21日のザラバにこれを書いています。今日、ニューヨーク株式市場が久しぶりに大きく下げました。
寄付き前は楽観的なムードであり、とりわけナスダックは新値を更新しながらのオープニングだったので、「下院共和党ヘルスケア・プランの審議が難航している」などの、前夜までに知られていたニュースが急落の引き金となったという説明は、信用できません。
強いて言えば上院銀行委員会の幹部、シェロッド・キャンベル・ブラウン上院議員(民主党オハイオ州)が「ドッド・フランク法の完全撤廃は起きない」とコメントしたことがバンク・オブ・アメリカ(BAC)の投資家に嫌気されました。下はSPDR銀行株ETF(ティッカーシンボル:KBE)。

むしろファンダメンタルズと、株式投資家の楽観ムードの間での齟齬が、理屈をこねくり回して正当化できないほど乖離してしまったのが、下げの原因のように思われます。
一例として、最近、米銀の融資には急ブレーキがかかっています。
景気は良いのだから融資にブレーキがかかるのは変ですが、事実として増えてないのだから、しょうがありません。
ひとつの理由として考えられることは、リーマンショック以降、銀行の融資の審査基準がとても厳格化されており、たとえば住宅ローンひとつ例にとっても以前とは比べ物にならないほどうるさいこと言われます。
また下院共和党が税制改革法案の中に国境税調整を盛り込んでいるわけですが、これは輸入品に一律20%の関税をかけるという乱暴な法律であり、小売業者はもしこれが成立すると運転資金に大きな影響が出ることを懸念しています。だからキャッシュをなるべく温存し、ムダなリスクは取らないと委縮してしまっているわけです。
銀行の貸出が思ったほど伸びない一方で、ウォール街が期待をかけているイールド・カーブのスティープ化が起きているか? といえば、これはぜんぜん起きていません。むしろ10年債利回りは低下傾向にあります。
先の第4四半期決算発表では、ウエルズファーゴ一行を除き、メガバンクで純金利マージンが拡大したところはありませんでした。そのときは経営陣から「これから拡大するから、心配するな」と言われました。
しかしイールド・カーブは全然急こう配になっていないので、銀行株は1)融資ボリュームだけでなく、2)利ザヤの面でも落胆させられるリスクが出ているのです。(強いて言えば債券トレーディングは、まずまずかもしれません)
銀行の基本的な収益性が改善を見ない中で、唯一の希望は規制緩和ということになるわけですが、そこへ持ってきて今日、上院銀行委員会の幹部から規制緩和で余りバラ色のシナリオを想定しない方が良いと釘を刺されてしまったので、投資家としては立つ瀬が無くなったというわけです。
結論としては、ファンダメンタルズを度外視し、雰囲気で株を買っている連中が慌てた…これに尽きますね。
寄付き前は楽観的なムードであり、とりわけナスダックは新値を更新しながらのオープニングだったので、「下院共和党ヘルスケア・プランの審議が難航している」などの、前夜までに知られていたニュースが急落の引き金となったという説明は、信用できません。
強いて言えば上院銀行委員会の幹部、シェロッド・キャンベル・ブラウン上院議員(民主党オハイオ州)が「ドッド・フランク法の完全撤廃は起きない」とコメントしたことがバンク・オブ・アメリカ(BAC)の投資家に嫌気されました。下はSPDR銀行株ETF(ティッカーシンボル:KBE)。
むしろファンダメンタルズと、株式投資家の楽観ムードの間での齟齬が、理屈をこねくり回して正当化できないほど乖離してしまったのが、下げの原因のように思われます。
一例として、最近、米銀の融資には急ブレーキがかかっています。
景気は良いのだから融資にブレーキがかかるのは変ですが、事実として増えてないのだから、しょうがありません。
ひとつの理由として考えられることは、リーマンショック以降、銀行の融資の審査基準がとても厳格化されており、たとえば住宅ローンひとつ例にとっても以前とは比べ物にならないほどうるさいこと言われます。
また下院共和党が税制改革法案の中に国境税調整を盛り込んでいるわけですが、これは輸入品に一律20%の関税をかけるという乱暴な法律であり、小売業者はもしこれが成立すると運転資金に大きな影響が出ることを懸念しています。だからキャッシュをなるべく温存し、ムダなリスクは取らないと委縮してしまっているわけです。
銀行の貸出が思ったほど伸びない一方で、ウォール街が期待をかけているイールド・カーブのスティープ化が起きているか? といえば、これはぜんぜん起きていません。むしろ10年債利回りは低下傾向にあります。
先の第4四半期決算発表では、ウエルズファーゴ一行を除き、メガバンクで純金利マージンが拡大したところはありませんでした。そのときは経営陣から「これから拡大するから、心配するな」と言われました。
しかしイールド・カーブは全然急こう配になっていないので、銀行株は1)融資ボリュームだけでなく、2)利ザヤの面でも落胆させられるリスクが出ているのです。(強いて言えば債券トレーディングは、まずまずかもしれません)
銀行の基本的な収益性が改善を見ない中で、唯一の希望は規制緩和ということになるわけですが、そこへ持ってきて今日、上院銀行委員会の幹部から規制緩和で余りバラ色のシナリオを想定しない方が良いと釘を刺されてしまったので、投資家としては立つ瀬が無くなったというわけです。
結論としては、ファンダメンタルズを度外視し、雰囲気で株を買っている連中が慌てた…これに尽きますね。