>>1.毎日更新する際、投稿時間は気を付けていますか?
毎日定時に仕掛けます。
なろうの場合は、ランキングの更新時間ってものがありますので、それが終わった直後の、どれか固定で。
1日3回ありますが、7時、12時、19時、と、3回ほど。
それぞれ、読者の生活サイクルでいうと、「朝出勤時刻」「昼休み」「夕方帰宅以降」になります。
なぜシステム更新直後にやるのかというと、なろうの集計システムの仕組み上、「24時間以内に入ったポイントで日間順位が決まる」となるためです。
たとえば夜中0時に新しい話を掲載してしまうと、ポイントが集計時刻の前後でばらけてしまって、目減りします。
ただ、ここを気にするのは、日間ランキングの表紙(5位以内のこと)に入るか入らないか、転げ落ちるか踏みとどまるか、なんていう時期だけです。
そのあとの、定常連載時には、「書いたら即更新」にしちゃってますね。もう、ポイントそんなに上下しないし。書籍化決まっているし。てゆうか。シリーズ刊行中だし。「書き続ける」ための自分のモチベ優先です。
書いたら投稿して、読んでもらえるー! ――っていうの、かなり大きなモチベになるんですよね。
もう最近は、書き下ろしの仕事が、しんどくて、しんどくて……。
新たに始める仕事なんかは、「書き下ろしじゃなくて、連載にしちゃだめ?」とか聞いちゃうくらい。
>>2.描写の簡潔化は特に推敲していますか?
推敲は、しません。
それよりも最初から書かない。なるべく最小限の説明で済ませる。
読者は「飛ばし読みしている」という前提で、ブラック企業に絞られて疲れ果てて満員電車にぎゅう詰めにされている、という仮定のもとに、「極めて低い集中度」を想定して、ぱっと視野にいれただけで内容が掴めるように、そのように注力しています。
>>3.失敗した作品を出し続けた場合、作者として飽きられるようなことはありますか?
最初に断言しますが。
WEB小説業界は「残機無限」の世界てす。
ですから、何回死んでも、まったくなにひとつ悪影響などありません。(キッパリ)
未完作品が多いことで、文句を言う人は多いんですが。声の大きな人が言っているので目立つだけで、実際、それが支配的かというと、ぜんぜんそんなことはなく――。WEB小説の読者のほとんど大多数は「作家の個体識別なんてしていない」という想定でいます。そもそも、誰が書いているのか、なんて、気にもしていない。よって「未完作品が多い」ことは認識されない。=ないのと同じ、となるわけです。
そもそも、経験して学習するには、「このタイトルとあらすじは、いけた」「このタイトルとあらすじは、だめだった」の経験値を、実地に、多量に得ることが最も肝心なので――。山ほど失敗するのが、最短ルートだと思います。
ちなみに、人気のなかった作品を続けて完結まで持ってゆくことは、作者の美徳と読者への思いやりであると思いますが……。前述のように「成長」に関しては、チャレンジ回数を減らすという意味で、大きくマイナスです。
>>4.全体を通したカタルシスというのは考えてから書き始めますか? それともライブ感を重視しているのでしょうか?
書籍化した際に、「1冊を通してカタルシス」は、たしかに必要です。
やりかたは二通りあって、「書籍化時の1冊単位で起伏を付けておく」という方法と、「連載時にはずっと平坦なままで書いておいて、書籍化時にラスト部分に加筆して起伏があるように見せる」という方法で。
僕は両方やってますが、おもに後者のほうが多いです。
後付けで起伏をつける方法は、スローライフ系と相性が良いです。書籍化時に2万字ぐらいの4~5話をつけて、その中だけで、盛りあげて、カタルシスを与えて、閉じまず。最後の部分以外、ストーリーなんてないんですが、割とこれで「読んだ気分」になれます。
ちなみにWEB小説の世界にくるまえから、GJ部など、4コマ小説で使ってきた手法です。GJ部では「ラスト連作」と呼んでいました。
これは、カタルシスといっても、プチっとサイズで……、一冊を丸々消費して仕掛けるカタルシスの大きさには及ばないんですが、人間の短期記憶力なんて、そもそも十数分しか持続しないので、十数分間のストーリーがあると、わりとOKっぽいです。
>>5.小説サイトユーザー(固定ファンや他の作者)との交流というのは意識していますか?
知り合いなんかが入れてくれるポイントは、基本、「誤差」程度です。
書籍化するなら、目標は日間1位週間1位月間1位、とかになります。日間獲得ポイントが2000だの3000だのといった世界で、仮に友人知己に依頼して組織票なんか動かしたって、1人が最大12ポイントで、20人いたって、たったの240ポイントです。しかもそれはほんの一瞬だけの話。全体的には、なんの足しにもなりませんし、そんなところでズルすることに頑張るよりも、良いタイトルとあらすじを書くほうに労力を傾けたほうが、ぜんぜん効果があがりますので……。
そんなところで頑張っちゃっている人が、もしいたとしても、努力の方向を明らかに間違えているので、日間ランキングに絶対に上がってこれないと思います。
ポイント操作って意味でなければ、交流して情報交換して、自分のやった「実験小説」の成果を共有しあって、理論と仮説をぶつけ合って、切磋琢磨などの交流はやっています。
>>6.新しいタイトルを発表する時、作品のセールスポイントとして意識することは何かありますか?
>>オリジナリティを意識してやっていることはありますでしょうか
「オリジナリティとはなにか」という話になるかと思います。
僕はその秘密を、「配分」だと考えていまして――。既存の手垢まみれの慣れ親しんだ要素が「2」に対して、見たことのない新奇な要素が「1」の比率であった場合に、人は「オリジナリティ」を感じるというものです。
新奇性が10割だと、「ワケがわからない」になってしまうし。鉄板要素が10割だと「新しくもなんともない」になってしまう。
その理論に基づいて、定番で鉄板で安心要素を「2」で、新奇性を「1」となるように注力しています。僕の場合は、変なもんばっか思いつく癖があるので、新奇性は減らして減らして、極限まで減らし抜いて、ようやく「1」の比率になる感じ。