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その感情は、異常
一人寂しい毎日を七日間繰り返した。その中で私は、
「ん、あふ、んみゃ……」
夢叶の姿を妄想しながら自分を慰めることを覚えてしまった。妄想の中の夢叶は何でもしてくれるし、何でもさせてくれた。それが嬉しくて、快感で、私はどんどん堕ちていった。
「――――ん!!」
弓なりになった背中をベッドに叩きつけ、じっとりと濡れた指をなめる。
「あぁ……夢叶ぁ。夢叶ぁ……」
絶頂の後は悲しくて寂しくて……つらい。夢叶を汚すようで、自分を醜く思う。でも、一人でするのをやめることは出来ない。夢叶と本物の快楽を分かち合いたい。そう思うことは……傲慢なのかな?
「あぁ……夢叶ぁ」
彼女の姿を追いかけるように、私はお風呂場へ向かう。目の前に居る夢叶が幻影であることを知りながら。そしてシャワーを浴びると、きちんと服を着ることなくベッドへもぐりこむ。夢叶がいない毎日を生きるのがつらい。食事すらまともに摂れていない。少しずつ痩せ細る肉体に反比例して膨らむ自分の愛欲がたまらなく醜い。
「夢叶ぁ……」
もし彼女の名を呼べなくなったら……それはきっと、私の命が消えたことに等しいだろう。彼女への愛が……私の命。きっと燃えている焔は彼女への愛。消えることは死ぬことだ。彼女がいなくなってしまったら……蒸し暑い空気に蒸発できなくなった汗が一気に冷える。あぁ……寒気が……。彼女が、夢叶がいなくなる!? 自分は何を考えているんだ。そんなこと、有り得るわけがない。じゃなきゃ……どうして私は生きている!? 夢叶がいるから私は生きている。そうだ、思い出すんだ。彼女の声を、笑顔を。
「夢叶ぁ……声、聞きたいよぉ」
確かにメールのやりとりはある。でも、電話は出てくれない。メールの返信も遅い。しかも昼間は全然返してくれない。もしあの男と一緒にいるとしたら……。あぁ……心が痛いよ。夢叶がいなきゃ私……生きられないよ。なのに、どうして夢叶は私無しで生きていけるの!? わかんないよ!?
「夢叶……私を愛して……」
知らず知らず秘所をまさぐっていた私の意識は、夢叶の笑顔を幻視させた次の瞬間、ぷっつりと切れた。
ぎりぎりでヤンデレ。
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