球界の暴露王・愛甲猛氏が語る侍ジャパンと野球賭博
第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で決勝トーナメント進出を決めた侍ジャパン。目指す世界一奪還へ「あと2勝」と迫っているが、そんな侍たちのここまでの戦いぶりをネット中継で全試合解説しているのが、中日、ロッテで活躍した愛甲猛氏(54)だ。裏ネタに定評のある「球界の暴露王」は今回のWBCをどう見ているのか。本紙に緊急登場だ。
――愛甲さんは野球賭博騒動以来の本紙登場となります。よろしくお願いします
愛甲:その後もやばい話はちょこちょこ耳に入ってきていますが、今回はWBCの件なんですよね。
――ネット中継でのWBC解説が好評のようで
愛甲:好き勝手しゃべっているだけですが。結構まじめにやってますよ(笑い)。
――ここまでの侍ジャパンの戦いをどう見ている
愛甲:正直、ここまでやるとは思いませんでした。はっきり言うと、日本はキューバの弱さに救われたと思う。初戦を落としていれば1次ラウンドでの敗退もあったし、2次ラウンドではバンデンハークのまさかの乱調がなければ、オランダにもやられていたでしょう。オランダ戦で言えば、則本があと1本打たれてサヨナラ負けしていれば、日本は立ち直れなかったと思う。6連勝といっても紙一重ではないかと。ただ、そういう試合をものにしているのだから、運はあると思います。
――守護神問題はまだ決着していないようだが
愛甲:ボクは牧田でいいと思いますよ。ただ、左打者に打たれたのがちょっと心配。イスラエル戦の最終回に牧田を使わず、いい感じのまま米国に行かせたかったんで、あの采配はどうかと思いましたけどね。抑えに関してはもともとボクは「千賀推し」だったんだけど、その千賀も先発に回っちゃったし…。抑えも含め、投手陣には不安が残るところです。
――野手で気になるところは
愛甲:バントが少ないというのはいろいろな評論家が指摘しているけど、2番の菊池がもっと機能するようになれば、得点力も上がるのでは。小久保監督も内野手だったから分かると思うんですが、得点圏に走者を進められると、守備側には大きなプレッシャーがかかる。強攻策ばかりでなく、もっと相手が嫌がる攻撃を仕掛けることです。
――小久保監督の采配については
愛甲:勝っているから結果オーライだろうけど「同じメンバーだけで戦おうとしていないか?」とは思います。内川が小林の代打に出て犠牲フライを打つ場面もありましたが、ラッキーボーイとはいえ、小林に代打を送ってしかるべき場面はほかにもあった。小久保監督は巨人へトレードされたり苦労しているとは思います。ただ、基本的にはレギュラーでグラウンドでしか野球をしていない。ベンチで待機している選手の気持ちや使い方が、分かっていないなという印象は受けますね。
――横浜高の後輩の筒香については
愛甲:いつかはメジャーでという気持ちは持っていると思うので、彼にとっては世界を感じるすごく大きな大会になっているのでは。ただ、まじめな性格なので、時には中田のように「どうでもいい」と開き直ることも必要。あとは120%の力で振っているので、80%でスタンドに運べるというのを分かってほしい。力を入れるとそれだけバットが出るのは遅くなるんです。山田はすごく軽いスイングで本塁打にできているでしょ。筒香もそれが分かれば、シーズン70本塁打は打てると思いますよ。
――ほかにWBCについて言いたいことは
愛甲:これは前から言いたかったことなのですが、毎回ボールの違いがどうのこうの、滑る滑らないという議論にはへきえきしています。「だったら日本でも同じボールを使えよ」「何で同じボールが使えないの?」といつも思います。これは統一球問題の時にも言いましたが、利権の問題などはすべて排除して、メーカーとNPBがしっかり取り組むべき問題ではないでしょうか。
――最後になりますが、ネット中継などの視聴者からの質問で多いのは何なのでしょう
愛甲:「野球賭博の問題は本当に終わったんですか?」とは、よく聞かれますね。一部で高木京が復帰するという報道もありましたけど、これで野球賭博の騒動が蒸し返されることを心配している人もいるんじゃないでしょうか。これに関しては、オールスター前ごろにまた、大きな話が出るかもしれませんね。話せることがあれば、またその時に…。
【プロフィル】あいこう・たけし 1962年8月15日生まれ。神奈川県出身。横浜高で80年夏に全国制覇を達成し優勝投手となる。同年秋、ドラフト1位でロッテに入団。3年間の投手生活の後、打者に転向。96年に中日に移籍、代打の切り札として活躍し、99年の優勝に貢献する。2000年に引退。535試合連続フルイニング出場は今もパ・リーグ記録。球界の裏側を暴露した著書「球界の野良犬」(宝島社)などで球界を騒然とさせた。現在はタレント、解説者としてマルチに活躍中。ニコニコ生放送では侍ジャパンのWBC全試合を解説している。ワイルドビジョン所属。