「2番目に高い山知ってる?」
「最初に空を飛んだのは?」
1番目はすぐに出てくる。
世界一はエベレスト。日本一は富士山。高さだって言える。
最初に飛行機で空を飛んだのはライト兄弟である。
しかし、2番目となると全く出てこない。印象に薄すぎる。
先日、友達とこんな会話になった。
最初に買ったCDは覚えてる?
うん、高校の時だけどすぐ言えるよ。
じゃあ、2枚目に買ったCDは?
ん〜どれだったかな。
もう30年近く前のことである。
しかし、2枚目に買ったCDは最初に買ったCDよりも鮮明に覚えていた。ヴォーカルが美男と野獣の様な強烈なインパクトがあり、僕を夢中にさせたからだ。
高校生だった僕は、チェッカーズや安全地帯を卒業して洋楽に興味を持つようになった。マイケル・ジャクソン、ワム、マドンナ、などが大活躍し始めた自体。深夜やっていた洋楽番組、MTVを毎回見ていた。
そんな中で、初めてCDを買った。これはよく覚えている。フーターズと呼ばれるフォーク系のロックバンドのアルバムである。楽しく優しい曲が多かった。
僕はおとなしい性格ではあるが、闘志を内に秘めるタイプで、いざと言う時にエネルギーを発散するクセがあった。
もっとパワフルな曲はないだろうか、僕の魂に火を点けるような熱いバンドは無いだろうか、MTVを食い入るように見て、レンタルショップも探し回った。
そのバンドに出会うには、さほど時間はかからなかった。彼らは既にメジャーバンドになり掛かっていた。
初めて見た時に、初めて聴いた時に、そのインパクトに僕はドギモを抜かれた。
口がデカい。しかもデカい口を目一杯あけて歌う。デカ過ぎる。
声がパワフルだ。
太いハスキーヴォイスで、デカイ口から大声量で叫ぶ声に、飲み込まれ圧倒される。凄いパワーだ。僕の血が煮えたぎる。
なのにセクシーだ。
長い金髪を振り乱し、誘う様な目つき表情で長い手足をくねらせながら、歌っている。
時にはセクシーに妖艶に、時にはステージを走り回り、野生の動物のように大きな口を開け、吠えるように叫んでいる。
美青年と野獣が足し合わさったロックスターであった。
なんてカッコいいんだろう。
こんなロック歌手、日本にいない。
いや、世界でも見た事がない。
僕はこのバンド、このヴォーカルの虜となった。
全てのCDを買った。
全ての曲を聴いた。
全ての曲を、真似て歌おうとした。
残念ながら、僕は彼のように
口は大きくなく
手足は長くなく
美青年でもなく
パワフルな声もなく
カラスが鳴くような声にしかならなかった。
ドジョウすくいの様な踊りにしかならなかった。
さすがにロックスターとは器が違いすぎた。
しかし、彼の真似をして歌っている時は、楽しかった。まるで、彼のように、パワフルでセクシーな野獣になった様な気になった。
闘志を内に秘め、いざと言う時にエネルギーを大発散する僕の性格を、十分に満たしてくれた。
あれから、30年近くたった。
10年以上彼の歌を聴いていなかった。
今の彼は68歳。しかし、まだ現役でバリバリ歌ってた。
久しぶりに見てみた。
変わらない大きな口。
変わらないパワフルな声。
いや、若い頃よりパワーがあるかも知れない。
相変わらずカッコいい。
美青年が美壮年になっていた。
何だこの人は
何なんだこの男は
エアロスミス、スティーブンタイラー。
改めて僕はこの男に惚れ込んだ。
魂を熱く煮えたぎらせると、僕にとって永遠の憧れのロックスターである。
※追伸
公開中の映画「シング」で、エアロスミスの初期の曲が使われてますね。
エアロスミスのデビューアルバムに収録されている、ドリーム・オン(Dream on)という曲です。
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最後まで読んでくださり有難うございました。