岡山大学の窪木拓男教授らは理化学研究所と共同で、歯のもとになる細胞からイヌの歯をつくる実験に成功した。今後、iPS細胞などから人の歯を再生する歯科治療などにつなげる考えだ。
16日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。
研究チームは、生後30日のビーグル犬の子犬の口から、乳歯の下にある、将来永久歯に成長する2種類の細胞を取り出した。これを組み合わせて実験室で培養し、細胞の塊をつくって同じ子犬のあごへ移植した。
半年後には天然の歯と同様、あごの骨に根を張った歯が成長した。エナメル質などの構造や、歯根を保護する膜も正常にできていることを確認した。
これまでマウスで歯を再生した実験はあったが、マウスはげっ歯類で、人間とは歯の生え方が大きく異なる。生え方がより人に近いイヌで成功したことで、今後、人の歯の再生治療の実現にはずみがつきそうだ。
今回はもともと歯に育つ細胞を使ったが、研究チームは今後、体の様々な組織の細胞になることができるiPS細胞などから歯を育てる手法の開発を目指す。