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その言葉は、洗脳
低い振動音が木霊する中、夢叶がゆっくりと瞳を開いた。そして、
「はにゃ! ひゃん……なに、コレ……?」
自身の下腹部から生える桃色のコードを目にして怯える。その表情がまた愛おしくて、そっとリモコンを操作する。
「ぎゃあ!! なに、なんなの……? いやぁ……」
必死に身を捩る夢叶だが、ようやく自身が椅子に縛り付けられていることに気付いた。全身を悶えさせながら必死に逃げ出そうとしている。そこへ、
「夢叶、大好きだよ」
背後へ回って夢叶の大きなマシュマロを一掴み。全身を廻りだした淡い官能が、一気に解放され、夢叶がそのしなやかな身体を仰け反らせる。
再び夢叶の真正面に移動して、その伏せられた瞳を覗き込むと、既にそこに光はなかった。新月の夜のような深い闇が湛えられたその瞳は、黒曜石のような美しさと同時に私に途方もない征服感を与えてくれる。
「私は夢叶が大好き。夢叶は?」
「ワタシ……ハヅキ、ヤダァ……」
いけない娘だ。お仕置きしなきゃ。中になっていたバイブを強にする。
「ア゛アァァ……」
前方にしな垂れる夢叶の身体を背もたれに押し付ける。全身が敏感になっている夢叶はそれだけでも、私を興奮させる喘ぎ声を上げる。
「ヤメテ……ワタシ、ゲンカイダヨォ……モウ、ユルジテ……」
苦悶の表情を浮かべる夢叶が限界だと言った次の瞬間、ブルブルと震えだした夢叶。椅子に敷かれたバスタオルが黄金色に染まる。そして、鼻につくツンとしたにおい。長時間の拘束と快楽漬けで、とうとう失禁してしまったらしい。
でも、この程度で夢叶を嫌ったりしない。それどころか、こんなにも綺麗な彼女が人間であることを再確認できてよかったくらいだ。夢叶も私と同じ人間。排泄もするし、きっと自慰だって。
「私は夢叶が好き。夢叶は?」
何度でも問おう。夢叶が私の望む答えを紡ぐまで。
「ハヅキ……ヤダァ。ワタシ、カレノコト……マダ、ワスレラレナイィ」
「彼って誰? 夢叶は私だけを見ていればいいんだよ?」
……まったく、強情なんだから。でも、夢叶のそういうところも好き。
「ハヅキ……ハヅキィ……」
この声はまだ拒絶。もっと嬉しそうに私の名前を呼んで欲しい。
「ヤメテ……モウ、イヤダヨォ……。ヴァアァァ……イクゥ……ンアァァァアア!!!!」
おっとっと、いつの間にかに振動の強さを最強にしていたや。強に戻さないと。ビクンビクンと震える夢叶とその熱い吐息。夢叶に私の愛をもっと知ってもらわないと。愛はいつだってギブアンドテイクなんだから。もっと愛を注がないと。
「大好きだよ、夢叶。愛してるよ。夢叶も、私を愛して?」
「ハヅキ……。ワタシハ、ハヅキガ……イマノハヅキガキライダヨォ」
――パンッ――
「私を嫌う夢叶はいらない。ねぇ。私に愛を頂戴? 貴女が欲しいの。分かる?」
「アァァァァ……ワタシ……ヤダァ。イヤダヨォ」
嫌だ嫌だと言いながら、夢叶は身体を仰け反らせる。バスタオルの濡れている部分もどんどんと広がっている。はたいた側じゃない頬も真っ赤だし、吐息に熱も篭っている。なのに、どうして? 夢叶に私への愛がないの?
「大好きなの、夢叶が。大好き。愛してる。だから夢叶も、ね?」
「スキ……? アイ……? ワカラナイヨォ……」
「愛はね、こういうのだよ」
だらしなく開いたままだった夢叶の口に舌を捻じ込む。じゅぶじゅぶといやらしい音を響かせながら、そっと右手を動かして桜色の突起を弾く。声も出せないように夢叶を貪りながら、愛に溺れていく。
「分かった? 私の夢叶への愛情」
ひどく歪んでしまったけれど、夢叶への愛は本物。彼女は唯一無二の存在。分かってくれたかな?
「スキ? ……キス? キスシタイノハ……アイ?」
あともう少しで夢叶は私のもの。大きく頷きながら、私の心は弾む。
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