朴槿恵前大統領出頭、盧武鉉氏と対照的な待遇…辺真一氏の目

2017年3月22日5時0分  スポーツ報知
  • ソウル市内の駅で、朴槿恵前大統領出頭のテレビに注目する市民(ロイター)

 韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領(65)が21日、ソウル中央地検に出頭し、親友の崔順実被告(60)と共謀し、サムスングループから巨額の賄賂を受け取った収賄容疑などで取り調べを受けた。一連の疑惑が表面化して以降、朴氏が事情聴取に応じるのは初めてで、出頭を求められた大統領経験者は4人目。今月10日に憲法裁判所に罷免され、すでに“私人”となっているが、この日はソウル市内の自宅から厳重警備で移動し、地検でも「特別待遇」を受けるなど、異例づくしとなった。

 2009年4月に盧武鉉元大統領(故人)が、包括収賄罪の容疑でソウルの最高検察庁に出頭した時には、故郷の慶尚南道金海市から5~6時間はかかる距離をバスに乗って出頭している。一方の朴前大統領は自宅からパトカーに先導された高級乗用車に乗って9分程度ですっ飛ばして出頭した。弾劾訴追された大統領という点では同じだが、その警護のあり方は対照的だった。

 良く言えば前大統領という立場への配慮だが、朴氏には今でも熱烈な支持者がいる一方で、それだけ敵が多いということだ。父親の朴正熈大統領と母親を暗殺されているだけでなく、朴氏自身もハンナラ党代表時代の06年5月、支援遊説中に暴漢にカッターナイフで切り付けられ、耳からアゴにかけて顔を約60針縫う大けがを負っている。

 連日100万人規模の退陣を求めるデモが起きても往生際が悪かった朴氏への韓国国民の怒りは収まっていない。事情聴取に応じようとせず、その間は側近と証拠隠滅のための口裏合わせをしていたとも国民から見られている。警備に神経を使う背景は理解できるが、すでに普通の人になった朴氏を特別扱いしているということに対する国民の反発はあると思う。(コリア・レポート編集長)

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