「京都に路面電車を」の声、再び 企業や商店街など実現模索
京都市が「歩いて楽しいまちづくり」を推進する中、事業者の間で市内に次世代型路面電車(LRT)の導入を求める声が再び出てきた。中小企業団体が市民向けの講演会を開くほか、商店街でもLRTをにぎわいの創出につなげようと模索する動きがみられる。
京都府中小企業団体中央会は、市民や観光客が移動しやすいまちづくりを通じて市街地を盛り上げようと、2月中旬にLRTの設置を求める特別委員会を立ち上げた。
活動の第1弾として23日午後2時半から、LRTの必要性を考える講演会を下京区のキャンパスプラザ京都で開く。藤井聡・京都大教授が「LRTは『歩くまち・京都』の最重要プロジェクト」と題して話すほか、LRTを市民らの回遊性アップにつなげた富山県や欧米の取り組みを紹介する。今後、具体的な路線のあり方を議論していくという。
このほか、中小企業の経営者でつくる「みやこの電車百人委員会」は今出川通への導入を目指す。河原町商店街振興組合も京都駅-四条河原町間での設置を探り、利用者数の想定や建設費の試算などを進める。同組合の宇治田脩盂理事長は「観光客の増加で、高齢者ら市民がバスを利用しにくくなっている。経済が観光客頼みにならないためにもLRTが必要」と強調する。
京都市内でのLRT導入をめぐっては、市が2007年に交通社会実験を行って検討したが、交通渋滞への懸念や採算性などが壁になり、実現のめどはたっていない。
ただ、市は「識者との会議などを通じて現在も導入の可能性を探っている」とし、「地域の事情に合ったあり方を、急がずに再度検討したい」(歩くまち京都推進室)とする。
【 2017年03月21日 22時32分 】