智を超えた現象の起きる現場に赴き、その過去に心で触れるという業務である。人々は時には揶揄を込め、時には感謝を込めて彼らをこう呼んだ――心霊担当スピリットワーク――


第一章・青い目


   一


 白いワイシャツに黒いカーディガン、黒の膝丈プリーツスカートを身に付けた白島理香しらしまりかは、ペタペタと不器用な足音を立てながら給湯室から出て来た。三組の緑茶が載ったお盆を手に、慎重な足取りで隣の部屋へと入って行く。肩まで切り添えられた黒髪を揺らしながら笑顔で上司二人にお茶を配る、それが彼女の朝の日課である。だが、この日は少し違っていた。いつも館長室にいるはずの館長の百瀬ももせがミーティングコーナーに座っているのだ。今日は先ず、彼にお茶を運んだ。
「……どうぞ」
「……」
 彼は薄い頭をひと撫でして、白島が置いたお茶を睨んでいた。来客用の茶碗は百瀬の貧乏揺すりのせいで今にも零れそうである。白島は張り付いたような笑顔で会釈し、何も言わずに管理室次長の小早川こばやかわのデスクへと素早く移動した。
「百瀬館長、血管ブチ切れそうですね」
 白島の耳打ちに小早川が小声で返す。
「当たり前よ……こんなバカな話、聞いた事ないわよ……。バイトの白島ちゃんだって、あんなことしちゃダメなことわかるでしょ?」
 アームカバーをした手を頭に当て、小早川はため息を吐いた。それに倣って白島も眼鏡をクイッと上げ、眉間にしわを寄せる。そして二人は主のいない前之原まえのはら管理室長のデスクに目を移した。
 彼女らが働いているのは、緑のある大きな公園の敷地内に併設された『千葉県立博物館』、その一室にある『収蔵品管理室』である。その部屋は今、前述の通りピリピリとした空気に包まれている。そしてその原因こそが、いまだに出勤して来ない前之原なのである。
「前之原さん……管理室長とは名ばかり……なんですかね」
「実績とか実力とかツテはあるけどトラブル起こしまくりなのよ……だからどこも引き取り手が無くてうちに来たの。はぁ……」
 小早川は館長同様にため息を吐く。白島もお盆を抱きながら、その原因を思い出した。

◇◇◇


 それは昨日の事であった。
 収蔵品管理室のデスクでは、いつもの通りに前之原がお茶をのんびりすすっていた。白島が博物館のバイトの職にありついて既に三ヶ月が経とうとしているが、その間前之原が働く姿を見た事は一度もない。管理室の業務は小早川一人で切り盛りされていて前之原はお飾り。
 だからその日もくつろぐ前之原を横目に、小早川と白島が忙しく事務処理を行っていた。
 すると三時を過ぎた頃、けたたましく電話が鳴った。即座に小早川が出る。代表電話の交換係は、電話の相手を香須寺こうすじの大奥様と伝えた。
「……ご無沙汰しております、次長の小早川です……はい、その節は大変お世話になりました……はいっっ?」
 営業スマイルを浮かべつつ感じ良く話していた小早川だったが、その笑顔が突然引きつった。白島は何事かと手を止めた。
『ですから、初風炉の茶事に使用したいので、お預けしていた茶器を、一部返却して頂きたいのです!』
 丁寧な言葉の中に怒気を交えながら電話口の相手は主張する。電話を肩で挟み困惑しながらも、小早川は問い合わせのあった茶器を手元のパソコンで調べる。内容を参照すると、件の茶器には『寄贈』の文字が光っていた。
「大奥様、一度寄贈して頂いたものを館外に持ち出す事は出来ないのです」
 小早川は当然の理屈を受話器に向かって説明した。しかしその当たり前の理屈が、次の瞬間に粉砕した。
「えっ? ……寄贈した覚えは無い?」
 色を失った小早川は、該当の品を担当した者の名前の欄を辿る。そこには普段は絶対にパソコンに触らない『前之原』の名前が書かれていた。
「なっ!?!?」
 小早川は、すかさず前之原に目を向けたが既に遅し、デスクどころか室内にその姿は無かった。還暦前の老人とは思えない俊敏さである。
 小早川は先方に丁重に説明し、後ほど連絡すると宥めながら電話を切った。
「あのジジィ、やってくれたわ!」
 電話を切った小早川のこめかみには青筋が立っていた。当たり前である。『借り受け』た品を勝手に『寄贈』処理すれば、どう考えても窃盗である。公務員としてあるまじき行為である上に、今回は相手が悪かった。
 香須寺はこの地域最古の歴史ある寺である。そのため価値ある文化財を数多く所有し、博物館では展示のたびに香須寺から銘品を借り受けていた。その香須寺の大奥様がカンカン、下手をすれば裁判にもなりかねない状況なのだ。
「ああ、私の公務員人生がぁっ……とりあえず百瀬館長に連絡しないと……」
 痛む胃を押さえながら、小早川は力なく電話を取った。

◇◇◇

 お盆を持ったまま天井を見ていた白島は、小さくため息をついた。
――昨日は大変だったな。
 すると時計の針が九時を指して、館内放送が流れた。
『業務時間となりました。みなさんのお給料は大切な県民の血税で賄われております。一分一秒を無駄にしないで働きましょう』
 放送が終わるや否や、百瀬が立ち上がり悲痛の声を上げた。
「うおおおおお! 前之原さんはまだ来ないのかー!?」
 と同時に電話が鳴る。しかし小早川は首を振って出ようとしない。仕方なく白島が電話に出た。
「はい、千葉県立博物館・収蔵品管理室です……あ、前之原室長ですか? ……はい……ギックリ腰で出勤出来ない!?」
 その言葉を聞いた百瀬は白島から勢いよく電話を奪い取った。
「前之原さん……前之原さん!? ……切れ、てる……」
「逃げ……ちゃいましたね」
 ツーツーと電子音の鳴る受話器を見つめて肩を落とす百瀬に、白島は同情を禁じ得なかった。
「どーすんだよ、これから香須寺に謝りに行くってのに!」
 絶望的な声を発しながらも、百瀬はチラリと小早川と白島を見る。と同時に小早川が席を立った。そこに笑顔の百瀬がで小早川に声を掛ける。
「小早川管理室次長……、あの、前之原さんの代わりに一緒に……」
「無理です! 私はこれから収蔵品の来歴を再チェックします。室長が他にもやらかしてる可能性がありますので」
 小早川はバタンとドアを閉めて、颯爽と退室した。
「ああっ! 小早川くーん!」
 百瀬は小早川の消えた扉を悲壮感漂う目で見つめ、がっくりとうなだれた。
 白島が苦笑していると、百瀬は薄い髪を振り乱して急に白島の方に振り向いた。何事かと目を丸くする白島にすがるような目つきをした百瀬が手をすりあわせる。
「白島ちゃん、是非一緒に……」
「いえ、でも私、バイトですし」
「いやいや白島ちゃん、苦情処理も立派なバイト業務ですよ!」
 《バイト》を主張した白島に、百瀬が《業務》であることを強く申し立てた。
「でも、謝罪は責任ある方がしないと意味が……」
「だから僕が《一緒に》行くんです!」
「一緒に行くのは私の方で……あっ!」
 亀の甲より年の功。大学を卒業したばかりの白島は、百瀬の誘導にあっさりと引っかかった。
「じゃあ白島ちゃん、一緒に行きましょうか」
 百瀬はようやく安堵し、ポケットから車のキーを出す。
 観念したように白島は頷き、コートを羽織ってトボトボと歩き出した。


   二


 香須寺は市境の山の麓にあった。周りを木々に囲まれたその寺は、品格もさることながら、季節折々の絶景が拝めると有名である。この冬の季節は枯れ木となっているが、それすらも凛としていて身が清められる気がする。小さく蕾をつけた木々も、春になればたくさんの花を咲かせるであろう。
 そんな山道を百瀬が社有車で安全運転をしていた。もちろん助手席には白島が拉致られている。
「……あー、気が重い……」
「大奥様って、そんなにスゴいんですか? あまりよく知らないんですけど」
 胃をさする仕草をする百瀬に、白島は呑気な質問をした。
「そりゃあもう! あの方は香須寺の最高権力者にして幼稚園や土産物屋を運営する実業家、茶道では裏千家の重鎮、華道は小原流で、更に著名な料理研究家です。この地域の文化行事には無くてはならない人ですよ……」
「うわぁ高性能~」
「威厳ある人だから、本人目の前にして絶対そういうこと言わないでくださいよ! そんな地元の名士相手にそんなことをしたら、みんなこうなりますからね!」
 百瀬は首を切る仕草をした。
 白島がうげっと言いながら外を眺めると、寺への案内の立て看板が目立ち始めた。
 信号が赤になり、看板のあたりで車は止まる。その大きな看板には『香須寺まであと五百メートル直進』の文字、そして更にその下には『名物 香須寺のカステラ』と書いてある。
「カステラのカステラ!!」
 白島は嬉しそうな顔をして言った。
「コウスジのカステラだから!!」
 百瀬は半笑いしながらも白島に厳しい口調で注意する。白島は肩をすくめながら、再び看板をじっと見つめた。
「カステラなんて何年食べてないだろう……大奥様は料理研究家、きっと美味しいんだろうなあ……」
 白島は甘い妄想をしながら、窓ガラスにへばりついた。


◇◇◇


 香須寺に到着し車を降りて受付で名乗ると、作務衣を来た若い僧が二人を出迎えた。
「大奥様から聞いております。ご案内いたします」
 そう言われ、二人はその寺方について行く。長い廊下をミシミシと音を立てながら歩くだけで二人の緊張感が増していく。
 そして茶室へ通され適当な場所に座ると、辺りは静寂に包まれた。
 香須寺の境内に鹿威しの音がよく響く。
 白島はあたりをそっと伺う。
――教会ってパイプオルガンが響くように出来てるって聞いたことある……。お寺は鹿威しがよく響くように出来てるのかな……。
 張り詰めた空気を震わせる鹿脅しの音がまた一回。
――カステラって書いてあったよね。美味しいんだろうなあ……。
 寺の境内は、竹、紅葉や松の木々が絵のように配置され、池の周りには岩、そして玉石がぴっちりと余すことなく並んでいた。白島はどうでもよいことを考えて緊張を和らげようとしている。だが、厳格な場所に圧倒されたうえに謝罪に赴いてることもあり、緊張感は募るばかりであった。
 白島が隣を盗み見ると、百瀬もまた正座し固まっている。更に緊張を高める鹿威しの音が空気を振動させた。
「ところで……百瀬館長……これ、お茶を振る舞われるってやつ……ですか?」
「そうですよ。しかも歓迎されていないお茶……」
「失礼があったらヤバいやつじゃないですか! 私、作法とか知らないんですけど……」
「大丈夫、僕の真似してればいいから」
──お茶菓子、カステラだと良いなぁ。カステラカステラカステーラ……。
 白島は緊張感を和らげようとカステラの呪文を脳内で唱え始める。百瀬は胃を抑えたままだ。
 すると、しんと静まり返った部屋の隅にあるくぐり戸が開いた。
 と同時に寺の鐘が重厚な音を立てる。
――ひゃあっ!
 百瀬と白島は、手をついて深々と頭を下げる。
 鐘の重低音が響く中、着物姿の女性が入室し、楚々と席に着いた。
 席についたのを確認した百瀬が静かに頭を上げ、白島もそれに倣う。
「……これが、カステラの大奥様……」
――カッ、ポ~~ン。
 鹿威しが間抜けな音を鳴らした。
「カステラではありません、コウスジです。私はこの香須寺の責任者、佐藤珠子さとうたまこでございます」
「ぐふふ、砂糖卵?」
 白島の下世話な発言にも、珠子は無表情を崩さなかった。だが、白島の隣に座っている百瀬はアワアワとしながら白島の頭を掴んで土下座した。
「白島ちゃん黙って! 重ね重ね、申し訳ありません!!」
「……お話は、後ほどお伺いしましょう……その前に」
 珠子は背筋をまっすぐにし茶道具に手を伸ばすと、茶の用意をし始めた。その姿は凛として無駄がなく、とても米寿が近い老人とは思えない動きだった。
 そして立派な器に入れられた抹茶が百瀬の前に置かれた。百瀬は無難な作法に沿って茶を飲み、「……結構なお手前で」と緊張でびくびくと小刻みに震えながらもお辞儀をした。白島も真似して茶を飲み、器を回しながら手を止め、感嘆を漏らす。
「わあ~、素敵なお茶碗!」
「ちょ、白島ちゃん!」
 堪らずに百瀬が悲鳴を上げる。
「気に入っていただけましたか?」
 珠子はにこりと微笑みながら白島に質問をする。
「はい! ……専門外なんで詳しくは分かりませんが、とても可愛らしいです!」
「す、すみませんすみません!」
 百瀬は真っ青になりながらペコペコと頭を下げた。
「いいではありませんか百瀬館長……茶の湯は学問ではありません、知識ではなく心です……それを、文化財などと言って無用に価値を釣り上げるから、今回のような事が起こったのではありませんか?」
 珠子はぴしゃりと百瀬の言葉を否定し、抗議の目を向けた。それを見た百瀬は震え上がり、一歩下がって再び土下座、白島も百瀬に倣った。
「この度の不始末、誠に申し訳ありませんでした! 博物館及び収蔵品管理室一同、心よりお詫び申し上げます!」
 だが珠子の表情は険しいままだ。
「前之原室長の姿が見えませんが、室長はこんな若い子に責任を押し付けて雲隠れですか?」
「……」
 至極もっともな言葉に、百瀬は血の気を失った。いや、これは百瀬の判断ミスである。前之原が同行できないなら書面を用意し、百瀬一人で謝罪に来た方がよっぽど体裁がいい。この失態は百瀬の中に学者の甘さが残っている現れだろう。
「……」
 返す言葉を見つけられない百瀬に、無謀にも白島が助け舟を出した。
「お言葉ですが大奥様、これでも私はれっきとした学芸員です。収蔵品管理室の一員として、責任を取れない立場ではないと思います」
 『バイトだけどね~』と内心思いつつ、白島は顔を上げて珠子に視線を合わせた。ここまで言ったら後は気合いである。
「……これは、失礼な事を言いましたね」
 白島渾身の一撃は功を奏した。かえって頭を下げた珠子に、百瀬は目を丸くした。完全勝利の四文字が白島の頭をよぎる。
 『ご褒美にカステラを買ってもらおう!』白島は本気でそう思った。だが結論から言うと、この瞬間、白島は珠子の術中にハマった。相手は地域の文化を裏で牛耳る古狸である、白島のごとき小娘が簡単に勝てる相手ではなかったのである。珠子は静かに、微笑をたたえて言った。
「では新米の学芸員さんを、少々試してみましょうか?」
「はい?」
 白島は相手の真意が見えないままに墓穴に、足を踏み入れた。


◇◇◇


 珠子の案内で蔵にやって来た二人は指示された場所に緊張の面持ちで座った。当の珠子はというと、そこら中にある棚に収納されている桐の箱をいくつも出している。そして中から茶碗を出し、正座している白島と百瀬の前に一列に並べた。
「さあ新人さん……この中から最も価値ある物と、最も価値の低い物を選んでご覧なさい」
「……は、はい」
 強張りながら返事をする白島に、不安げな百瀬が小声で応援する。
 白島は口をぎゅっとつぐんだ。
――今更逃げ場なんてないよね。
 意を決して白島は茶碗を一個一個手に取った。
――あー、コレってかなり古そうだな……こっちは天目茶碗かな? でも、本物かどうか分からないし……全然分からないなあ……ってか、どうせ考えたってダメでしょう! 
 白島はすべての茶碗をいったん置き、即断で二つを選んで珠子の前に差し出した。
「選んだ理由は?」
 珠子はにこりともせず、理由を尋ねる。白島はドキドキしながらも、思ったままを口にした。
「こちらの茶器は本当に素晴らしいですね、言うなれば……鯛茶漬けが合いそうです! そしてもう一つのこっちは……いつもの昆布茶漬けを食べるのに便利そうだからです!」
 理由の例えが庶民的なお茶漬けという言葉ばかりで、百瀬はへなへなと失神寸前であった。それに反して珠子は口角を上げ穏やかな表情を見せた。
「……貴女、お名前は?」
「あ、申し遅れました。私、白島理香と申します」
「百瀬館長、面白い新人さんが入りましたね。……白島さん、合格ですよ」
 予想外の結果に、白島と百瀬は我知らずガッツポーズをした。更に珠子が茶器について補足。白島が選んだ物は初代長次郎の手による聚楽焼きと、天目茶碗の贋作だと説明した。
「貴女の審美眼、型にハマらない考え方、素晴らしいと思いますよ」
「そんな~」
 照れて視線を逸らした白島であったが、その喜びは二秒と続かなかった。
「貴女を見込んで頼みがあります」
 突然珠子が白島に向かって手をつき、頭を下げた。
「この香須寺を、助けてやって下さい」
「???」
 珠子の申し出に驚く白島と百瀬。そして、その依頼内容を聞いた二人は、更に仰天してしまった。


   三


「ただいま戻りました……」
 博物館に戻った百瀬は他の部署に用があるということで、収蔵品管理室には白島だけが戻った。その顔はやつれて暗く、幽霊みたいな表情だった。
 デスクにいた小早川が心配そうに立ち上がり、白島に駆け寄る。
「白島ちゃん! その顔ヤバいわよ」
「……エライ事になっちゃいましたよ」
 白島は香須寺の茶室で茶を飲み、茶碗の査定テストが行われたことを話した。別段おかしな事ではないので、小早川もふんふんと頷くだけに留まる。
「……で、その話が、何でその表情につながる訳?」
 小早川の問いに白島は、本題といわんばかりに声を低くした。
「あのお寺で、怪異現象が起きてて、それをどうにかして欲しいって言われたんですよ……」
「……はあっ?」
 話を理解できない小早川は目を丸くして立ち尽くした。しかしそれは白島の言葉が足りない訳ではない。クレーム処理に行ってゴーストバスターを依頼されるなんて、予想の範囲をはなはだしく逸脱している。話の落とし所に核爆弾が埋まっていたぐらいの勢いだ。
「なんでそうなるわけ?」
「大奥様の息子の現住職が霊は見えない。寺の関係者以外を招くと信用に関わる……んで、茶碗テストに合格した私に手がかりだけでもって……」
「茶碗と幽霊とどんな関係があるのよ!?」
「私にだって分かりませんよ!……ってか、幽霊なんている訳ないのに、何を調べたらいいのか……」
 事の理不尽さを思い出し、白島はがっくりと肩を落とした。しかしその横では小早川の脳内ソロバンが音もなく弾かれる……謝罪に行った先で依頼を受けたという事は、それで前之原の不始末はチャラにしてやるという事だ。これが上手く行けば県教育委員会への報告はなくなり、自分のキャリアにも傷はつかない。だが、目の前の後輩の心労を思うとそれも口にできず、小早川は無言で白島の言葉を待った。
「でも……うまく行ったら、館長が来年には『正式採用』してくれるって!」
 そんな小早川の心配をよそに、白島はむしろ目を輝かせていた。どうやら目の前にぶら下げられた餌しか頭にないらしい。
「おお、それは一石二鳥!! 私もあの迷惑ジジイと二人っきりはゴメンだったし!」
 安心した小早川は少し大袈裟に、白島を歓迎するように喜んだ。すると、二人の後方から低い笑い声が聞こえてきた。
「フォッフォッ……ヒドイ言われようじゃのう」
 今回の問題の張本人、前之原である。諸悪の根源は白く長い髭を撫で、ゆったりとソファーに座っていた。
「室長、いらしてたんですか! お身体は大丈夫ですか!?」
 心配そうに白島が声をかけると、前之原は目を細めて答えた。
「ああ、君たちが心配になって、無理して出勤してきたよ~」
 好々爺然とした前之原の態度に、小早川がすかさず悪態を吐く。
「嘘つけぃ」
 そのまま白島は自分が巻き込まれてしまった事について抗議したが、すでに百瀬から電話で報告があったらしく、前之原は眉ひとつ動かさなかった。もちろん少々注意があったようだが、『あれだけの文化財を個人が所有してるって不思議じゃよ』と、どこ吹く風である。これにはさすがの白島も呆れ返り、小早川に視線を投げた。
「今回ばかりは言わせてもらいますが、室長のやった事は犯罪──」
 室長への諫言は次長の務め。だが小早川の発言は前之原の絶叫に遮られた。
「うおおおお、腰がー! 家で安静にせねばー……白島ちゃん、駐車場まで送ってくれるかい? はい、荷物持って」
 前之原は大げさに腰を押さえて席を立ち、鞄を白島に押し付けた。
「白島ちゃん、鞄もジジイも便所に流していいわよ!」
「フォッフォッ、ワシはそんなことじゃ流れんよ。それじゃあ小早川くん、おやすみなさい」
 小早川の悪態を笑いながら受け流し、前之原はドアを閉めた。


◇◇◇


 白島は鞄を持ちながら前之原を支え、博物館の外にある従業員用駐車場へと向かった。どの車だろうと白島がキョロキョロとしていると、前之原はあの赤い車だと指差した。それは派手で真っ赤な高級スポーツカーだった。
――一体どうやったらこんな高級車が買えるのかしら?
 車を持っていない白島は少しびっくりしつつも、おぼつかない足取りの前之原を車に乗せて声をかけた。
「室長、本当に大丈夫ですか?」
「ありがとう。平気平気、車は楽でいいよ~」
 前之原は笑いながらドアを閉め、エンジンをかけた。低いエンジン音が昼食前の白島の腹に響いた。
――この車一台で、私の食費何年分なんだろう?
 不毛な疑問に貧乏の悲哀を感じつつ、白島は前之原の車を見送った……と思ったら、二十mも進まないうちに車が止まり、窓から前之原が手招きをした。
――お腹空いてる時に走らせないで~!
 泣きそうになりながら走って行くと、前之原は高級腕時計を見ながら白島に言った。
「さっきの香須寺の問題、助っ人呼んでおいたから」
「助っ人ですか?」
「うん、ここで一時に待ち合わせ。もうすぐ来るよ。白島ちゃんのことも話してあるから後はよろしくね~」
「え、あの、ちょっと!」
「フォッフォッフォッフォッ」
 呆然とする白島を残し、前之原の車は爆音を鳴らしながら走り去った。
 取り残された白島は途方に暮れた。現在時刻は十二時五十五分。相手が一時に来るというのなら、昼食を摂る時間はない。しかし白島の血糖値はとっくのとうにジリ貧である。白島は思わず通用口脇の自動販売機に目をやった。
――コーンスープが百三十円。
 白島はゴクリと唾を飲んだ。震える手が小銭入れに伸びそうになるが、岩をも砕く精神力で白島は悪魔の誘惑に耐えた。
――贅沢は敵、贅沢は敵!
 そう、今の彼女にとってコーンスープ百三十円は神をも恐れぬ贅沢なのだ。ここだけの話、実は白島は奨学金で大学に通っていた。学生時代も生活費はバイトで何とか賄っていたが、卒業した現在は更に奨学金の返済が上乗せされ、正社員でない白島は掛け値なしのド貧乏であった。ちなみに白島の昼飯は具なしの白おにぎりが一つ、もちろん自分で握った自家製である。
――ダイエット……これはダイエットよ!
 平均体重を五kgも下回って何故ダイエットが必要なのかは分からないが、とりあえず白島はそう自分に言い聞かせ、顔も知らない助っ人を待つことに決めた。
 ……そして待つ事五分、時間きっかりに待ち人は現れた。
「あの人……かな?」
 白いツナギに身をかため赤いオフロード用自転車にまたがった長身の男は、まるでショートケーキのようだ。
――ああ……ケーキ……食べたい……。
 脳みその停止した白島は、今やゾンビほどの思考力もない。
 そんな白島の思いを知らずに、男はぐんぐんと彼女の方に向かってくる。
 そこへ突然、男にしか聞こえない愛の言葉が囁かれた。
『あら、可愛い子猫ちゃんねぇ。食べちゃいた~い』
「えっ?」
 彼はキョロキョロと周囲を見回した。しかしそれらしき人影はない。
「またその辺の霊かよ。ったく、ウザいな……」
 彼はいつもの耳障りな音声がその正体だとわかると、顔をしかめた。だが、その文句のような台詞の後、彼の自転車が一瞬光った。
「えっ? えっ? あ、ブレーキが……ああああっ!」
 慌てる男、そのコース上には白島の姿があった。普段の白島なら難なく避けられただろうが、今の白島の運動能力はナマコ以下である。
「えっ? えっ? ……きゃぁ~っ!」
 白島と激突寸前に彼は自転車でドリフトし転がり、白島も受け身を取りながら転がった。
 すぐさま彼は白島を助け起こす。
「君、大丈夫か!?」
「う、うーん……ハッ!」
 頭をかばった白島のスカートは、盛大に捲れ上がっていた。白島は慌ててスカートの裾を押さえ、彼をキッと睨んだ。
「見てない! 俺は何も見てないぞ!」
 が、また再び彼にしか聞こえない音が鳴り、彼は耳を抑える。
「えっ、スイカ柄のパンツ? 三枚三百円? ババシャツがヒョウ柄!?」
「やっぱり見てるじゃないですか!」
 スカートの裾を抑えつつ立ち上がり、ブチ切れながら白島は抗議をする。
「だから俺は見てない!」
「じゃあ誰が見たんですか!?」
「うー……知らん! とにかく俺じゃない!」
 彼は顔をブンブンと振りまくる。
「なんか、疑わしいの十乗! この変態!!」
「何でそうなるんだよ! 俺は下着になんて興味ないの! 俺が興味あるのは中身!!」
「もっと変態ですよ、阿呆!!」
「中身っていうのは性格って意味じゃ、ボケ!!!」
「この流れでどうやったらそういう意味だと思うのよ! この、変態パンツ!!」
 その瞬間、白島のグーパンチが彼の顔面にクリーンヒットした。


◇◇◇


「……なんかすみません……私悪くないけど」
 ぶうたれながらも収蔵品管理室に尾上を案内した白島は、彼をミーティング用の椅子に座らせティッシュを差し出した。彼が鼻血を拭いてる側から白島が丸めたティッシュを乱暴に突っ込む。
 そんな様子を横で見つつ、落ち着いたところで小早川が二人の前に立った。
「……で、初手からこのザマは何?」
「パンツにはパンチです!」
 白島はブチ切れている。
「パンツから離れろ!」
 そうツッコミながら彼は鞄から名刺を出し、小早川と白島に差し出した。二人もそれに倣い、自分達の名刺を渡す。
 そして小早川はその名刺を見つめた。
「千葉県教育委員会、埋蔵文化財調査士・尾上隼人さんねえ……あ、もしかして、あの『教育委員会の拝み屋』の尾上さん?」
 小早川の脳内にその二つ名を持つ人物の噂が過る。『壁と会話している』『見えてはいけないものが見える』『変なものが憑いてる』『人と交友しない』……徐々に小早川の顔が曇る。
「……多分、俺の事です」
 キーワードを聞いた尾上は少し間を空けて答え、小さく息を吐いた。
「あー……あー、あー……えーっと、尾上君は前之原さんに呼ばれて、来たのよね? ってことは私は部外者ね。了解……後は白島ちゃんと話し合ってくれる~?」
「えっ、 何でそうなるんですか!?」
 白島の叫びに、小早川は満面の笑みで答えた
「地方公務員の心得その一・厄介ごとには関わらない……彼は白島ちゃんの応援に来たんだから、白島ちゃんが面倒見るのが一番よね~~」
「小早川さーん!」
 小早川は半笑いのまま会釈し、そそくさとその場を退散した。そんな小早川の態度に、尾上は目を薄く開け、苦々しい顔をした。
 尾上の脳内で過去の言葉が蘇る。
──あの人が?
──あー見える人ね!
──薄気味悪い……。
──有り得ない……。
 尾上はため息をつき、「またか……」と呟いた。白島は訳がわからず、ただ困ったようにうろたえる。
「……で、依頼内容は?」
 眉間に皺を寄せたまま、尾上が白島に質問をする。白島も気を取り直して話し始めた。
 ふんふんと聞きながら尾上は鼻をさすり、時折何かを払うように手で空気を切る。★時々尾上が「うるさい」と言い、白島の説明を止めたが何とか白島は全ての話を終えた。
「うん、大体わかった。前之原先生の頼みだし、何とかするよ」
 尾上は静かに、だが、ぶっきら棒な口調で言った。
「で、あのー……私はどうすれば?」
 白島の質問に、尾上は冷たい視線を向けて質問で返した。
「君、歳は幾つ? 専攻は? フィールドワークの経験は?」
「二十二です。専攻は仏教美術ですけど。フィールドワークの経験はありません」
「じゃあ、来なくてもいいや」
 尾上は機械的に即答した。
「……もしかして、バカにしてます?」
 白島の声には不快感が混じっていた。だが尾上は全く意に介さず淡々と答える。
「バカにはしてないよ……ただね、フィールドワークとデスクワークは全く別の仕事なんだ。考え方じゃなくて、感じ方が違い過ぎる……お互い嫌な思いをしたくなかったら、関わらないのが一番なのさ。世の中にはそういう事がたくさんある」
 用は済んだと言わんばかりに尾上は席を立った。白島も一緒に立ち上がり、自分より二十センチは大きい尾上をキッと睨む。だが尾上はそんな白島を全く気にせず、鼻をさすりながら廊下に出た。
「……」
 ミーティングコーナーに残された白島は、ムッとしながら尾上の名刺を眺めていた。



続きはpixiv上の「青い目②」にて。

http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7922867

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