中年の敵

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

中高年の転職の最大の障害について

昨年末、42歳のときに営業部長職を任されていた会社を勢いで辞めた。現在、43歳。再就職のメドは立ったけれども、その過程における悪戦苦闘は、今も僕の中に大きなダメージとして残ってしまっている。たとえば各種申請種類に記名する際、ペンを持って「さあ名前を記さん!」と意気込むだけで、再就職活動において履歴書を執筆しているときの辛さが蘇り、涙がこみあげてきてしまう。これが戦場から帰還した兵士が悩まされるPTSD、あるいはトラウマというやつなのかもしれない。きっつー。

この文章は中年男性が転職するにあたってブチ当たった苦労と心構えについて書かれたものだ。誤解してもらいたくないのは「皆様には自分のような辛い思いはしてほしくない」という薄気味悪い気持ちから書いたのではないということだ。はっきりいって僕と同じような状況にある赤の他人が悪戦苦闘しようが露頭に迷って落命しようが知ったことではない。ただ、そうした地獄へ最短距離で向かっていく人たちを見て見ぬふりをすることにより僕自身が極楽浄土へ行けなくなってしまうのではないかという恐怖心に衝き動かされたのである。端的にいえば、毎日、日課として南無阿弥陀仏を唱えていることが無駄になってしまうのがイヤなだけだったりする。

転職に上限年齢はあるはホント??

僕の周りだけかもしれないが「40歳越えると転職は厳しい」「転職するなら35歳まで」という転職年齢上限フレーズがほとんど定説のようになっていた。実際、にその定説を恐れて転職を早めたり、諦めたりする人が相当数いた。今回の僕の経験からいえば、転職に係る年齢の上限は恐れる必要はないと思った。年齢が高くなることによって転職の難易度が上がるわけではない。もちろん、望まれていない企業に突撃すれば爆死するのは当たり前。戦略を立て、準備を怠らなければ、中高年の再就職は決して不可能ではないので現状に我慢ならないならば積極的に転職にトライしてみたほうがいい。逆にいえば、「年齢が…」といって尻込みをするようなスタンスの人は転職をしない方がいい。年齢はどんな人間でもくつがえすことの出来ない如何ともしがたい前提条件なのである。年齢をマイナスととらえるならば他の武器をつくるか見つけるかしかないのだ。ある一定の年齢を越えると転職は難しいというのは、厳しい言い方をするならば言い訳にすぎないのである。

何が中高年転職の敵になるのか?

とはいうものの中高年の転職が簡単に出来るわけではない。若者であれ、中高年であれ、転職が簡単にいかないという点では変わらない。中高年と若者の転職活動では難しさの種類が違う。その違いを難易度のアップととらえず、スーパーマリオとマリオカートが同じキャラクターを使いながらまったく異なるゲームであるように、異なるルールのゲームに取り組んでいるというポジティブな受け取り方をするだけで道は拓けると僕は思う。最大の敵は年齢ではないのだ。

ではいったい何が最大の敵、障害になるのか。技術や経験といった年齢相応に求められるものだろうか。なるべく若い人間を採用して若返りをはかりたいという企業側の意向だろうか。違う。最大の敵はもっと日常的で他愛もないもの。僕は今回の転職活動に真っ向から対峙してみて、最大の敵がよーくわかった。ひとつは「えー!この人部長だったのー!そんな立場を捨ててまで会社を辞めるなんてこの人には何か問題や犯罪歴があるにちがいない」と相手が思っているのではないかと他人の目が気になってしまうこと。つまり世間体。

そしてもうひとつ。僕のような20年近くサラリーマンをやっている中高年は、一般的に定年退職まで10数年となる。現状に不満があって転職をしたところで、たかが残り10数年のサラリーマンライフ、挑戦や改革などといった面倒くさいことをなどせずに穏便にやり過ごしたいという枯れた考え方。世間体と枯れてしまった自分、それが中高年の転職における最大の障害であった。表も裏も見てきたサラリーマンライフ。会社内のくだらない人間関係。サラリーマンであることを知り尽くした中高年が新しい会社で希望を見出すのはひどく難しい。

結果的に勢いよく始めた転職活動は、時間が経つにつれ鈍化し、当初、わずかに残っていた新しいフィールドで自分の可能性を試してみたい的なフレッシュな考えは消滅して、最終的には、ありのままの自分を省エネでいかせる同業他社へ、夢も希望もない転職をすることになるのである。僕がそうであった。今、僕は、前職と同じ食品会社の営業職として採用されることが決まり、研修と称して、某社員食堂で皿洗いをしている。何が言いたいかというと、年齢のことはあまり気にせずに転職活動にトライするのがいいと思います。ただ、準備だけはしておいた方がいい。さもないと僕みたいに皿洗いからやり直すことになるから。


執筆者:フミコフミオ

フミコフミオです。先月まで中間管理職として奮闘していたが、気の迷いで退職、現在無職のプータローの42才。90年代末からWeb日記で恥を綴り続けて15年、現在は「はてなブログ」の片隅で世の中に対して物申したり、会社の不条理に文句を言ったりする日々である。自分から一切営業をすることはないが、時折、誠実な人柄と腰の低さが買われて、オファーを受け、メディアで書いたりもする。最近のマイブームは庭いじりとプレステ4。それがロックってもんだろう?ピース!

Twitter:Delete_All
ブログ:「Everything you’ve ever Dreamed」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る