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夕歩道(夕刊コラム)

夕歩道

 健忘症を「良心を欠く償いとして、神が債務者に授けてくださる天賦の才」とは、米作家、ビアスの『悪魔の辞典』。記憶障害は本来、深刻な話なのに、そんな言われ方をされるのは誰のせいか。

 「記憶にございません」が流行語になったのは、かれこれ四十年前のロッキード事件。以来、証人喚問といえば、このせりふが重宝される。昨日は、記憶がなくなる理由の詳細な説明まであった。

 「記憶を内蔵している海馬という部分がうまく開かず、ひらがなさえ忘れた」…。脳梗塞の後遺症を軽んじるつもりはないが、その前口上ばかりやたら明晰(めいせき)に聞こえたのは、どうしたことだろう。

 

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