意識高い系某ニュースメディアに法的措置をちらつかされた話
※本記事は再度法的措置を招聘されても困るので3/20のみ公開します。
父の初お彼岸だったり記事の修正だったりで楽しみにしていたYU-NOが遊べず残念な気分の蟹です。こんばんは。
さて、表題の通り会員200万人を擁するメジャーメディア、News Picks様より弊サイトの記事に対し修正してほしいとのメールをいただきました。しかも「本件、ご対応をいただけない場合は法的措置も想定しております。」とだいぶ強気な姿勢です。恐ろしいですね。応じなかったら裁判ですよ。裁判。
さすがに法的措置は困るということで会員200万人パワーの前に屈してしまったわけですが、まあ要望通りご対応したわけだし、反論くらいは書いてもよかろうということで、本記事を掲載いたします。
あ、会員200万人というのが、先方から送られてきたメールの冒頭に「NewsPicksはニュース記事にコメントができるサービスで現在200万ユーザーがおります。」とわざわざ書いてあったので、敬意を表して書いているだけです。他意はありません。個人的にはこの200万人が全部有料会員なのかどうかが気になるところですが。
なお、ここからはTwitterでおなじみの「蟹節」でいきます。お湯に突っ込んだら美味しそうなダシがとれそうですね。
あらかじめ言っておきますが、別段News Picksや文中に登場する人物そのものを批判するための記事ではありません。あくまでこういう経緯があって法的措置がどうこうと言われたんですっていう記録ですので、あしからず。法的措置とかやめてね。
■どうやらふざけたタイトルをつけたゆえに怒られたらしい。
事の発端は「残業100時間超で過労死は情けない」とのたまった某教授の発言を弊サイトで取り上げたこと。教授の名前は出しません。だって法的措置怖いもん。誰のことかは適当に調べてほしい。Google先生はすぐに教えてくれるはず。
60歳超の元企業役員の発言としてあまりに情けないので「おお社畜よ、残業100時間で死ぬとは情けない」とちゃかして書いたところ、本タイトルと記事の内容が某教授への中傷に当たると引用元のNews Picksならびにコメントを書いた某教授から物言いがついた。
メールを晒すような趣味はないので要旨だけ書くと、私が書いた某教授のコメントに関する記事は「内容に違いがあり」「本タイトルは、実際のコメントと異なるだけではなく、某教授本人を中傷した内容です。特定の対象についてのコメントではありません」だそうだ。
どのへんが誤りでどのへんが中傷なのかの指摘は一切なし。ついでに「特定の対象についてのコメントではありません」は主語がないから分からない。だいぶ雑な仕事してきたなぁ…とメール本文を見て思ったけど、まあこの辺の推測は後ほど。ついでに特定と対象とやらも後述。
あ、太字の部分はメールの文言ね。言わなくても分かると思うけど。
で、上記にあるとおり修正に応じないと「法的措置も想定しております。」と。
まあね、確かに茶化して書いた私も悪いよ。
でもね、記事の内容はちゃんと某教授が厚生労働省が発表した「過労死白書」についてのコメントであると明記した上で、「残業100時間超で過労死は情けない」と正確に某教授のコメントを掲載した。
本件を扱った多くのメディアは「残業100時間超で自殺は情けない」との表題をつけている。当初は朝日新聞社をはじめとしたナショナルクラスのメディアもそうだった(現在は訂正)。そんな中でも、うちはちゃんと問題発生当日から正確にコメントを引用させてもらった。
その上で、某教授の世代の仕事観や残業に対する考えと、現役世代の考えの溝がなぜ生まれてしまったのか、という分析を試みた。すなわち某教授がどうこうというより、この発言が発せられた世代ごとの経済や労働環境の違いを論じたものだ。
なぜ多くのメディアがこんな錯誤をしてしまったのか。
これは某教授の発言が、当時炎上していた電通過労自殺と関連があるように世間が思ってしまったからだ。
もう一度言うが、某教授の発言はあくまで過労死白書の内容についてだ。電通過労自殺の件とは関係がない。上記の「特定の対象についてのコメントではありません」の特定の対象というのは、過労自殺で亡くなってしまった新卒女子社員の事だ。News Picksに言われなくたって分かっている。むしろ、うちの記事をちゃんと読んでくれれば過労死白書についてのコメントであるとしっかり書かれていることが分かるはずなんだけど…??
もしかしたら「社畜」が電通の自殺してしまった女子の事かと思ったのかもしれないけど、違うから。これは現役世代全員を対象とした言葉なの。だから特定の対象のコメントではない…ってあれ? もしかしたらタイトルを事実誤認してケチつけてきたのは向こうの方? もしかして私たち入れ替わってる!?
なお、これら錯誤の原因は某教授のコメント自体にある。なぜ某教授が100時間超というキーワードを出してきたのか、ここが要点。
某教授がコメントした過労死白書についてみてみれば、それは分かる。過労死白書によると、最も過労死が多いのは「80~100時間未満」となっている。
じゃあどこから100時間超というワードが出てきたのか、という話になるわけで、そりゃ朝日新聞他大手メディアも錯誤するのは当たり前ですよね。それでも弊サイトは電通過労自殺とは無関係なコメントと紹介していたんだけど、結果として中傷や事実誤認や法的措置とか言われてるわけですよ。不思議な話ですね。
そして現時点においても多くのメディアが「残業100時間超で自殺は情けない」とのタイトルをつけている。弊サイトを中傷だと訴えるのなら「残業100時間超で自殺は情けない」と誤った記事を未だに掲載してる他のサイトを訴えた方がいいのでは?
確かにうちは茶化したけど、「自殺」という言葉は使わなかった。だって自殺って言葉は使ってなかったから。でも過労死とは書いてあった。だから「死んでしまうとは」と、ほぼ某教授の発言をなぞった文言を使った。元ネタはドラクエなのですが、伝わりませんでしたかそうですか。
なんとなく発言の真意を理解されなかった某教授の気持ちが少しだけ分かった気がしましたよ。
■法的措置の前に「会話」がほしかった。
他にも削除要請の理由として、中傷に加えて私がコメントを無断転載したこと、本件について某教授がすでに謝罪したことをあげている。
News Picksが中傷や無断転載(引用のことか?)と言う時点でなんとなくフフッと笑いが漏れてしまいそうだけど、そこは我慢だ。
中傷については上記で説明した通り。某教授の発言をかなり正確にトレースした上で(なおかつコメントの中の賛同できる部分には賛同した)、しかし彼の発言の裏側にある、彼らの世代の見当違いを批判した記事である。もとより某教授への中傷の意図などない。むしろ知り合いでもない人間を中傷するメリットがあるのか?って話だよ。
私は某教授とは当然面識はない。何をやっているかもしらない。記事を書く上で所属する大学でのプロフィールを参考にさせてもらったが、それだけで某教授の人となりが分かるわけではない。なので記事では某教授の人格については触れることはしなかった。むしろその経歴に敬意を表し、優秀な方だ(それゆえに誤謬がある)とさえ書いた。もちろん、これは皮肉ではない。
何度も書いているが、某教授の世代の人たち多数と話した結果、私たち現役世代とは考え方が違う、ということを示しただけ。
本メールによれば某教授が削除と訂正を要望しているとのこと。
コメントについても記載した当事者に権利があるわけで、そのコメントを取り下げたり、コメントへのレスポンスにあれこれ言う権利はあると思うよ。教授が謝罪したのも知ってる。個人的には「過労死白書についてのコメント」ならば謝罪も取り下げる必要はないと思うんだけどね。誰にでも舌禍というものはあることだし、ここをとやかく言うつもりはない。
でもね、謝罪をしたと言いながら、自分のコメントを批判したサイトに対し即「法的措置」というのは、ちょっと反省具合を問われても仕方ないんじゃないかな。
とまあ、言い返したいことはいろいろあったんだけど、法的措置にビビった弊サイトはNews Picks及び某教授の要請に従い即リライトですよ。だって怖いですもん、裁判。会話もなしに法的措置だと脅してくる人たちと会話が成立するとは思えないですし。
News Picksから要請され、リライトした記事はこちら。
・【ニュースの小ネタ】元モーレツ社員と現役世代の「残業100時間」をめぐる世代間ギャップ
これ、ほぼ某教授の発言を抜いただけの記事です。でも私が言いたいことは伝わると思う。
私自身も月150時間に及ぶ残業を半年も続けて心身共に壊した人間なので、正直某教授の言葉には頭にくるところがあった。またこの問題の前後で、日本経済のシュリンクをさも小賢しげな顔をして語る50~60代の人たちとTwitterでバトルしていたこともあり、60代の人たちに対して激しく絶望している時期だった。
なので過激な書き方をしたかもしれない。
しかし実際の発言に基づいた内容であり、指摘のような中傷の意図もなければ某教授の発言に対して事実誤認もないと私は思ったんだけどね。
要するに、削除してほしいなら、それなりの理由を指摘してほしいということなのよ。
「中傷にあたる」「無断転載は禁止」と大雑把な理由を叩きつけるのではなく、こちらの記事のこういうところは問題です、みたいな指摘であれば、こちらもこんな記事を書き散らさずに「なるほど、では修正しますね」と納得の上で訂正に応じたよ。
ただそれだけ。それが人間同士のコミュニケーションってもんじゃん。
でも、向こうは初手から「法的措置」という言葉を使ってきた。
なぜ法的措置という言葉を最初から使ってきたのかと言えば、おそらく「法的措置」という言葉を使えば相手がすぐに黙るだろうと思ったからだろうね。
まあ、会員200万人のサービスからすれば月間PV5万程度の弊サイトなんてゴミくずみたいなものだろうし、ゴチャゴチャ言われる前に法的措置をちらつかせて上から叩きつぶした方が早いしね。
なので会話することすらめんどくせぇって思うは分かるよ。ラクだもんね、法的措置って言葉を使えば自分の意のままになるんだから。とんでもないマジックワードですよ。
でもさ、少なくとも言論でメシを食ってる教授なりメディアなんでしょ? いきなり法的措置をちらつかせて黙らせるのは、ちょっとスマートじゃなくない?
仮にもジャーナリストだろ? 教授だろ? メディアだろ? だったら裁判を起こすなんて大げさな事を言う前に言葉で戦えよ。
こっちはNews Picksの1/100しかPVがない弱小サイトだよ。そんな零細相手に大上段から「法的措置」という言葉で殴りかかってくるのが、自分らのジャーナリズムに合致するのか、今一度考えてくれ。
というか、批判されるのがイヤならチラシの後ろにでも書いておけ。
零細サイト相手に会話なんてめんどくせぇってカンジになったんだったら、気に入らないけど同意するよ。私もNews Picksの担当だったら同じ判断しただろうしさ。でも、私が同じ事やったとしたら「かっこわるい」と思うだろうね。自己嫌悪に陥るよ。そんなゲスな仕事をしてしまった自分がイヤになって週末は飲みまくるだろうね。
少なくとももっと自由な経済誌を標榜している会社の社員だったら。
■メールの開示を行わなかった理由
この手の抗議記事では定番のメール晒しだけど、今回はやらないことにした。
今回の記事はあくまで某教授およびNews Picksのやり方がスマートではない、と言いたいだけであって、両者を侮辱したいわけでもない。突然法的措置と言われて驚いた、という話をしたいだけなので、メールを晒して辱めるような事はしたくない。
というか、メールの文章が読んでいてこっちが不安になった。書いてあることが不穏だから、とかではなく、書き手の迷いというか、手探り感が文章からにじみ出ていたから。文法もめちゃくちゃだし、これが仮にも経済誌を名乗るネットメディアが送ってくるメールなのかと正直思ったよ。
ホントにメール送るのイヤだったんだろうね。どういう経緯でこうなったのかは分からないけど。読んでて可哀想になってしまった。
なので今回はそのメールについては公開をしないことにした。
実際、コメントの当事者でもないのに、上司なりクライアントに「法的措置をちらつかせれば黙るから」とメールさせられる係にさせられたら、そりゃイヤになる。最悪自己嫌悪に陥るよね。
私はチキンなんて法的措置って言葉に簡単に屈したけど、相手がどのような反応を示すか分からないわけだし、最悪ハンパない法律力で反撃をしてくるかもしれない。
ましてうちは団長がセクシー男優の記事を書いている。しかも男優さんたちと仲もいい。女優でなく男優よ? 明らかにガチっぽいじゃん。怪しさ満点だよ。こんな得体の知れないサイトへの抗議のメールの仕事なんて、私だったら絶対お断りしたいもんww
メールの結果として先方、すなわちうちが大激怒して想定もしていない対応をしてきた場合、責任をとらされるのは「相手を怒らせるような」メールを送った担当者になってしまうかもしれない。こう考えたら可哀想だと思っちゃってね。
可哀想だと思ったらこんな記事書かなくてもいいのにって? それは私の腹の虫の問題なんで。(今のところ)3/20だけの公開予定ですしね。
なので、記事を書く上で必要な部分だけ引用しました。何か言われたらエビデンスとして全文提示しますけどね。
あと元の指摘を受けた文章が読めないから判断がつかない、とも言われそうですけど、だって公開したら中傷で法的措置が発動しちゃいますんで。怖いじゃないですか、裁判なんて。
まあ、そういう話です。
最後に豆知識。本当は法的手段をとるつもりないのに、「法的手段に出る」と言って相手になにかを強要した場合、これは脅迫罪になります。News Picksならびに某教授は本当に法的措置をとるつもりでうちに連絡してきたのだろうと思うので大丈夫だとは思いますが。
でも法的措置という便利な言葉でマウンティングしていると、そのうち痛い目にあっちゃうかもよ。気をつけましょうね。
あと、News Picksは悪意のある転載(引用)は禁止らしいので。本記事を含めてうちのサイトの記事もピックしないでくださいね。ピックされても法的手段には訴えませんけど、記事は書かせていただきます。他社を提訴する余裕がない零細メディアができることは、こうしてテキストを書くことだけですので。
※本記事は再度法的措置を招聘されても困るので3/20のみ公開します。
(文/赤蟹)



