第143回:自動運転をめぐる陰謀に女子高生が立ち向かう!
『ひるね姫~知らないワタシの物語~』

2017.03.18 エッセイ

倉敷ではマツダの軽トラが現役

近未来を描く映画には、現在よりも少しだけ進んだテクノロジーが登場するのが常だ。2020年の日本を舞台にするアニメ映画『ひるね姫~知らないワタシの物語~』で、自動運転車が重要なモチーフになっているのは自然なことだろう。物語は、東京オリンピック開幕の3日前から始まる。

監督は神山健治。『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』や『東のエデン』などで知られるクリエイターである。SFアクションを得意としているが、今回の作品の主人公は平凡な女子高生だ。岡山県倉敷市の高校3年生ココネは、父のモモタローと2人暮らし。家は小さな自動車修理工場で、居住領域にもクルマのパーツが散乱している。床の間にはエンジンが鎮座している始末だ。モモタローは一日中クルマをいじっていて、父娘の会話は少ない。

貧乏なのは、商売っ気がないからだ。近所のじいさんが持ち込んだ軽トラのパンクを修理しても、2000円しか受け取らない。ついでにカーナビも付けてあげたようだが、こちらは無料でいいという。それは困るということで、じいさんは畑でとれたスイカを代金代わりに渡した。

見慣れない形の軽トラだと思ったら、「マツダ・ニューポーターキャブ」だった。倉敷は広島の近くなので、マツダ車の人気が高いのだろう。このクルマは1989年に販売が終了しているから、少なくとも30年は乗っていることになる。

(c)2017 ひるね姫製作委員会
(c)2017 ひるね姫製作委員会
 
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「マツダ・ニューポーターキャブ」
戦前から三輪トラックを製造していたマツダは、1950年から四輪商用車に進出する。1968年になると軽ボンネットトラックの「ポーター」を発売し、翌年にキャブオーバータイプの「ポーターキャブ」を追加。1977年に改定された軽規格に合わせ、550ccエンジンを搭載した「ニューポーターキャブ」となった。
「マツダ・ニューポーターキャブ」
	戦前から三輪トラックを製造していたマツダは、1950年から四輪商用車に進出する。1968年になると軽ボンネットトラックの「ポーター」を発売し、翌年にキャブオーバータイプの「ポーターキャブ」を追加。1977年に改定された軽規格に合わせ、550ccエンジンを搭載した「ニューポーターキャブ」となった。

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鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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