日曜日, 10月 23rd, 2005 | Author:

 10月18・19日に無事カレー大会が終わりました。園児たちの満足そうな顔々に引き換えて、皮むき器、包丁についてくださった保護者からは、ひやひやし通しだったとの声が相次ぎました。刃物を使う以上当然といえば当然なのですが、それで第1回から10年間、事故なく来られたのですから、園児の力を信じていきたいと思います。もちろん、保護者の方たちがしっかりついていてくださったからでもあります。じゃがいもをメイクイーンに統一すべきだとか、子ども用の皮むき器を幼稚園で用意してほしいとかの要望については、これから検討していくことにします。

 さて、今日の話題は一見あまりに現実離れしたものと受け取られかねないものです。職員全員で継続的に研修の時間を持っていて、現在は埼玉短大教授金子保著『親とともに乗りこえる問題行動』を読んでいます。いま「自閉症の行動特徴と治療指導」というところに来ていて、「乳幼児期にテレビ・ビデオ視聴の長い子どもは、自閉症的な行動特徴を示す」などということを学んでいます。テレビ・ビデオが、視力障害、健康障害を引き起こしたり、家族間のコミュニケーションの時間を奪ってしまったりすることについても、よく言われているところです。
 ちょうどそういう時に、えっ、ここまで事態は深刻になっているのと、思わずうなってしまうものに出会いました。昨年2月に日本小児科医会「子どもとメデイア対策委員会」が親たちに示した助言です。5項目あります。
(1)2歳までのテレビ視聴は控えましょう。
(2)授乳中・食事中のテレビ・ビデオの視聴はやめましょう。
(3)すべてのメデイアへ接触する時間を制限するのが重要です。1日2時間まで。テレビゲームは1日30分までを目安と考えます。
(4)子ども部屋にはテレビ・ビデオ・パソコンは置かないようにしましょう。
(5)保護者と子どもでメデイアを上手に利用するルールを作りましょう。
 これは、アメリカの小児学会が親に対して示した助言を参考にしたもののようです。アメリカのものには、「メデイアを子守代わりに使用しない」という、耳の痛いものもあります。
 
 時代の先端を行くものとしてパソコンの習得を授業でやっている小学校があります。幼稚園さえあります。しかし、そこで習得したパソコンで、子どもたちはなにをしているでしょうか。チャットで悪口を言い合って、殺人にまで及んでしまった事件はまだ鮮明です。出会い系サイトで、犠牲になる少女の話は、もうニュースにさえなりません。思春期に必要な読書の時間など取れないことは明らかです。自分の部屋に閉じこもって、家族との団欒の時間など取りようがありません。ゲーム脳になってしまうことさえ警告されているのです。子どもにパソコンは不要なのです。
 ではなぜ学校でパソコンを使うのでしょう。それに対して、もうひとつショッキングな事実を紹介します。パソコンを学校に導入する事を決定したのは文部科学省ではなく、通産省だったということです。教育的見地からでなく、景気浮揚策の一環として導入されたのです。その結果、幼児児童生徒すべてが、パソコンを扱えることが時代に取り残されないために必要なのだと錯覚させられて、浮き足立ってしまっている。ほんとうは、パソコンが必要な時がくれば、否応無しに使うようになるのです。
 これは、時代の流れに逆行する考えでしょうか。そうだとして、その時代の流れとは正しいものなのでしょうか。欧米では、幼児が9時10時まで起きていることは異常なのだそうです。時代の流れと見えるものも、実は日本だけの異常な状況なのではないでしょうか。授業崩壊が広がり、切れる子どもがやたらと増え、思考力、集中力、持続力、体力さえ欠如した子どもたちが増えてきている現在、私たち親がメデイアの功罪をしっかり見据えて、子どもたちを守っていかなければと考えます。

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