卒業した
東京電機大学 工学部 情報通信工学科を卒業した.
キャンパスは駅からダッシュで15秒ほどとかなり近く,とても綺麗で特にトイレが綺麗という点ではかなり通いやすい良い大学でした. 恥ずかしながら4年間通ったにも関わらず先程挙げた以外に良い点が思いつかず,飲み会の際にある先生に他に良いところがあるかお伺いをしたところ「"私がいる" というところいいところじゃない?」と言われました.きっとそうなんだと思います.ちなみにその先生も「私がいる」以外は私と同じことを言いました.
さて,大学に対する褒め言葉はこの程度にして,個人的に感慨深いことを書きます. ポエムであるため最後まで読む人は少ないと思いますので下記にサマリーを並べます.
- 事務部の学生要覧印刷ミスにより教員免許状が取得できなくなったお話
- 大学にセキュリティ関連の記事をキュレーションメディアっぽくコピペで作れと言われた話
- 手書きレポートによって正弦波デザイナーになった話
- 廃れる大学内技術コミュニティの話
- それでも内部進学する話
事務部の学生要覧印刷ミスにより教員免許状が取得できなくなったお話
私自身,1年次から教職(高校・情報)を履修し習得を目指していて,途中履修する科目を間違えるということがありながらもなんとか所定単位を履修し問題なく取得できるはずでした. 4年間毎年前記・後期に学生要覧と,履修登録画面を並べて見ながら何度も履修計画を立てて頑張ったものの,卒業の3週間前に単位不足により免許状発行ができないため,手数料の返金を行う旨のメールを受け取ります.
このメールが届いた時,研究室で被験者をやっていたのですがかなり動揺しました. 年度末は忙しく一週間後事務部に確認に向かったところ30分ほど待たされ「やはり単位数が足りず,クロスチェックもしたのですが……」ということになりました. ご親切に目の前でチェックしてくださりました.
(学生証による本人確認の後,自分の成績が印刷されたもの(教職課程の単位数も記載されている)と学生要覧のページコピーが渡される)
事務「ご確認をお願いします,のむけんさんは高校情報の教職課程を申請しており,介護等福祉体験は履修されていません」
の「はい,そうですね高校なので履修していません」
事務「また,高校の免許状に必要な教職科目はすべて履修されています」
の「はい,そうですね」
事務「次になのですが,教科に関わる科目についてご確認をお願いします」
の「はい」
事務「まず……」
(以後,履修済み科目と教職における科目の位置づけごとに確認.学生要覧に記載される科目ですでに履修済みでありその対応と単位数を確認する)
事務「ということで,のむけんさんは高校情報科免許状に1単位足りずに発行することができません」
の「ん?え?うーん……何度も学生要覧を確認したんですが……なんでですかねぇ……」
(再度確認する)
の「ちょっとまってください,なんでアルゴリズム基礎Iの科目が学生要覧上では4単位になっているのに,こちらの紙では2単位になってるんですか?」
事務「(アッとなる)」
事務「すみません,そちらは印刷ミスとなり,間違いということになります」
の「え,印刷ミスですか?!……ということは足りないということですか……」
事務「誠に申し訳ありません,そういうことになります」
の「……僕は大学院に進むのですが,再度科目を履修することで再度申請は可能ですか?」
事務「はい,問題ございません」
の「その場合,追加で科目を履修する際にお金が別途発生するということはありませんか?」
事務「いえ,大学院に進む場合は他学部履修という形になりますので問題ありません」
の「うーん……僕は工学部から未来科学研究科に進むのですが,その場合情報メディア学科(注: 進学先の対応する学科)の科目を履修することでその単位を取得することはできますか?」
事務「えーと……そうですね,問題ありません」
の「それでしたら,「最新の」履修しなくてはいけない科目リストを頂いてもよろしいですか」
事務「はい,少々お待ちください」
(数分の後戻ってくる,その間頭の中で整理して怒り始める)
事務「お待たせいたしました」
の「この中から,共通科目ではないものを履修すれば問題ないんですね?」
事務「はい,のむけんさんが今まで履修された科目は無駄にはなりませんので,そうなります」
の「……失礼かもしれないんですが,いくら何でも印刷ミスで今回みたいなことになったのは酷すぎじゃありませんか.もちろん事務の皆さんが忙しいのは自分も大学の事務の仕事(注: 学生が実験室の運営・学科行事を手伝う仕事がありそれを4年間やっていた)をしていたので重々理解しております.ただ,今回のはいくら何でも酷すぎます.私がすぐ教員にならなかったからいいですが,もし教員として内定をもらっている人だったら大損害ですし,人生狂いますよ.それで,印刷ミスだからなんていうのは横暴すぎませんか」
事務「はい……」
の「そりゃあ一度印刷したのは確認しないですよ,しょうがないことかもしれませんが……いやそれでも酷すぎますよ.僕はこのために大学院の研究する時間を使って,学部の科目を履修しなくちゃいけないんです,それでも影響あるんですよ.もう少ししっかりしてもらえませんか」
事務「はい……大変貴重なご意見ありがとうございます」
(退出)
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注: 自分の名前を「のむけん」に変更してあります,内容はほぼ等価のつもりで書いてるけど多分要約してあります
この件に関して,未だにイライラしていることもあり,卒業式の前日に「実習日誌を取りに来い」などと火に油を注ぐことを電話越しに言われ更に気分を害しております. もし,4年間の中でミスが発覚していたなら事務部のページにおいてある電子版の学生要覧も更新されているはずですがされておりませんでした.(メール到着時にオンライン版を確認)
この件に関して,冷静に考えてみても私自身に損害がなく(結局他の人もその分履修しているのだし,その時間が大学院になっただけだし,自分は教員に内定をもらってるわけでもなく,金銭的にもおそらくマイナスは無い)仮に訴訟などというたいそれた選択をする気は今の所ありません. とはいえ,かなり不愉快な思いをして,精神的にはかなり損害が出ている気がしています.
もし,事務の人間でこの文章を読んで正式に菓子折りをもって事務部長と担当者で正装をして私に謝りに来て,今後における研究活動等への影響を補填してくださるのであれば,私の学部のメールアドレスまでご連絡ください.誠意のある謝罪をしていただけるのであれば,私自身このストレスを多少は緩和できるので何卒よろしくお願いいたします.
メールアドレスは下記のもので,ご存知の通り4月一杯までは使えるとのことですのでそれまでにご連絡ください.
13ec078 @ ms.dendai.ac.jp
大学にセキュリティ関連の記事をキュレーションメディアっぽくコピペで作れと言われた話
この件に関しては,特にNDAとか結んでるわけでもないので事実と 私の主観を書いた のですが,様々な社会的な圧力によって消される可能性があります.
振り返ってみると,私の大学生活はかなりの大部分をセキュリティという分野に費やし,様々なできる人たちからかなり離れた位置で草の根的な活動を続けてきました.
TDUCTFなるCTFを外部向けに2度開催し,会場提供とインフラ提供してくださった企業様が記事を出してくださったりしました.また最初の一回は大学がプレスリリースも一応出してくださいました.
また,数も少なく微妙な順位ですが大会的なものでも入賞しましたし,現在ではまた違うものの運営もお手伝いしております.
で,そのようなことをしている中,研究室の先生からとある内部組織の立ち上げに向けて情報発信のつもりでそれに関わる記事を書いてもらえないかとお声がけをしていただきました. こういったものに珍しく時給もいただけるとのことで,何か一助になればと思い快諾しました. その先生も,技術的にご理解をしてくださってる方で,その先生がメインで動いてくださるのであれば何も心配無いだろうとも考えていました.
冒頭では,記事を書くという明確な仕事があるわけですが,実際にお話を頂いたときは何も決まっておらずどういうことができるかみたいなのを立ち話でしたのですが,下記のようなこともできるといいのではとご提案しました.
- 学内CTFの開催
- 学内勉強会の開催
- 学内のセキュリティ向上に向けてパトロールするスキャナの開発
- 学内の脆弱性を探し報告・修正
ただ,先生からはじめはスロースタートが良いとのことで,こういった組織に必要不可欠な記事作成をしてくれとのことでした.これに関してはそのとおりで,信頼性があり,有用性の高い文章を発信することで内外に良い影響が与えられると考えました.
その後,3ヶ月くらいブランクが空いて実際に情報を統括する学内の部署との会議にお招き頂き,今後の待遇等についてご相談できる機会をいただきました. 普通こういった仕事の場合,フルリモートになるか,席を与えられそこで仕事をするかの感じだと認識していました.というかそのように学内の仕事をしていたのでそう考えていました.
結果的に待遇としては下記のようなものでした.
- 勤務したら週報を作成すること
- 勤務する日は必ず所定の場所にあるリーダーにタッチすること
- 記事を書くのは好きなところで勝手にやること
- そして,記事は先生がレビューし(と言ってもあまり見ない)掲載する
- 時給は1000円
- 月10時間の勤務で記事1本
- 無理と伝えたら当時ひとまず3ヶ月契約でしたのでその時間で1本となりました
また,今後もサイト制作の会議に関わって学生とともに作成してほしいとのことでした. で,前々から言われたことを含めて記事の内容はやはり未定で,ふんわりしているのですが上がったものは下記のものでした.
- CVEとかの解説
- セキュリティの近年における状況のまとめ
- 流行っているインシデント(身近なランサムウェアとか標的型攻撃とか)への啓発
- その「とある内部組織」のまとめページ
あくまで私個人の意見であり,また学生という半人前の身分で偉そうに意見することを許して頂きたいのですが,いくら何でもこれは無茶です.
4名がその仕事のお話を頂いていたのですが,私の場合「CVE等の解説」に興味がありそれを行うとなると,とてもじゃないですが私の能力では10時間で調べ,書き上げるのは無理です.
また,他のものを選択しても10時間という時間では,書くのが難しいもしくはギリギリとなるでしょう.
となると明らかにサービス残業的なことをして書かなきゃいけないのですが,確かに研究の延長線上として考え,お金がもらえるだけありがたいと思い受けることもできます.
一応,得られるメリットというか価値をまとめると下記のような感じです.
- 先生からセキュリティに関する知識へのレビューがもらえる
- ただ,卒研発表もいらっしゃらず,ペーパーのレビューもお返事をいただけないほどご多忙であると考えると難しいかも
- 研究として現状の整理等のタスクに給与が少なからず発生する
- 一応外部向けなので名前が載る
実際,悩みに悩んだ結果メリットが無いわけではないのでお受けさせていただこうと感じたのですが,下記のことでどうしても嫌気が差してご辞退させていただくこととさせていただきました.
- 「関わってもらって学生から会社とのコネクションを持ちたい」との発言
- 実際そうだとは思うんだけどあからさまなのがちょっと不信感
- 結果的にこれに関わった結果,逆効果になったと思う
- 「書く記事は分からないし,みなさんが考えてください,でも10時間,超えても数時間で」
- 「そんなに言うならもっと簡単で コピペでも全然いいから 記事を書いてください」
- 勤務するときは必ずリーダーにタッチして,その日の仕事のまとめとして週報は書いてください,場所はどこでもいいです
- 実際のところメリットではあるけれど,俺らは管理しないから勝手にやってというのを強く感じた
これに対して文句を言うと,社会人の方から「社会を舐めてる」や「偉そうに」,また「その程度で」等のご意見もあると自覚しております. ただ,でも本学の理念として「技術は人なり」「実学尊重」を掲げ学んできた学生として,あくまで 私個人の気持ちとして 技術に対する軽視はどうしても納得行かないし看過することができませんでした.
もちろん,記事作成自動化も検討したし,コードも書き上げました.(自然言語処理による要約の生成を利用した注目記事まとめ生成) ただ,昨今のキュレーションメディアによる問題を考慮し,確かに楽してお金をもらえるけれども,このようなことを半人前といえど技術者を目指すものとして加担してはいけないなと感じやめました.
私が所属する大学全体として言えることは,職員(先生方を除く事務の方)から見た学生は面倒くさいクレーマーというか最底辺という位置づけであるという認識を度々感じます. もちろん,明らかにクレーマーみたいな人もいるし,失礼な学生もいることは確かなのですが,私個人の意見としてはお互いに尊敬しあって話を進められなければ,今回のような立ち上げというのを事務方と協力して進められないなと感じました.
ちなみに,現在では様々なことがあり仕切り直しと称して全てリセットされました. もう正直関わる気は無いのですが,でも学内の技術コミュニティを活発化して皆で学べる環境づくりには興味があります. 今度はお仕事としてお金をいただくことは無いかもしれませんが,能動的に進める気はないですがその活動の中でご一緒することはあるかもしれません.
なお,結果的に恨みもなければ,改善してやろうという気持ちもないので,これに関する議論をTwitter等のSNSで持ちかけてくるのは本当に無駄な体力の浪費ですのでおやめください.
私は,何か意味のあることをして名が載ることはありがたいと感じますが,大したことないあまり良くないものを量産して名が載りその結果を手放しで良いと評価する会社や人はあまり良くないと考えています.やるなら自分が納得するくらい頑張ったものを評価してもらいたいです.
手書きレポートによって正弦波デザイナーになった話
これは,あくまで所属していた情報通信工学科の話です.
工学部 情報通信工学科では3年間手書きでレポートを書き続けます. 話によると,他大学でも同様の事例が見られるので,今頃よくある話だと思います. ですので,手短に書きます.
所属する大学は前にも書きましたが「実学尊重」という理念のもと教育を行っています. 実学尊重とは,職業としての技術を学ぶもので,座学よりも実際に手を動かす演習を中心とすることで実学を尊重するものです. これは大変共感し,感銘を受ける理念ではあるのですが,私が所属する学科では演習の結果を手書きレポートでまとめていました. 私個人の勝手な意見として,下記のような点において手書きレポートに問題があると考えています.
- 正弦波は手で書くものではない
- 会社に行ってもおそらく手書きをしている会社は少ないか無いのではないだろうか
- 手書きでは誤差も大きく,また恣意的に周期を変えるということもあり,また非効率的ではないだろうか
- 研究においてほぼ全て掲載する図はスクリーンショット,もしくは写真であるのではないだろうか
- 人の手で書いた瞬間にそれは正弦波では無いのではないだろうか
- どうしても「〜のつもりで」が加わる
- AM変調実験で搬送波をレポート掲載するため手書きしたが,アナログオシロでも人が書ける周期ではなく,見えるつもりで書けという指示をもらった.
- こういうことを看過しても良いのだろうか
- 非効率なことを良しとしてもよいのか
- コンピュータでのレポートも少なからずあったが,その時のレポートと手書きレポートではその単元への理解のレベルに大きく差があったと感じた
- 手書きによって本質的な学びを殺していないか
無論,正弦波くらい手書きできるくらいに理解しろという意見は重々承知だし,学ぶことに遠回りは重要であると身にしみて理解しています. ただ,学ぶことを考えると効率化によって問題への考察能力を培って,文章にまとめる能力を伸ばすほうが今後の教育としては良いのではないかと考えています. 一応,噂ではレポートのコピーを防ぐためとお聞きしましたが現状でもコピーされたレポートはリジェクトの後科目放棄扱いになるとのことですので,やはり手書きレポートは廃止したほうが良いのではと考えています.
もちろん,実験中のノート等は手書きでも全然問題ないと思います.
廃れる大学内技術コミュニティの話
悲しい話ながら,大学内の技術コミュニティは薄れていく一方です. 理由は様々あると考えていますが,直近として下記のものを挙げます.
- そもそもそういう人が居ない
- 学生のミスで社会的に存続が難しくなった
- それまでのハードルが高く定期的な存続が難しい
これは,一部実際の会社等でもそうなのでしょう. ただ,現状では多くのベンチャー企業を始めとした会場提供や,アテンドアプリケーションのおかげで学外のみならずハードルはどんどん下がってきていると認識しています. 無論,クラブ・サークル活動もそのコミュニティと言え,教室利用においてハードルは多少低くなると言えます. しかし,それでも学外者を呼ぶことや,プロジェクター・マイク利用といった問題もあり,難しいと考えられます. ここで,主催者が学内で開催するメリットを考えるとほぼゼロに等しいと言わざるを得ないのが現状だと考えています.
しかしながら,学内に技術コミュニティがあるということは,大学受験を考える高校生や中学生に多大なる影響を与えます. また,こういった運営の中で学ぶことも多いです. 私が関わった社会人の方々は,さり気なく外部の人を呼ぶときに気をつけなきゃいけないことをこそっと教えてくださったり, また挑戦できる環境を用意してくださり今でも感謝で頭が上がりません. そういった人と関わり学ぶエコシステムがあると全体の技術向上にもつながり,大学としてもやる気のある人が増え,様々な利点があります.
残念ながら,私もその一助になればと思い働きかけをしてきましたが,未だそのエコシステムには程遠く,困難も多いです. もう少し,大学としてお力添えをいただければ……と感じています.
それでも内部進学する話
と,社会性フィルター全開で不満点を文章で書いてきましたが,かなり不満が多い中ですが実は入院(進学)致します. 不満は多いけれど,まぁ自分の働きかけでなんとかできないかな,というモチベーションです.
今の所研究室でむっちゃ働きかけをして,焼け野原のような環境を変えるべく様々なことをしています.
- 研究室Wikiの作成
- 研究室Slackの導入
- 係の健全な活動促進(つまりサボらせない)
- お互いに教え合えるような環境づくり
- 研究室に居場所を作り,結束力を高める環境づくり
多分,今後も嫌なことを腐るほど経験して,基本的に大学にいることを避けるようにしたくなると思います. ただ,なんかそれに負けてしまうのも癪なので,可能な限り戦っていきたいと思っています.
所信表明として,もうちょいこのブログに技術的な話(例えばWeb系の話をもうちょい載せたい)を増やして,研究でも個人的に満足の行く成果を挙げられるよう,大学院では戦っていきたいと思います. ということで,大学で支えてくださった皆様に感謝しつつ,また今後もより一層頑張っていきたいと感じますので,よろしければお力添えをいただければと存じます.
特に,学部時代では友人の皆様には戦友と言えるくらい助けてもらいました.最後ではありますが学部時代の友人や関わった人全員に感謝したいと思います.本当にありがとうございました.