起業時には、様々なリソースが足りていない状態にあるのが一般的です。リソースが乏しい中で事業成長を目指して戦っていくためには、効率的に成果を上げていく必要があります。
そこで、今回は、起業時に効率的に成果を上げるためのサービスをご紹介します。
インデックス
1. 社内外のコミュニケーションを効率的にできるチャットワーク
チャットワークは、業務の効率化と会社の成長を目的とした、メール・電話・会議に代わるコミュニケーションツールです。WEBブラウザやスマートフォンアプリ上でチャットによる複数人間でのコミュニケーションを行えます。
メール・電話の代わりに利用する
プライベートのやりとりでは、メールや電話の代わりにLINEやメッセンジャーなどチャットツールを利用されている方も多いのではないでしょうか。メールや電話にはないチャットツールの利点は、
複数人とリアルタイムにやりとりが可能なため、効率的かつ円滑なコミュニケーションができる所にあります。
プライベートと同様に、ビジネスでも社内や社外のコミュニケーションにチャットワークを使うことで、効率的にコミュニケーションをすることができます。
例えば、メールの場合だと、マナーとして件名の入力や「いつもお世話になっております。◯◯です。」などの挨拶をするのが一般的ですが、チャットの場合は、すぐに本題に入るのが一般的なので、テンポよく相手とコミュニケーションをすることができます。
また、メールだと過去のやりとりを見るために、都度、対象のメールを探して開く必要があり、時間と手間がかかりましたが、チャットの場合だと、そのチャットルーム内にすべての内容が集約されているので、過去のやりとりを手軽に見ることができます。
データのやりとりにおいても、メールだと、容量の大きいデータはエラーになり送信できませんが、チャットワークの場合は、転送できるファイルの上限容量が大きいため、ストレスなくデータを送ることができます。
会議の効率化に役立てることができる
起業時には、大局的な経営戦略から日常の細かい業務手順まで多種多様な課題を解決するため、社内外問わず、頻繁に会議が行われます。
会議を効率的に行い、すばやく意思決定をすることは、企業の生死を分ける大事なポイントですが、アンケート調査※によると、会議等が全体業務に占める割合は平均15.4%、「無駄な会議等が多い」「会議等の時間が長い」「会議等の頻度が多い」が問題・課題の上位にきています。
「会議等が、会社の価値創造(仕事の生産性向上、イノベーションの創出等)に貢献している」と回答した割合は、3 割強に留まっており、会議等を効率的に行えていないという会社が多いようです。
弊社では、より効率的に会議を進めるため、チャットワークで、プロジェクトごとにチャットグループを作成しています。出席者全員が時間を合せて集合し、実際に会議室で議論をするのではなく、チャットグループで会議をします。発言や資料の共有なども、時間を合わせずに行うことができるので、効率的に議論を進めることができます。
また、メンバーに変更があった場合も、チャットグループ自体が議事録になっているため、新しく参加したメンバーは過去ログを見るだけで、簡単にプロジェクトの状況を理解することができます。
このように利便性が高いため、弊社では、議論は基本的にチャットワークで進め、重要な部分や文章で伝わりにくいところなどは、実際に顔を合わせて会議をするようにしています。
やるべきことを把握できる!タスク管理機能
チャットワークには、タスク管理機能があります。
相手に仕事を依頼するときに、タスクの内容や期限を指定して、タスクを割り振ることができます。
割り振ったタスクや自分に割り振られたタスクは、タスク管理画面から確認をすることができるので一括管理すれば、タスクを忘れることや依頼したかどうかも明確になりおすすめです。
上記3点以外にも、ビデオ通話機能などがあり、業務の効率化に大変役立っています。
現在、国内でも10万社以上が導入しているため、社内だけでなく、社外の方との連絡にも使えるケースが多く、非常に利便性の高いツールです。
まだ利用されたことがない方は、ぜひ一度使ってみてはいかがでしょうか。
※「会議の革新とワークスタイル」に関する調査 2012年10月5日 株式会社NTTデータ経営研究所
2. 効率的に経理業務ができるMFクラウド
起業時に困ることの1つに、経理等のバックオフィス業務があります。特に、経理の経験がない場合は、効率的な業務手順がわからず、余計に時間を取られてしまいがちです。
実際に中小企業を対象に行われた調査の結果※でも、起業家が起業時に直面した課題の1位は、「経営知識一般(財務・会計を含む)の習得」でした。
バックオフィス業務自体は、それを行うことで売上が上がることはありませんが、事業を継続していくため、法律的側面、また、会社の現状を把握して意思決定するためにも、大変重要な業務です。
多くの人が課題だと認識してはいますが、そのために人を雇うほどの資金的余裕がないケースがほとんどです。そこで、この章では、その課題を解決するために、会計・確定申告・請求書発行・給与計算・経費精算などを効率的に行える利便性の高いサービス「MFクラウド」を紹介します。
※中小企業白書2014年版 中小企業庁
会計ソフトの仕訳自動入力による経理業務の効率化
従来型の会計ソフトだと、銀行通帳やクレジットカード明細の内容を、会計ソフトに手入力する必要があります。日付・金額・取引の相手先や取引内容等を、通帳等を見ながら会計ソフトに入力していくのですが、一つの取引を入力するのにおおよそ10秒~30秒程かかります。
一方、MFクラウドの場合は、銀行・クレジットカードの明細データを自動取得し、仕訳を自動入力してくれます。これにより、月に3時間程かかっていた作業を30分で終わらせることが可能になります。
自動入力による効率化で、会計データを早く作成できるようになれば、必要な情報をより早くインプットすることができ、より素早く意思決定ができるようになります。
またMF確定申告(個人事業主用)では、決算書および確定申告書を作成することができます。
法人用のMF会計は決算書は作成することができますが、申告書を作成するには別の申告書作成ソフトが必要になってきます。
請求書発行・給与計算・経費精算なども連動
会計は会計専用のソフトを使っているが、請求書発行、給与計算、経費精算などはエクセルを使っている、というケースはよくあります。
この場合も、エクセルで算出した数字を会計ソフトに手入力する必要がありますが、MFクラウドだと連動しているため手入力する必要がなく、入力ミスを防ぎつつ、大幅な時間の短縮が可能です。
特に、給与計算については、慣れていないため、余計に時間がかかったり、保険料率の改定が発生したタイミングで計算を間違ったりする等あります。
しかし、専用のソフトを使うことで、改定にも対応でき、ミスなく効率的に業務を行うことができます。
3. 働く場所の確保と情報収集ができるコワーキングスペース
起業時にどこで働くか(どこにオフィスを構えるか)も重要なポイントになります。選択肢としては、自宅、賃貸オフィス、レンタルオフィス、コワーキングスペースなどがありますが、働く場所によって固定費用が変わるため、慎重に選ぶ必要があります。
また、コスト面だけでなく、集中できる場所であるか、業務の効率性(駅チカである、取引先に近いなど)、場所の信用性などにも注意する必要があります。
以上の点を踏まえ、最初のオフィスとしては、コワーキングスペースをおすすめします。
コワーキングスペースとは、事務所や打ち合わせスペースなどを他の起業家と共有しながら、それぞれが独立した仕事を行う共働ワークスタイルのためのスペースです。
シェアオフィスやレンタルオフィスとは異なり、作業スペースを共有しているため、利用者同士の交流が起こりやすく、結果として、情報共有や協業が活発になります。
コワーキングスペースをどうやって探すか
コワーキングスペースは全国にあります。そして各コワーキングスペースには、起業家が多く集まるところや、デザイナーが多く集まる所など特色があります。場所や料金だけでなく、どんな人が利用しているかも調べてみるといいかもしれません。
探し方は、「地域名+コワーキングスペース」で検索して、気になるところにビジター利用をしてみる、イベントに参加して利用している方の声を聞いてみる、などの手段があります。
まだβ版ですが、全国のコワーキングスペースを検索できる「
STAAT」というサイトもあります。
コワーキングスペースのお気に入り登録などもできますので、是非一度、近くのコワーキングスペースを探してみてはいかがでしょうか。
低コストで中心地にオフィスを持てる
コワーキングスペースは、その多くが都道府県の中心地にあります。
利用料は月額1万円~3万円程度と安く、賃貸オフィスやレンタルオフィスと比べると、低コストでオフィスを持つことができます。また、家具やWi-Fi、プリンターなども最初から備え付けられているため、賃貸料以外のコストを削減することができます。
コスト面だけを考えると、自宅が最も低コストになりますが、自宅だと、TVや趣味のもの、家事、子ども、ペットなどが気になり、仕事に集中できないという方も多いのではないでしょうか。その点、コワーキングスペースだと周りの人も働いているという環境なので、集中して仕事をすることができます。
また、中心地にあるため、取引先との打ち合わせにも出向きやすく、移動時間の削減に繋がります。
情報収集や協業できるメンバー集めにも最適
コワーキングスペースでは、起業家向けにITや経理などの勉強会を開催しているところも多く、事業を有利に進めるための情報を手に入れることができます。また、いろいろな業種の人が働いており、交流も盛んな所が多いことから、協業できるメンバーが見つかることも。
更に、コワーキングスペースの運営者は、その地域の情報や、どんなスキルを持った人が働いているかなど、有益な情報を持っている可能性が高いため、運営者と情報交換をするのも事業を加速するきっかけになるかもしれません。
積極的に利用してみましょう!
4. メール・カレンダー・社内書類管理までできるG Suite™(旧 GoogleApps™)
最後に紹介するのは、G Suite™(旧 GoogleApps™)です。G Suite™は、会社名の入った独自ドメインで使えるGmail、カレンダー、ビデオ会議、大容量ストレージなどを提供してくれるグループウェアです。
クラウドのサービスなので、メールやカレンダーをパソコンやスマートフォンのどこからでも確認することができます。
情報共有が効率的にできる
G Suite™なら、いろいろな情報共有を効率的に行うことができます。
社内でカレンダーを共有することで、スケジュール調整にかかる時間と手間を省くことができます。更に、ドキュメントやスプレッドシート、プレゼンテーションなどを使えば、社内の資料管理や提案資料などの共有を簡単に行うことができます。
従来型のソフトだと、ファイルを共有するためには、全員にメールで送る必要があったり、バージョン管理が出来ておらず、どのファイルが最新版なのかわからなくなることもありました。
G Suite™だとクラウド上で同じファイルを操作するのでそういったこともなく、簡単に情報共有をすることができます。また、バージョン情報も保持しているので、過去のバージョンに戻すといったことも可能です。
複数人での同時編集も可能なため、会議をしながら資料を作り上げていく場合にも便利です。
低コストで大容量のストレージ
G Suite™の機能のひとつにGoogleDrive™というクラウドストレージ機能があります。
大容量かつ低コストで利用できます。他のサービスと合わせて、30GBで1人あたり500円程度、1,200円出せば容量無制限でストレージを使えます。
会社にある自分のデスクトップや社内サーバーにファイルを置いておくと、外出先で閲覧・編集ができないことがあります。その点、ストレージに入れておけば、外出先でもデータを閲覧・編集できたり、リンクを他のメンバーに共有できたりと大変便利です。
5. まとめ
いかがだったでしょうか。
今回ご紹介した4つのサービスは、これまで筆者が使ってみて、特におすすめできるものです。似た機能を持つ違うサービスが多々ありますので、自分に合うツールを探してみるのもいいかもしれません。
リソースに乏しい起業時だからこそ、効率的に成果を上げられるサービスをフル活用し、更なる事業の発展を目指して下さい!
(執筆:澤田、編集:マツイ)
■著者紹介
執筆:株式会社FirstStep 澤田 恭平
■メディア紹介
会社設立FirstStepは会社設立(起業・創業)&経営管理を税理士や司法書士等、経験豊富な専門家が起業家・ベンチャーの皆様をワンストップで、完全サポートしています。