（すみれ）そろそろやないかなぁって思うてるの。
（明美）うちもおんなじ事思うてた。
あ…明美さんも？
（君枝）私も。
（良子）私も。
（紀夫）それは…キアリスを引退するいう意味か？そう。
（紀夫）僕も同じ事を考えてたんや。
紀夫さんも？ああ。
（紀夫）何年になるかなぁ…。
何年やろ…。
・「『雨上がりの空に七色の虹が架かる』」・「ってそんなに単純じゃない」・「この夢想家でもそれくらい理解ってる」・「たとえば１００万回のうちたった一度ある奇跡」・「下を向いてばかりいたら見逃してしまうだろう」・「さぁ空に架かる虹を今日も信じ」・「歩き続けよう」・「優しすぎる嘘で涙を拭いたら」・「虹はもうそこにある」・「きっと虹はもうここにある」一番最初…。
あさやさんの片隅で始めたのは…。
あれは預金封鎖の年やから…。
もう３０年近く前になるのね。
あっという間やわぁ。
さくらを抱えて…。
喜代さんに支えてもらって…。
紀夫さんとも一緒に働いて…。
さくらも健ちゃんも…良子ちゃんも君ちゃんも明美さんも…。
キアリスは私の人生を大きく彩ってくれた。
（君枝）私の人生おまけの方が長かったわ。
生まれた時から体が弱くて…いつまで生きられるか分からない言われて…。
（君枝）女学校卒業した時「ああここからはおまけやわ」って。
結婚できるなんて思わなかったし子どもが産めるなんて思わなかった。
ましてやこんなふうに元気に仕事ができるなんて…。
これこそが夢なのかもしれない。
（昭一）働く君枝を見ながらずっと思っとったんやが生きがいってものすごい言葉やな。
生きがい？生きてく張り合い喜び。
それを見つけられた私はほんまの幸せ者やわ。
（昭一）そやで。
昭一さんありがとう。
わしももう少ししたら定年や。
そしたら旅行でも行こか。
フフッいいねぇ。
私ハワイに行ってみたい。
お〜ハワイか。
ええなぁ。
（良子）こんなふうに勝二さんが作ったお料理を食べる日が来るなんて…。
あのころの私に教えてあげたいわ。
（勝二）うん？あのころの私？そう。
女学生の頃の私に…。
縁談が来てるの。
縁談？１５も上のおじさんなの。
私の年で何で１５も上の人と結婚しないといけないんよ…。
断れないの？まあそら…そらそやなぁ。
結婚してすぐに勝二さんは戦地に行ってしまって龍を抱えて一人不安で不安で…。
どうか元気に戻ってきて下さいっていっつも祈ってた。
そやけど帰ってきて一緒の生活が始まったら勝二さん何にもしゃべってくれないし…。
それがこんなふうになるんやものねぇ。
勝二さんありがとう。
あとは龍だけやわ心配の種は。
（勝二）あとは嫁さんやなぁ。
（良子）そう。
しっかりした人とまでは言わないけど普通の人が来てくれれば…。
（勝二）うん。
（良子）私も君ちゃんやすみれちゃんのように孫が欲しいなぁ…。
（勝二）そんな日が来ればええけどどうなんやろなぁ。
（良子）そうねぇ…。
雪まだ降ってるのかな？ん？
（良子）あっ明美さん！お帰り。
（明美）ただいま。
（良子）早う入らんと湯冷めするよ。
（勝二）お帰り。
家の入り口がここなんやもんねぇ。
うるさくてごめんね。
慣れたわ。
（紀夫）僕かてなぁ…。
あかん。
何？言いかけてやめるなんて。
あかんあかん。
紀夫さん。
昔々の話や。
え〜？それやったらええやない。
何？よし…え〜い！言うてしまうか。
言うてしまって。
フフッ。
子どもの頃なぁ父さんに連れられてよう坂東の家に遊びに行ったやろ？うん。
お父様！
（ゆり）すみれ！
（紀夫）僕は何が起こってるのか全く分からなかったけど…。
堪忍して下さい！私があかんねん。
私があかんのにみんなを怒るのはやめて下さい！お母様が私の靴も頼んでくれたの。
麻田さんが履く人の事思うて作ってくれる靴。
女学校あがる時もお嫁さん行く時もお母様が頼んでくれた靴を履きたい！そやからずっとあさやさんで靴を作って下さい！
（五十八）そうか…。
（五十八）お前に何ぞの事があったらお母さんに合わせる顔ないやろ！お父様ごめんなさい。
うん…よう覚えてるわ。
あの日の事は。
ほんまに驚いたわ。
おとなしくてぼんやりとしたすみれが自分の意見をまっすぐにみんなの前で…。
フフフッ…。
あれが…僕の初恋やった。
え？桜並木の下女学校帰りのすみれに恋をしたのはすみれがあの女の子やったからや。
フフフ…。
はいおしまい。
紀夫さん。
ん？ありがとう。
いや〜僕こそ感謝してるぞ。
長いつきあいねぇ。
ここで一旦一区切りやな。
そうね。
（紀夫）積もるかなぁ…。
積もりますかねぇ…。
（紀夫）あっ白髪があるぞすみれ。
え？
（紀夫）抜こうか？抜くぞ。
ちょっと待ってちょっと待って。
うん抜いて。
優しくね。
ちょっと…。
イテテテテ…。
ちょっと早く抜いて。
イタタタ…。
いくぞ。
痛い…。
痛い！ヘヘヘッ…。
白いわ。
ハハハ…。
（はな）
何かに導かれ選び取り歩いてきたその道
その道があるから今がある。
今があるからこれからがあるのです
今日の「あさイチ」はよりすぐりのスゴ技をまとめた…
2017/03/22(水) 08:00〜08:15
ＮＨＫ総合１・神戸
連続テレビ小説 べっぴんさん（１４２）「時の魔法」[解][字][デ]
ワンダーランドの件を通し、自分たちの想いが次世代のキアリス社員たちに受け継がれていることを確信したすみれ（芳根京子）たちは、キアリスを引退しようと考える。
詳細情報
番組内容
ワンダーランドの件を通し、すみれ（芳根京子）、明美（谷村美月）、良子（百田夏菜子）、君枝（土村芳）は、自分たちの想いが健太郎（古川雄輝）、さくら（井頭愛海）ら次世代のキアリス社員たちに受け継がれていることを確信し、キアリスを引退しようと考える。紀夫（永山絢斗）もまた同じ思いを抱いており、社長を引退することを決意する。雪の降る夜、夫婦がこれまでの自分たちの人生をゆっくりと振り返る。
出演者
【出演】芳根京子，谷村美月，生瀬勝久，菅野美穂，百田夏菜子，土村芳，永山絢斗，平岡祐太，宮田圭子
原作・脚本
【作】渡辺千穂
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード（ステレオ）
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード（ステレオ）
日本語（解説）
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