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【政治】

「共謀罪」は表現の多様性否定 劇作家・坂手洋二さんに聞く 

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 政府は二十一日、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を閣議決定する方針。この法案に対しては、各界に反対の動きが広がっていて、文化界でも懸念の声が上がる。昨年まで約十年間、日本劇作家協会長を務め、沖縄を題材とした作品を多く手がける劇作家・演出家の坂手洋二さん(55)に聞いた。 (村上一樹)

 −なぜ「共謀罪」法案に反対なのか。

 「演劇は人間が集まることで成立する表現。(法案は)人間同士のコミュニケーションの自由や、表現の多様性を否定することにつながる」

 −具体的には。

 「表現上、今ある仕組みに疑いを持つこともある。より面白く、深く、豊かな表現をしようとするとき、既成の枠を超えて想像することは当然ある。そうした言論、表現の自由に恣意的(しいてき)に『共謀罪』が適用されると、脅威になりかねない」

 −現実的に、どんなことがあり得るか。

 「『誰かが爆破作戦を考えている』という設定で戯曲を書くため、何人かで資料を集めたり買ってきたりすると、思いもせず『共謀』として適用されてしまうかもしれない。フィクション(創作)のためだと言っても、判断するのは捜査機関だ」

 −日本劇作家協会は二月に緊急アピールを出した。

 「二〇〇六年四月に『共謀罪に反対する表現者の緊急アピール』を出した。当時と名前が変わっても、『共謀罪』には変わりない。なぜ性懲りもなくまた出すのか。昔の治安維持法につながる法案であることは間違いない。またアピールを出さなくては、と」

 −沖縄県名護市での新基地建設反対運動に影響するとの指摘も。

 「影響は大変大きい。座り込みや、(建設現場に)車両を入れるのを阻止することも、計画段階で止められてしまう。いろんな人が勾留されてしまう恐れを危惧している」

 さかて・ようじ 1962年、岡山県生まれ。劇団「燐光群(りんこうぐん)」主宰。2006年〜16年2月、日本劇作家協会会長、現在は理事。岸田國士(くにお)戯曲賞受賞。「沖縄ミルクプラントの最后(さいご)」「普天間」など沖縄関連の作品多数。

 

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