Amazonのレビュー欄に何度投稿しても公開後に削除されたので自分のブログでも公開することにしました。
問題の製品
本記事の対象となるバッテリーは以下の製品です。
バッテリー本体
PB-Y8は1つのUSB Type-Cポートで充電も放電も出来るモバイルバッテリーです。
このような機能はUSB Type-C上に設けられたCCという配線によって実現されるのですが、PB-Y8のCCはUSB Type-Cの仕様で定められているものとは異なる挙動を示すことがGoogleのエンジニアであるBenson氏により指摘されています。
こういった製品を使用した場合、正しく動作しなかったり、接続しているデバイスに何らかの害をもたらす恐れがあります。
詳しい解説
※間違っている箇所があったら指摘お願いします。
USB Type-Cでは電気を受け取る側をSink、電気を出力する側をSourceと呼び、SinkとSourceの両方に対応したデバイスをDual-Role-Power (DRP)と呼びます。
今回問題にしているPB-Y8は “1つのUSB Type-Cポートで出力も入力もする” というデバイスなので、DRPに該当します。
こういったDRPデバイスではUSB Type-Cに2本あるCCのうち、何も接続していない方を5Vまたは3.3V(High)と0V(Low)の間で絶え間なくスイッチングし続ける必要があります。
2本あるCCはそれぞれ独立しているため、デバイスが接続された場合でも、どちらか片方はHighとLowをスイッチングし続けている状態が正常な挙動です。
しかしながらこのPB-Y8にeMarker内蔵C to Cケーブルを接続したところ、およそ正常とは思えない挙動を示したことがBenson氏により報告されています。
左側が正常にスイッチングしている状態で、右側がeMarker内蔵ケーブルを接続した場合のCCの電圧です。(Benson氏のGoogle+の投稿より引用)
接続する前は正常にスイッチングをしていたCCが、ケーブルを接続した途端に奇妙なスイッチングを起こしています。恐らくですが、本来はそれぞれ独立していなければならない2本のCCが内部のどこかで結線されているものと予想されます。
付属のUSB-C → Lightning 変換アダプタ
USB Type-Cの仕様書によると、このタイプの変換アダプタでは2本あるCCに “それぞれ” Rd抵抗を実装していなければなりません。(電気を受け取る側がSinkと認識されるために、2本のCCにそれぞれRdを実装して0Vにプルダウンする必要がある)
しかしながらPB-Y8付属の変換アダプタは、2本あるCCに “共通の” Rd抵抗が実装されていることがBenson氏により指摘されています。(Benson氏いわく、 “single bridged Rd resistor” とのこと)
このような変換アダプタは一部のUSB Type-Cケーブル(eMarker搭載品)と合わせて使用した場合、正常に動作しません。
付属のUSB-C → USB-A変換アダプタ
このタイプの変換アダプタは存在自体がUSB Type-Cの規格に適合していません。(そもそもUSB Type-Cの仕様書に載っていない)
このタイプの変換アダプタが許されていない理由はいくつかありますが、わかりやすいものでは「A to AケーブルといったUSBの規格から逸脱するケーブルを容易に作成できるようになってしまう」といった点が挙げられます。
所感
AUKEYのUSB Type-C製品って新しいものを発売するたびに「規格に適合していない」と指摘されている気がします。
AUKEYは以前A to Cケーブルで焼損事故を起こしていますし、AUKEYのUSB Type-C製品なんてお金払って買うもんじゃないと思います。
異臭がして、そのへんみてみたらケーブルが溶けてた。。。AUKEYってところのUSB type-c (もう片方はtype a) のケーブル。 pic.twitter.com/wX8lE6k4C2
— nasa2w (@nasa2w) 2016年5月16日
参考
Benson Leung’s review of AUKEY 5000mAh USB-C Universal Power Bank
https://www.amazon.com/gp/review/R1E1MB95C4HMHX
Benson Leung – Google+
https://plus.google.com/+BensonLeung/posts/gMVGvEjuZQD