2008年の世界的な金融危機以降、低迷を続けてきた世界経済がほぼ10年ぶりに回復局面に差し掛かっているとの分析が聞かれる。米中という二大国と先進国、新興国の経済指標が一斉に改善の兆しを見せている。英経済誌「エコノミスト」最新号は「世界の景気は製造業で回復基調が目立つ」とし、「世界経済の驚くべき成長」という見出しを掲げた。
米国の2月の就業者数が市場予想を上回る伸びを示す一方、失業保険の請求者は過去43年で最低となった。ユーロ圏の1月の新規雇用創出は9年ぶりの高水準となり、日本は今年の経済成長見通しを上方修正した。年初来の輸出が11%増加した中国をはじめ、インド、ロシア、ブラジル、東南アジアなどの新興国経済も不振から脱出しつつある。
世界経済の「春」が訪れたかどうかはまだ断言できない。しかし、少しずつ改善しつつある流れに韓国だけが乗りきれておらず心配だ。成長率はようやく2%台で、内需は冷え込んでいる。家計の消費性向が過去最低に落ち込み、小売売上高はマイナスを続けている。失業者数は過去17年で最多となった。各種指標のうち、唯一好調な輸出は一部大企業に限ってのことで、中小企業や庶民経済に春風は吹き込んでいない。世界の主要経済圏でほぼ唯一だ。
対外環境が好転しても恩恵にあずかれないとすれば、それは韓国の自業自得だ。不振業種の構造調整を進め、産業の競争力を高めるための努力を怠った。大宇造船海洋、海運業の構造調整は遅れに遅れ、まだ進行中だ。規制を緩和し、新産業を育成するのではなく、政府は資金を供給し、不動産価格を上昇させる政策に依存。国会は経済活性化法案成立の足を引っ張った。その結果、経済活力がなくなり、家計債務ばかりが雪だるま式に膨らむ歪んだ経済体質となってしまった。
韓国経済学会はこのほど開いた政策セミナーで、韓国経済が直面する状況を「絶対的危機」と警告した。政界、政府が今からでもしっかりしなければ、世界経済が実際に回復してもその列から落ちこぼれ、好景気は他人事になってしまう。