KADOKAWA(エンターブレインブランドカンパニー)から毎週木曜日に発売されているゲーム雑誌。もともとは一般向けパソコン雑誌『ログイン』(現在は廃刊)の1コーナーであったビデオゲーム通信
(*1)
の更に1コーナーだったが、ファミコンブームで情報量が大幅に増えたことをきっかけに、1986年に隔週刊行誌『ファミコン通信』として独立した。1991年7月26日号に週刊化し『週刊ファミコン通信』に改称。その当時は週刊のゲーム雑誌は唯一であった。1996年1月5日・12日合併号から『週刊ファミ通』と誌名を改称。「ファミ通」という呼称は「ファミコン通信」の略として編集部自らが誌上で使っていたもの。名称を変更したのは、「ファミコン現役期は当に過ぎているのに「ファミコン」の名が表示されているのは違和感がある」という理由であった
(*2)
。
ファミ通の創刊当時から現在に続く特色として「ゲーム業界速報誌」という立ち位置がある。多くの雑誌がゲームの攻略記事や新作のスクープ中心だったことに比べて、メーカーやクリエイター、販売店などにもスポットを当てて「ゲーム業界」そのものを扱ったのは、創刊当時は他のファミコン雑誌にはない奇異な立ち位置でもあった。また、かつての本誌は速報性と同時に雑誌独自企画でも勝負するスタイルであった。週刊化記念号の表紙を飾った迷言「ウッドボール」
(*3)
に見られるようなおバカ路線が強く、数々のバカ企画を中心とした構成であったことは、当時を知らない読者には信じ難いだろう
(*4)
。創刊25周年記念号(2011年7月21日号)では、かつてのバカ企画を再録した小冊子「バカ通」が付録につくなど、編集部自身も昔のファミ通が今より企画主義だったことは認識しているようだ。このようなバカ企画の色が薄くなったのは『ファミコン通信』から『ファミ通』に変わった時期と被るため、雑誌の方向性の舵とりをきりなおすことを企図して誌名を変更したのだとも推測できる。
現在では最も販売部数の多いゲーム雑誌となり、一般書店はもちろん大手のコンビニでも普通に売られているほどのメジャー誌で、現在のメインコンテンツは販売部数を武器とした「スクープ」(という名の政治的取引)と新作ソフトを評価する「クロスレビュー」(後述)の二つで、特にクロスレビューはゲームショップや家電量販店で新作ソフトの棚に宣伝の一部として貼られることがあるなど一定の影響力を持つ。また『メタルギアソリッド ピースウォーカー』では「ファミ通の発売に合わせてゲームの発売日が木曜日に固定された」との話もありメーカー側も切っては切れない関係になっている。(実際ドラクエやポケモンを除いてゲームの発売日は木曜日である)
それ故に近年は、「赤だけかな最悪は」「FFだから厳しく書いた」などの問題発言や、クロスレビューの高得点化などに批判が寄せられることが多く、3DS発売直前なのにSCE特集を行うなど、状況を無視した特集も見かける。
本Wikiでもクロスレビューの評価が引用されるなど関わりが深いが、ゲームを総合的に扱う雑誌だけに『ファミ通』自体もクソゲーと浅からぬ縁を持っている。以下の項ではそんな『ファミ通』とクソゲーの因縁について紹介しよう。
ファミ通の定番コーナーの1つで、発売前の新作ゲームを4人のレビュアーが10点満点で点数を付け批評する。4人のレビュアーは毎週交代する。レビュアー4人の総得点が30点以上に達すると、「殿堂入り」の称号が与えられる。殿堂入りにもランクがあり、「シルバー」(30、31点)・「ゴールド」(32~34点)・「プラチナ」(35点以上)の3つに分類される。しかし、有名シリーズの最新作や前評判の良いゲームに対して過剰な高得点を付ける (*5) 傾向が強く、読者からは「(レビュアーがたった4人では)公平性に欠ける」「信憑性がない」といった批判がある。
その一方で、「点数が低いゲームの評価は信頼性が高い」と良く言われる。これについては、「完成度の高い良質なゲームかどうかは少なくともゲームに慣れる程度は遊ばないと判断できないが、明らかに粗があって出来の悪いゲームはちょっと触っただけですぐ解ることがほとんどだから」と見る意見が有力である。『デスクリムゾン』『ザ・マスターズ・ファイター』『大奥記』(3作品ともにレビュー総得点13点、1人あたり平均3.25点)など、低評価の作品ほど「伝説のクソゲー」として崇められる傾向にある。
なお、事実上の最低点は3点(『修羅の門 (PS)』などで2点が出たこともあるが)のようなので、クロスレビューの点数は12点~40点の間と考えてよい。信頼性が高まるのは24点(平均6点)を切ったあたりから。10点台を獲得していれば申し分ない。
かつての『ファミコン通信』時代は個性的な趣味嗜好を持つレビュアーたちが多く、特定のジャンルに偏見を持ったレビューになりやすかったのも事実で、自分に興味がないジャンルだからという理由で低評価をつけるレビュアーがいたり、その逆にどんなクソゲーにも5点以下をつけない名物レビュアーもいた…架空の人物だったが。場合によっては4人のうちの2人は極端な高評価、あとの2人は極端な低評価、と1つのソフトに真逆の評価がなれることもしばしばあった。
現在はそういう人材も少なく、4人のレビュアー全員が似たような点数をつけ、しかもそれがインフレ化してるという現象だけが目立ってしまっている。また、週に10本以上のソフトをレビューしていることを考えると、とてもじゃないが全部のソフトを最後までプレイできる時間がないのは間違いなく、多くのレビューが所謂ファーストインプレッションに近いものに留まりがちなのは仕方のないところであろう。
などが挙げられ、特定タイトルへの肩入れや「殿堂入り」の濫発、身内(特に角川グループ)への贔屓が疑われることが批判の対象になっている。 以上のことから「クロスレビュー(笑www」という見られ方をされがちだが、話題作の評価があまり信用できないのは本Wikiでも十分に当てはまる。利権が絡まないWikiでさえこの有様なのだから、ゲームに点数をつけるのはやはり簡単ではないのだろう。また上記にもいくつか注釈されている通り、点数がおかしくともレビュー内容に案外的を射た意見(評価点・批判点ともに)が書かれていることも意外とある。とはいえ点数とレビュー内容が剥離してるというのも、それはそれで問題があるが。
2017年。ゼルダの伝説ブレスワイルド
| 2013年 | ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル |
| グランド・セフト・オートV | |
| 2012年 | 新・光神話パルテナの鏡 |
| 龍が如く5 夢叶えし者 | |
| 2011年 | ファイナルファンタジーXIII-2 |
| The Elder Scrolls V: Skyrim | |
| ゼルダの伝説 スカイウォードソード | |
| 2010年 | ポケットモンスターブラック・ホワイト |
| Metal Gear Solid: Peace Walker | |
| 2009年 | New スーパーマリオブラザーズ Wii |
| BAYONETTA(Xb360) | |
| モンスターハンター3 | |
| ドラゴンクエストIX 星空の守り人 | |
| 2008年 | 428 ~封鎖された渋谷で~ |
| Metal Gear Solid 4: Guns of the Patriot | |
| 大乱闘スマッシュブラザーズX | |
| 2006年 | ファイナルファンタジーXII |
| 2005年 | nintendogs(3バージョン全て) |
| 2002年 | ゼルダの伝説 風のタクト |
| 2000年 | Vagrant Story |
| 1999年 | ソウルキャリバー(DC版) |
| 1998年 | ゼルダの伝説 時のオカリナ |
| 12点 | ||||||||
| 発売年月日 | タイトル | 機種 | メーカー | 点数 | 備考 | |||
| 据置機 | ||||||||
| 2008年10月23日 | プロゴルファー猿 | Wii | バンダイナムコゲームス | 3 | 3 | 3 | 3 | レビュー対象となった全作で唯一4点以上がない。 |
| 1998年04月02日 | 修羅の門 | PS | 講談社 | 3 | 3 | 4 | 2 | 据置初の12点。 |
| 携帯機 | ||||||||
| 1998年03月13日 | パチンコCR 大工の源さんGB | GB | 日本テレネット | 5 | 2 | 3 | 2 | クロスレビュー史上初の12点。2点が二人いる。 |
| 13点 |
| 14点 |
等があげられる。なお、この件に関しては後に増刊号である『ファミ通Bootleg』にて鈴木みそ氏の漫画【あんたっちゃぶるなう。】内でまさかの浜村社長本人に質問していた。結果は「僕はもう現場じゃないから分かりませんが、働いてないと思いますよ」という何ともあいまいな回答であった。それどころか捉え方を変えれば【過去にはあった】と思われかねない発言である。
ファミ通No.1111(2010年4月1日号)・No.1112(2010年4月8日号)の特別付録。クロスレビュー殿堂入りの作品を中心に歴代ハードで出された「優良ソフト」を紹介するというもので、上巻ではFC・PCE・MD・GB・SFC・SS・PS・NG・N64・DC・WS・PS2の815本、下巻ではGBA・GC・Xb・DS・PSP・360・PS3・Wiiの690本が掲載された。
タイトル数と殿堂入りのソフトの多さでは、PS2がタイトル数1997本:殿堂入り393本と断トツで、次点がPSのタイトル数2635本:殿堂入り130本。なお、殿堂入りが無いハードのソフトも存在している(GGのタイトル数184本:殿堂入り0本)。
任天堂のハードはファミコン通信時代にレビューがないFCソフトもあるので除いても、タイトル数が最も多いSFCが1407本:殿堂入り55本。最も差がないのが、DSのソフト数887:殿堂入り152本。
また、この中にはミリオンを出した伝説のクソゲー『燃えろ!!プロ野球』、2004年KOTY大賞の『ゼノサーガ エピソードII 善悪の彼岸』、2005年KOTY大賞の『ローグギャラクシー』、バグだらけのクソゲー『ファイナルファンタジーIVアドバンス』、2006年KOTY大賞の『ファンタシースターユニバース』なども見られる。
歴代の名作ソフトを眺めながら当時の思い出に浸る…というのもまあアリだが、主流ハードの動向や上述のクロスレビューの「傾向」を踏まえながら読むと感慨深いものが味わえるはずだ。
2009年7月10日号の特集企画。「レビューで低得点を記録し実売も振るわなかった4作品を取り上げ製作者から話を聞く」というもので、直接ではないがクソゲーないしそれに準じる作品の関係者を晒し上げるというファミ通では珍しい企画内容に注目が集まった。コンスタントに同様の企画を行うことが期待されたが、現在のところ2回目は行われていない。
かつてファミ通ブランドの攻略本の帯についていた謳い文句。「ファミ通責任編集」の文字が並ぶこともある。しかし、実際には誤植や攻略法の明らかなミスが多く、『FFT大全』やPS版『真・女神転生』の超絶級の誤植の多さはもはや伝説の粋に達しているといえる。
これらのことから「大丈夫? ファミ痛の攻略本だよ?」と揶揄されることがある。近年はWeb上の各種攻略サイトからの転用がいくつか発覚しており、倫理的にも「大丈夫?」と問いたくなるケースも。
どうも「直しを行う際に受け取ったのは『仮組み』と言われて渡された校正紙のみだった」とかずさんな原稿管理がカジュアル化されているのが原因というか、そこにしか原因はなさそうだが。
1997年、当時週刊少年チャンピオンで連載されていた『おまかせ!ピース電器店』(能田達規著)の第45話の内容に対し、ファミ通編集部が同誌編集長宛に内容証明郵便で即日抗議を行い、該当回が単行本に未収録となった事件があった。
一見、街の普通の電器屋さんにしか見えないピース電器だが、実は一家そろって大企業にも負けない技術力を持つ。この話は同家の長男とその妹が人気のゲームハード「バミコン」でゲームを作って見せたところから始まる。
2人はゲームのできが良かったことから正規に売り出そうとするが、売れ行きが非常に悪い。原因を探ると、人気ゲーム雑誌「バミ通」が極端な低評価をつけていたこと、さらにゲーム発売から2週間後に自分たちの作品を丸々コピーしたようなソフトが発売されこちらは絶賛されていたことが分かる。そのソフトは主人公をライバル視する相手が出したものであり、「バミ通」の出版元でもあり資金力のあるその人物は、様々なメディア展開を活用して売り込んでいたのだ。
早速抗議する主人公だが、「結果がすべて」と一蹴される。そこで次に出すソフトで勝負をつけることにし、ソフトが完成すると「バミ通」以外では唯一ゲーム雑誌を出している「アクセク出版」へと作品を持ち込み、独占紹介の確約を取り付ける。また、ゲーム雑誌を読まないであろう女子高生への口コミ宣伝を行った。これが功を奏し、社会現象化するほどの大ヒットとなる。
これに対し「バミ通」は前回以上の低評価を行ったが、それが逆効果となってスポーツ新聞にまで不信を書き立てられ、部数を大きく減らすことに。これが後追いとなってか、主人公たちの作ったゲームの売り上げはさらに伸び、ついにゲーム大賞を受賞する。
「バミ通」もそうだが、「アクセク出版」もアスキーを離脱した面子が立ち上げ競合した「アクセラ」をもじったものであり、皮肉としてはかなりのものではある。また、作者は元々ファミ通漫画賞デビューであり、少し前まではアスキー系雑誌で連載を持っていた人物であることも気に入らなかったのであろう。
内容が内容だけに不快感を感じるのは仕方ないが、「即日抗議」というあまりに素早い対応であったことから、当時は「大人気ない」という意見が多かった。また、後日『ゲームラボ』で特集された際には「洒落が通じない」と締められている。
更にはこの事件がネットで拡散された事もあり、ピース電気と言えば45話と言うほど有名になってしまった(アンサイクロペディア談)のが皮肉と言うか何と言うか。ウィキペディアでさえ(欠番理由は憶測に過ぎないので)本文での明記は無いが関係記事へのリンクが貼られている。
ちなみに、『おまかせ!ピース電器店』自体は特に連載に影響を受けることなく、2001年まで長期連載を続けた。また、作者の能田氏はこの後に執筆したサッカー漫画がファンから大きな支持を受けた事をきっかけに、サッカー関係の仕事を中心に活動するようになった。
そして、一応は和解したのか部署が違うから気にしないと言う事なのか、同じアスキー
(*10)
が出版するテックウィン2001年9月号では特集の挿絵に能田氏が採用されている。
一方、ネタにされたファミ通の問題が改善したかと言えば…むしろ悪化している。作品にちりばめられたネタのいくつかはその後のゲーム業界ならびにファミ通の問題を予見していたが、一つだけはっきりと外れてしまったことがある。それはファミ通における満点の価値の異常な低下。まさに想像の斜め上の事態だったといえるだろう。
読者からの投票や販売本数、話題性などをもとにその年に発売されたゲームソフトから秀逸なソフトやゲームクリエイター・制作会社などを選んで贈られる賞。2005年から始まった。ただ、初回のゲーム・オブ・ザ・イヤーの1つが『キングダムハーツII』だったりするなど、選考には疑問が残る。なお、任天堂及び同社の宮本茂氏・マリオについては、2008年度は前年度に受賞したこと、2009年度以降は殿堂入りしたことを理由に投票対象外となっている。
2011年当時は妙に奇行が多かった。例えば…。
*3 wood ball=木鞠=決まり。当時の塩崎剛三編集長が生み出した言葉で、よく「ウッボー」と略されていた。
*4 近年では、加藤克明元編集長のペンネーム「バカタール加藤」(『ウルティマIV』の「アバタール」を文字ったもの)に当時の名残が見てとれる程度だった
*5 主流ハード争いが混沌としている現在は「これを誉めとけば安心」というものがはっきりせず、採点の異常さがより際立っているのだろう。
*6 ただし『四八(仮)』はファミ通編集部もタイアップしている作品であり、低得点をつけづらかった事情は理解できる。詳細は当該記事に。
*7 ゲームカタログでは「クソゲー」「ゲームバランスが不安定」判定。
*8 アップデートで格ゲーのバランスはある程度改善されたが、なお悪い上他の問題は変わらず。そもそも、レビューの対象になったのは改善前の初期版だったので何のフォローにもなっていない。
*9 ※2016年1月7日現在、プラネット・ジョーカーはファミ通のサイトでの点数の記述がない。
*10 当時はファミ通もログインもアスキーが出版していた。後に子会社のエンターブレインへ引き継がれ、更にはアスキー自体がエンターブレインに吸収合併された。