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強気の証言、新事実なし…元副知事ペース

豊洲市場移転問題をめぐる百条委で発言する浜渦武生・元東京都副知事=都議会で2017年3月19日午後5時20分、小出洋平撮影
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 築地市場(東京都中央区)の豊洲市場(江東区)への移転問題を巡る都議会の調査特別委員会(百条委)は19日、豊洲地区の地権者の東京ガスとの交渉でキーマンだったとされる浜渦武生元副知事(69)が証人喚問の席に立った。「不透明な交渉」をただす委員に対して強気の証言で否定を繰り返した。新たな事実はほとんど明らかにならず、舞台は20日の石原慎太郎元知事の証人喚問に持ち越された形だ。【林田七恵、円谷美晶、高木香奈】

 副知事辞職を迫られた2005年の百条委以来、浜渦氏が証人喚問に出頭するのは2度目。因縁の舞台で宣誓書に署名した冒頭こそ落ち着かない様子を見せたが、質疑に入ると身ぶり手ぶりを交えて証言した。

 委員が相次いでただした東ガスとの「水面下交渉」については「水面下という言葉は東ガスから提案があった」とし、「悪い言葉だと思っていない。ものすごく、この事業を推進した」と強調。「(東ガスの)株主に損をさせない仕組み作り」を部下に指示した記録が残るが、「書いたのは役人。民間を分かっていない。株主に損をさせたと思わせないことだ」と「真意」を披露した。「都と東ガスは人間関係が破綻していた。丁寧にやりなさいと(都庁の部下に)言った」と付け加えた。

 豊洲地区の土壌汚染は「東ガスが全部きれいにする約束だった」と主張。東ガス負担が限定されることについて部下から相談を受けたことを示唆する資料を共産都議から示されても「記憶にない」とかわした。在任中に東ガスと交わされた土壌汚染に関する合意など複数の合意については「(役人が)勝手なことをしてくれた」と関与を否定した。

 喚問はほぼ一貫して浜渦氏ペースで、市場移転推進をリードした自民の所属都議の一人は「交渉は、浜渦氏がいなければなし得なかった大事業だ」と絶賛。退任後の移転交渉については「全く知らない。都が私を迷惑がっていた」と冗談を交えて証言すると、議場からは笑いも起きた。質問を終えた議員に「聞いて」と前置きして「先生(都議)方はストーリーに合わせてお尋ねだが、知っている話しかできない」と強気に述べる場面もあった。

 百条委では(1)都が「水面下」で東ガスに有利な交換条件を示したため、妥結まで縛られた可能性(2)石原氏の土壌汚染や対策費分担に対する認識と、豊洲移転を決断した経緯(3)土壌汚染対策費が最終的に858億円に膨れ上がったにもかかわらず東ガスの負担を78億円にとどめ、瑕疵(かし)担保責任(将来の費用負担)を免除した妥当性--が焦点となっている。浜渦氏の喚問が「不発」だったことで、解明の場は20日の石原氏の証人喚問となった。

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