三越伊勢丹ホールディングスは20日、三越千葉店(千葉市)を閉店し、33年の歴史に幕を下ろした。JR千葉駅前の商業集積地のシンボル的存在として長年親しまれてきたが、そごう千葉店(同)や郊外の商業施設との競争激化で業績が低迷。回復の見通しが立たず営業継続を断念した。同日には三越多摩センター店(東京都多摩市)も閉店し、百貨店の苦境が浮き彫りになった。
最後の営業日となった20日には午前10時の開店前に約550人が列を作ったことから、開店を5分前倒しした。千葉店は20日の閉店に合わせて、1月18日からセールを実施。セールによる集客効果で1月の売上高は前年同月比55%増、2月は2倍超を記録していただけに、関係者からは「もっと店の魅力を伝えられていれば」と悔やむ声が聞かれた。
閉店に際して千葉店の北條司店長は「店で働く者としてチャンスをいただき、再生したかった」と唇をかみしめた。ただ、千葉から完全撤退するのではなく、閉店後も顧客からの要望が多い学生服の常設ショップや外商顧客向けサロンなどは近隣に設置する。
千葉店は旧三越(現三越伊勢丹)が地元百貨店に資本参加した上で、84年に三越の看板に切り替えることで営業を開始。JR千葉駅近隣の立地を生かして集客し、91年度には売上高が507億円に達していた。ただ、バブル崩壊による消費低迷に加えて、そごう千葉店が開業するなど競争環境が激化。店舗の老朽化などもあり、15年度には126億円にまで落ち込んでいた。
千葉中心部は昨年11月末にパルコ千葉店も閉店に追い込まれており、空洞化に拍車がかかりそうだ。