「あなたは自分の裸の写真を送信しましたね。児童ポルノ禁止法違反で逮捕します。」
毎日新聞(2016年8月19日付)の報道によれば、児童ポルノ被害のうち、自分の裸を撮影してしまう被害が4割を占めているという。自業自得だというヤジが飛びそうだが、これが今の児童ポルノの現実である。もちろん、この場合、裸を撮影しているのは紛れもなく児童自身だ。しかし、それを性的に消費している対象は必ずいて、被害は確実にある。こうした被害は児童へのインターネットの普及とともに増加していると思われる。ただ、いくら被害を防ぎたいと言っても、インターネットやスマートフォンが生活の一部となっている現代において、子どもにインターネットを使わせない、スマートフォンを触らせないというのは非現実的だ。こうした被害を防ぐには、現実に即した有効な手立てが必要だ。この記事では、自画撮りの定義と実態、対策について考える。
http://mainichi.jp/articles/20160819/k00/00m/040/189000c
自画撮りとは?
警察庁の定義
「自画撮り」は、だましたり、脅したりして児童に自分の裸体を撮影させた上、メール等で送らせる形態をいいます。
言い換えれば、誰かに言われてアップロードした場合、自画撮りの被害ということができる。被害として扱われるには、加害者が必要なのだ。逆に、騙されたり脅されたりした相手がおらず、自発的にやってしまった場合、被害として扱われない。むしろ、児童ポルノをアップロードした犯人として罪に問われる可能性すらある。今回の記事でアップロードして逮捕されたケースがあったというのは、そうした内的動機から犯行に至った「構ってちゃん」だというわけだ。
http://mainichi.jp/articles/20160819/k00/00m/040/189000c
対策は?
同じく警察庁の資料では、フィルタリング、取締り強化、情報リテラシー教育によって解決することを提案している*1。前2項は、児童ポルノが閲覧されないための規制で、3つ目の情報リテラシー教育というのが、撮らないための規制だ。撮ってしまう人がいるのは嘆かわしい事態だが、防げない分は情報を規制して対処するしかないのだろう。そして、もちろん撮ることを事前に食い止める必要もあるというわけだ。
性教育も効果的
当然、以上のような対策も重要だが、問題はネットの使い方だけではないらしい。英語圏では「自画撮り」が、ネットでわいせつな文章などをやり取りする「セクスティング」(Sexting)の概念に含まれる。オーストラリアでは、合意の上での「自画撮り」が犯罪になってしまうことが問題視されたようだ。このセクスティングは自分の性的アイデンティティを表現する行為でもある。若者にとってはセクスティングは当たり前の行為になっており、それが罪になっては当然問題になる。この記事では、セクスティングが罪に問われてしまう法律の見直し以外に、性教育の強化も提案している。つまり、「安全」な性や、安全な空間における性的エンパワーメントについて再考する必要があるということだ。
児童の中で性的アイデンティティを適切に形成し、位置づけることができなければ、彼らの過激な性表現が悪い大人たちの餌になりかねない。もちろん若者文化も尊重したいところだが、性的な尊厳を高めることも必要なのかもしれない。
自己の尊厳を高める教育を
以上のように、自画撮りによる児童ポルノの発信を防ぐには、それなりの対策が必要だった。そもそも自画撮りは加害者によって、児童が性的な自撮り画像を送信させられた場合をいう。現状、自分の意志で自発的に撮影した児童は逮捕される。自画撮りの被害を防ぐには、児童に撮らせず、大人に閲覧させないための対策が必要となる。そうした対策として、警察庁は情報リテラシー教育やフィルタリング、取り締まりの強化を挙げている。一方で、自分の性的な画像を発信することが若者文化として根付いているケースもあり、性的アイデンティティを見つめ直す教育も求められる。
こうした性的な自撮り画像は、体を写したものであって、心を写し取ったものではない。その書き込みで人気が集まったとしても、あなたの見た目を性的に利用されているにすぎないはずだ。児童が自分の尊厳を高められるような教育が求められているのではないだろうか?