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【石原慎太郎 日本よ ふたたび】
奢れる白人よ 君たちの世界支配はもう終わったのだ
人間は今身のすぐ周りに起こっていることには気をとられるが、往々その背景にあるさらに大きな事柄には気がつかない。最近世界を震撼させているイスラム国の過激な暴力沙汰に誰しもが戦慄しているが、この未曾有な現実を理解し対処するためにこの現実の背景にあるさらに大きな現実を把握しなくてはなるまい。ヘーゲルは歴史は人間にとって何にも勝る現実だと説いたが現実に起こっているイスラム国とそれに深く関わるヨーロッパの混乱と衰退を理解するためにこそ、我々は人間の歴史をさらに大つかみに理解し見直す必要があると思う。共産党中国の国父毛沢東はその方法論『矛盾論』の中で目の前の厄介な問題、つまり矛盾を解決するためにその背景にあるさらに大きな矛盾『主要矛盾』を認知してかからなければならぬと説いているが、これは全ての厄介ごとへの正しい認識とその解決のためには不可欠なことに違いない。世界の歴史を振り返ってみると、長く暗黒だった中世が終わった後の世界の歴史は白人による有色人種の国土の一方的植民地化と富の収奪だった。アメリカはその典型的な実例の一つといえる。