前橋地裁の判決後、会見する鈴木克昌弁護団長(右)ら=17日午後、前橋市(桐原正道撮影)

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 判決を受け、東京電力のある幹部は「津波の予見可能性で負けるとは…」と肩を落とす。

 東電としては巨大津波の計算は「議論をするために実施したもの」という位置付けだったからだ。「議論するために試算した値が、想定すべき値になるのであれば、怖くて幅広い試算ができなくなってしまう」と語る。

 一方で別の幹部は「予見可能性で負けたのは残念だが、私たちの主張が認められた部分もある」とする。特に損害賠償の額は「想定していた額と比べれば1桁も2桁も少ない」とやや安堵(あんど)した様子。予見可能性についても「地裁レベルなので負けることはある程度、想定していた。高裁ではもう少し冷静な判断をしてもらえると思う」と話す。

 原子力規制庁の幹部は「最近の裁判所は被害者に寄り添う傾向にあるので、負けることはあり得ると考えていた」と冷静に受け止める。規制権限に基づき東電に結果回避措置を講じさせていれば事故が防げたという指摘についても、「今の規制ではまさにそれをやっているので、裁判所の指摘はその通りだ。ただ、当時の規制組織にそれを求めるかは判断が分かれるだろう」と話している。