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視線
すでに首に出来ていた二つの小さな傷と同じ場所を、ねっとりと舐め上げた。
くすぐったい感覚からかウィガルは少し身震いしながらも、それすら脳内で快楽へと変更されていた。
ラーニャ「さぁ……堕ちよ」
耳の中に息を吹きかけるように呟くと、傷跡めがけて牙を突き刺した。
先ほどの吸血行為でウィガルの体は血が欠乏しているため、多くを吸い取るようなことはしていない。
代わりに自らの唾液を傷口から流し込んでいった。
すると惚けていたウィガルの表情は一変し、目を見開いて口を動かしている。
身をよじって逃げようとするところを、ラーニャの小さな体で押さえつけていた。
ウィガル「あ……いや……。頭が痺れ……て、いや……ナニか……!」
目玉が飛び出さんばかりに見開かれた目からは涙を流し、地上に揚がった魚のように空気を求めている。
ラーニャはその姿勢のまま、片手をウィガルの下腹部へと持って行った。
焦らしのそれとは違い、何の前置きもなく数本の指を深々と挿し込んだ。
途端にウィガルの体はラーニャが馬乗りになった状態のままで弓なりに跳ねた。
ラーニャ「暴れるでない。この程度で音を上げておっては仕置きにならんではないか」
衝撃で首筋から頭が離れ、指も抜けてしまっていた。
言葉にもなっていない間抜けな声を上げるウィガルを見て、ラーニャは異様な興奮を覚えていた。
再び力強く体を押さえつけると、先程よりも指の本数を一本増やして挿し込んだ。
今度はすぐに内側を引っ掻くように暴れさせながら、最奥を求めて躊躇なく突き進ませた。
挿入の異物感と内側を掻き回される恐怖、快楽を半ば心の底から味わっていた。
ラーニャとウィガルの利害が一致してしまえば、互いのその行為はエスカレートしていく一方であった。
ウィガル「あ……ひっ……! もっと……もっ……と!」
ラーニャ「妾の唾液がすっかり回った様子じゃな。もはや脳が痺れてまともに話せまい」
冷静さを見せるラーニャであったが、自身の内から昇り詰める感覚に歯止めがかからなくなってきていた。
背筋を襲う小気味良い寒気。
ウィガルの腹の上では、湿り気を帯びていた部分がついに決壊を起こそうとしていた。
ラーニャを慰める者など誰もいない二人の中で、その疼きを抑えられるのは自分自身しかいない。
体をウィガルと重ね、空いた手で自らの下腹部を前座もなく派手に乱した。
ラーニャ「いぎっ……! ウィガル……、ウィガルよ、妾と共に……!」
十分に高まっていた感情に耐えられなくなり、より一層両手の動きが乱暴になっていた。
本能を貪る快感に嬌声を上げて応え、共に果てることを求めるラーニャ。
ウィガルが聞こえていないことなど構うこともなく、適当な場所に牙を突き立てた。
首筋でも何でもない、左鎖骨の下あたりに刺さったそれは、あわや太い血管を貫かんとしていた。
ウィガル「イっ……! あああぁ、やめっ……だ、ダメぇ!!」
いつもよりも高いトーンの声は艶やかに響いた。
再三の吸血と脳の甘い痺れ、そして的確に弱点を攻め続けるラーニャの指に、達するまでに時間は要さなかった。
ラーニャ「ウィガル、ウィガルっ……!」
周囲が汚れるのも気にせずに体液を飛び散らせ、大きく体を跳ね上げた。
甘美な音色の叫び声は、聞いた者の感情を増幅させていた。
薄く開いた客室の扉からから覗く二つの影の感情を。
ウィガルはこんなにも血を吸われて大丈夫なのだろうか。
理性うんぬんよりも生命の方が危うい。
まだまだ続く百合シーン。
隙間から見ていた二人は……。
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