裸ネズミのような その小さな四つの物体は
寒風の中で遊ぶ子供達の 自転車かごの中で揺られていた
たまたま通り掛かって 子供達に尋ねると
「空き地で見つけた シロの子供 シロは連れて行かれた」
野良犬シロは
産まれたばかりの子犬を残して捕獲されたというのだろうか
子犬達はすでに冷たくなっている
自分達で育てるんだという子供達にお願いして
4つの命を預かって 動物病院へと急いだ
すぐに湯舟と酸素吸入器が用意されて
子犬達のマッサージが始まった
「手が足りない 手伝って!」 「ハイ!」
湯舟で温めて 心マッサージ そして酸素吸入
素早くその繰り返し
私は獣医の手順を見よう見まねで 必死だった
「この子はもうだめだな」
ひとつの命が消えた
時間は過ぎてゆき 絶望感が漂った
「助かったとしても脳障害残るよ どうする?
楽にしてあげた方がよくない?」
「楽にって…」
「注射でね… うちらも辛いんだよね こういうの…
どうするか決めて…」
言葉が出ない
獣医は私の返事を黙って待っている 彼も辛いんだ
「おねがいします…」
喉の付け根あたりに熱い塊のような痛みが走った
小さな体に針が刺されるのを 私はしっかりと確認した
「あっ 待って! その子は動いてます ダメなんですか
助かる見込みないですか?」
最後のひとつの命を抱いて 家へ帰った
どちらにしても今夜が峠だと言われて
私は一晩中その子を見つめた
貸し出していただいたヒータープレートの上で
時折動く小さな手足が
「生きたいよ」と訴えているように思えたのだ
でも結局 それは私のエゴでしかなかった
明け方 腹部が大きく波打って最後の呼吸が止まった
私がしたことは
その子の苦しみを引き延ばしただけのことだった
ごめんね。。。
次に生まれてくる時は 暖かい所に生まれておいで
そういえば最近
町で 野良をみなくなった
地域犬とか 地域猫がいっしょに暮らす町って
羨ましい
その土地の人たちの 心の余裕が見える気がする
合わせて読んでいただきたい
ポチッと応援よろしくお願いします♪