森友学園問題さらに混迷…23日証人喚問へ、籠池氏「すべて話す」

2017年3月17日6時0分  スポーツ報知
  • 視察に訪れた参院予算委の与野党委員らに応対する籠池泰典氏(左から2人目)

 大阪府豊中市の国有地を格安で購入した学校法人「森友学園」(大阪市)の一連の問題で、理事長退任の意向を示している籠池(かごいけ)泰典氏は16日、設置認可申請を取り下げた小学校に関し「安倍晋三首相からの寄付金が入っている」と、現地調査で訪れた参院予算委員会の視察委員に対して述べた。籠池氏はその後、野党4党と面会し、国会に出向いて詳細を語る意向を明言した。一方、安倍首相は寄付を否定。与野党は23日に籠池氏の証人喚問を行うことで合意した。

 渦中の籠池氏はこの日午後2時15分ごろ、小学校建設予定地で、参院予算委員会の視察委員11人の訪問を出迎えた。200人超の報道陣を前に、自民の山本一太委員長らに声を張りあげて言い放った。「この学校への(寄付の)ご意志の中には、恐縮ですが、安倍内閣総理大臣の寄付金が入っておりますことを伝達いたします!」。民放各局も生中継する中で強調すると、視察委員を校舎の中へ案内。15年に幼稚園の講演に訪れた安倍昭恵首相夫人から「首相からです」と100万円を受け取ったと説明した。

 籠池氏はその後、豊中市内の自宅で委員とは別の野党4党の4議員と1時間以上にわたって面会。話し合いを終えると「すべては国会でお話しします」とだけ述べた。今月10日の会見では、国会の参考人招致を「私は民間人。応じません」と突っぱねていたが、野党の“説得”によって1週間足らずで翻意した形。社民党の福島瑞穂氏は、寄付金について「安倍晋三」という名前はなかったが、籠池氏側の記録を確認したという。

 籠池氏の発言を受け、菅官房長官は「首相に直接確認したが『昭恵夫人、事務所など第三者を通じても寄付していない』ということだ。夫人個人で行ったかどうかを現在調べているところだ」。首相も「官房長官から話があった通りだ」と述べ、否定した。官邸で籠池氏の発言を聞いた首相は「えっ」と驚き、すぐにあきれた表情を見せたという。2月17日の衆院予算委員会で「私や妻、事務所が関わっていれば、首相も国会議員も辞める」と断言したが、この日夜の与党議員との会食でも「翻弄されずに頑張ろう」と強気の姿勢を見せた。官邸筋も「寄付がないことは確認できている」と自信を見せている。

 自民党の竹下亘国対委員長は民進党との協議の結果、23日に衆参両院の委員会で証人喚問を行うことで合意した。「首相に対する侮辱ですから。これはしっかり受け止めなきゃいけない」と記者団に述べた。政府、与党はこれまで台風一過を待つ作戦だったが、籠池氏側の一方的な情報を放置すれば「政権を揺るがす事態になりかねない」(与党筋)との懸念が背景にあるとみられる。

 ◆証人喚問 宣誓した証人は法で定められた証言拒否事由がない限り、証言を拒否できない。参考人招致と異なり、虚偽の陳述をした場合には偽証罪に問われ、3月以上10年以下の懲役に処される。12年4月、AIJ投資顧問の年金消失問題を巡り、衆参両院で行われて以来となる。

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