たとえば夜はなぜ暗いのか? という問いに対しては「宇宙空間が膨張したから」という端的な答えが返ってくる。宇宙空間の膨張が続いてエネルギー密度が低下したため、宇宙からはどんどん昔のような輝きが失われていったため相対的に暗くなっていったのである。いっぽう、膨張し宇宙の温度が4000度から3000度付近にまで下がることで電子と陽子は結合して水素原子に変化し、それまで電子によって散乱されていた光はまっすぐ進むようになる。
宇宙はより透明になり、我々のいま知っている状態へと一歩近づいた。この時の光は宇宙空間のあらゆる場所に存在する太古の光として今でも観測できるのだ。その後、恐らくはガス雲の内部で物質を集めながら成長した第一世代の星が生まれ、続いてその星内部の核融合や終わりにやってくる超新星爆発によって複雑な元素が生まれ、我々の"現在"、138億年へとつながっていく。
■ 天体を跡形もなく飲み込むブラックホール
138億年以後には何が起こるのか? たとえば太陽程度の質量を持つ恒星はおおむね寿命が数百億年以下なので、100億年も経てば次々とその姿を消していく。新たな恒星が渦巻銀河や矮小銀河で誕生するが、生まれる数より減る方が多いので少子化現象的に総数としては減少する。
赤色矮星は中心部の温度が密度が低いため寿命が1兆年に達することもあるので寿命は他よりも相当長いが、その性質上陸地は存在しにくく光量が不足すると予測されるので、赤色矮星以外の恒星が消えゆくことで宇宙から生命も減っていくと考えるのが自然だろう。さらにその先(宇宙暦100兆年)まで時計の針を進めると、明るく輝く星はすべて消え、銀河は暗黒に包まれてしまう。
1該年も経つと銀河を構成する天体はほぼ蒸発する。残った天体は中心部へと凝縮し、そこに存在するブラックホールへと飲み込まれていく。いくつかの理論によれば1澗(かん:10の36乗)年も経つと今度は陽子の崩壊がはじまり、物質はどんどん失われていく。陽子って崩壊するんだなあと馬鹿みたいに驚きながら読んでいたが、1澗年とは途方もない数字で正直イメージが掴めない。
“こうして宇宙暦1正年(10の40乗年)頃には、陽子や中性子は宇宙空間から完全に姿を消し、電子、陽電子、ニュートリノ、光子が薄く漂うだけとなる。だが、まだ完全な終わりではない。所々に、巨大なブラックホールが残っている。”
「だが、まだ完全な終わりではない」なんて書かれると最後に残った救世主的に思えてくるブラックホールだけれども、別に宇宙を救うわけでもなくただ最後まで残っているだけである。
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