神戸アートビレッジセンター(KAVC)では、アーティストとKAVCが協働して展覧会を創り上げるExhibition as media 2016-2017「とりのゆめ / bird’s eye」を開催いたします。
出品作家には、地域の歴史を掘り起こし、再編集して作品を発表する美術家・伊達伸明氏と、建築をベースに活動する建築リサーチャーグループのRAD木村慎弥氏、リサーチ&ドキュメンテーションに同じくRADの榊原充大氏を迎え、KAVCの建つ新開地をテーマに展覧会を創り上げます。
ある都市を知ろうとするとき、人はその都市を歩く。目に見える都市の状態からだけではその都市を知ったことにはならないと感じたとき、人はその都市の歴史に当たる。固有の年号とともにかつて書かれたその場所の歴史をひもときながら、時制の定かではないその都市の物語と出会う。「昔々」とはじまるそのエピソードは、確かにその都市の成り立ちに触れていると感じるが、それが本当にあったことなのかそうでないのかを判断することができない。その物語を支持するとされる過去の断片と、それが土地の神話であると「されていること」から、それがその都市のために書かれた物語であることを信じ、その都市を以前よりもより深く知ったということにする。 はたして都市を「知る」ということはどういうことか。そして、おおよそ嘘であることが確からしい、ある都市のために書かれた物語に私たちはどのように向かい合えばいいのか。この展覧会は、こうした疑問に答えたり答えなかったりするものである。榊原充大
「知らんけど」から始まる/まちの楽しみ方
本展覧会では、まちを楽しむ手法として編み出された「しらんけど考古術」という新しい切り口を提示します。
時として荒唐無稽な民話や昔話の方が史実よりも土地への親近感を喚起することがありますが、この手法は、現代の事象からさかのぼって創作した「地域の誕生秘話」をもとに、空想の翼を持って今の風景情報の見方を探るという試みです。
過去/現在、事実/空想を軽やかに行き来しながら、多角的に土地を愛でることを目的とした展覧会を是非お楽しみ下さい。
「遺産創造という考え方」