【ソウル聯合ニュース】米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の在韓米軍への配備決定以降、中国が韓国企業に報復とみられる一連の経済的措置をとっている問題で、韓国政府は世界貿易機関(WTO)に国際法違反の可能性を公式に提起した。
韓国産業通商資源部の周亨煥(チュ・ヒョンファン)長官は、20日開かれた国会産業通商資源委員会の会議に出席し、「17日にWTOサービス理事会に観光・流通分野の中国の措置に対するWTO協定違反の可能性を正式に提起し、中国側に義務を順守するよう要請した」と述べた。
周長官は中国政府がWTOに対しTHAADをめぐる報復措置を行ったとことは認めないだろうとの見方を示した上で、「蓋然性については(韓国)政府がはっきりと指摘しなければならない」と強調した。
また、「引き続き証拠を確保しつつ、韓国企業が不当な待遇を受けている問題に適切に対応したい」と述べた。
韓国政府が問題にしているのは、WTOの基本原則である「最恵国待遇」と「内国民待遇」の協定違反だ。
最恵国待遇とは、ある国が外国に付与する最も有利な待遇を協定相手国にも付与するものだ。内国民待遇は外国人を自国民と差別せずに同等に待遇することを指す。
産業通商資源部の関係者は「WTOに対し中国側の措置が最恵国待遇、内国民待遇に背いている可能性がある点を公式発言したのは間違いない」とし、「さまざまなチャネルを通じて中国に圧力をかける」と説明した。
ただ、今回の問題提起はWTOへの提訴を意味するものではない。
WTOに提訴するには具体的な証拠が必要だが、中国の措置は口頭で下されるか国内法を口実にしており、証拠を探すのが困難な状況だ。従って、中国の国際法違反の可能性に対するWTOの調査はすぐには行われない見通しだ。