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 天平彫刻の傑作、奈良・興福寺の国宝・阿修羅像(734年、脱活乾漆造〈だっかつかんしつづくり〉)について、像を内部から支える芯木に3種類の木材が使われていたことが、九州国立博物館(福岡県太宰府市)など研究チームの調査で分かった。X線CTスキャン画像の解析から判明し、専門家からは6本ある腕の芯木を軽くする工夫だったとの見方も指摘されている。

 研究チームは、奈良時代に興福寺西金堂に収められた八部衆・十大弟子像のうち、阿修羅像を含め、ほぼ全身が残存する13体を解析。このうち12体の芯木はいずれもヒノキに限られたが、阿修羅だけがヒノキのほか、腕にスギ、最前部の左腕の手首から先にはキリが使われていたことが分かった。

 CT調査で得られた芯木内部の密度のデータと、木目の特徴などから樹種が特定できたとしている。腕の先はX線の照射範囲が狭く、解析できたのは前側左手首にすぎなかったが、残る5本の手首もキリ材の可能性があるとみている。

 阿修羅の腕は、最前部の2本以…

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