『宇宙の歴史は、凝集と拡散のせめぎ合いとして展開される。』とは本書で繰り返し述べられるフレーズだが、凝集の到達点が、この宇宙暦1正年後に存在する銀河を飲み込み周囲に他の何も存在しない超巨大ブラックホールといえる。いっぽうで、拡散の到達点は、陽子にも中性子にも見捨てられ、もはや星の存在しない空間を漂う電子、陽電子、ニュートリノ・光子などの素粒子であるといえる。凝集と拡散の極点に至ることで、宇宙に(ひとまずの)終焉が訪れるのだ。
■ 最後に残ったブラックホールはどうなるのか
ことここまで至ってしまえば、残ったやつら(電子とかブラックホールとか)は両手で数えられるほどに減ってしまい、100億年頃の賑やかだった頃は違って寂しいもんである。この目でその状況をみてみたいものだが、さすがにもう生物も残っていないだろう(そもそも惑星がない)。
最後に残ったブラックホールがどのように蒸発していくのか。そして、そこに至るまでのこの宇宙の変貌過程はぜひ読んで確かめてもらいたい。ただひたすらに楽しく知的興奮に満ち溢れ、それでいてブラックホールの性質から素粒子物理学の初歩的な理論まで学べる最高の一冊である。
冬木 糸一
1989年生。フィクション、ノンフィクション何でもありのブログ「基本読書」運営中。 根っからのSF好きで雑誌のSFマガジンとSFマガジンcakes版でreviewを書いています。
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