①経常収支・資本収支・外貨準備の関係
国際収支は経常収支、資本収支、外貨準備増減という3つの概念から成り、「経常収支+資本収支-外貨準備増=0」または「経常収支+資本収支=外貨準備増」という関係式が成り立ちます。
経常収支は、貿易収支(貿易等)、サービス収支(観光等)、所得収支(配当や金利等)、経常移転収支(海外援助等)の4つから成る外国取引を言います。消費性の高いモノやサービスの取引です。自動車や機械等はこちらに含まれます。
資本収支は、経常収支に含まれない、不動産、国債、株式などの資産の外国取引を言います。
外貨準備増は通貨当局(財務省または日本銀行)の保有する外貨のことを言います。
経常収支と資本収支は、すべて、日本円の動きを記録します。経常収支と資本収支は外国との取引なので、あたかも、外貨が動いているかのように見えますが、あくまで、経常収支と資本収支では日本円の動きだけがカウントされ、外貨やモノの動きは無視されます
例えば、国民Aが100万円をアメリカに投資しようとすると、国民Aはアメリカのドル、株式、債券などを買うために100万円を支出することになりますが、資本収支ではこの100万円を支出したことだけが記録されます。
また、その株式や債権からドル建てで配当を受けたり、売却益を受けたりした場合は、再び日本円と交換し、日本円を保有することになります。つまり、すべて日本円で清算されます。日本人にとって、基軸通貨は、あくまで日本円なのです。
その過程で一時的に保有したドルはすべて金融機関を通じて通貨当局に返してしまいます。
経常収支および資本収支の主体者は通貨当局(財務省または日本銀行)を除く政府機関および民間であり、外貨準備の主体者は通貨当局(財務省または日本銀行)です。
「経常収支+資本収支=外貨準備増」とは、通貨当局(財務省または日本銀行)を除く政府機関および民間の「経常収支+資本収支」が、通貨当局(財務省または日本銀行)の「外貨準備増」と一致するという意味です。
たまに、経常収支や資本収支をドル建てで表現しているのを見ますが、円建てが正しいのです。そのままドルで持っていることは原材料の輸入に充てようとしているなど稀であり、日本に持ち帰ればただちに円と交換するということが基本だからです。また、円と交換しなければ、日本国内での生産行為に関する利益や経費の清算が出来ません。
外貨準備高は、政府機関が外貨建てで保有します。これはこれで、通貨と言うよりも、資産と言う意味で保有しているにすぎないものです。
「経常収支+資本収支=外貨準備増」の計算は次のようになります。
便宜上1ドル=100万円とします。いま、例えば、日本企業がモノ(たとえば自動車)を一台3万ドルでアメリカに売り3万ドルを受領したとすると、日本円ではあくまで300万円に対応するモノとしての3万ドルを手に入れているのですから、一旦、300万円の売上が立ちます。経常収支では300万円の黒字となります。
経常収支では日本企業の利益は考慮されず、貨幣の動きだけが基準となります。
しかし、日本企業の手元に存在するものは3万ドルですから、一旦売上に立った300万円で3万ドルを購入しているものと見なされます。つまり、3万ドルを受け取ったときは、瞬時に、一旦入った300万円で、同時に、3万ドルを買ったと見なされるのです。
よって、「日本企業が自動車を一台3万ドルでアメリカに売り3万ドルを受領した」という取引は、その企業が300万円の売上を上げ、経常収支で300万円の黒字を出し、同時に、300万円で3万ドルを買ったと見なされます。
これは、「経常収支プラス300万円+資本収支マイナス300万円=外貨準備増0」・・・①ということになります。
その後、その企業は日本の通貨発行当局に3万ドルを持ち込み、300万円の日本円と交換してもらいます。このときは、資本取引となりますが、その主体者は企業であり、3万ドルを300万円で売ったことになります。資本収支は300万円の黒字となります。
その時、通貨発行当局は3万ドルを手に入れますから、外貨準備増は3万ドルの黒字となります。
よって、「日本企業が日本の通貨発行当局に3万ドルを持ち込み、300万円の日本円と交換してもらった」という取引は、「経常収支0+資本収支プラス300万円=外貨準備増プラス3万ドル=0」・・・②となります。
①と②を結合すると、「経常収支プラス300万円+資本収支0=外貨準備増プラス3万ドル」となります。
経常収支の黒字の累積が対外純資産になります。対外純資産は、資本取引を通じて、外国に対する不動産、株式、債権、外貨準備などの形で存在し続けます。その所有者は、政府であったり民間であったりします。
外国人が日本の資産(例えば国債や不動産)を買えば、外国から日本への貨幣の流入ですから、この取引の資本収支は貨幣の流入した分が黒字になり、日本人が外国の資産(例えば米国債)を買えば、日本から外国への貨幣の流出ですから、この取引の資本収支は流出した分が赤字というように決められています。
ただし、日本の資本収支の赤字は他方に外国資産の取得があり、買った資産は対外資産として手元に残ります。相手側には貨幣が手元に残り、貨幣が相手側の対日資産となります。相殺すると日本の対外純資産の変化は0になります。したがって、資本収支によって対外純資産が増減することはありません。
対外純資産が増加するケースは経常収支の黒字以外になく、対外純資産の減少するケースは経常収支の赤字以外にありません。
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今晩は(^_^)
優良なんでしょうね(^_^)
林檎
2016-01-17 21:04:50
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