東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 東京 > 記事一覧 > 3月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【東京】

差別撤廃訴えたハンセン病元患者 谺さんの人生を刻む記録DVD完成

谺さんの人生を記録した「熊笹の尾根の生涯」

写真

 二〇一四年に八十二歳で亡くなった国立ハンセン病療養所「栗生(くりう)楽泉園」(群馬県草津町)の元患者、谺(こだま)雄二さんの記録映像をまとめたDVD「谺雄二 ハンセン病とともに生きる 熊笹の尾根の生涯」が完成し来月、都内で上映会が開かれる。死を目前にした谺さんがベッドの上で「まだまだ死ねないよ」と言葉を絞り出すシーンを初公開。差別撤廃運動を代表する存在だった谺さんの生き方を鮮やかにとらえている。 (菅原洋)

 谺さんは一九三二年、東京で生まれ、七歳で発病した。母と兄も発病し、家族は過酷な差別を受ける。こうした体験から、国に強制隔離などの責任を追及したハンセン病違憲国賠訴訟では、全国原告団協議会の会長を務めた。楽泉園で終戦後まで患者が監禁された懲罰施設「重監房」の復元運動にも取り組んだ。

 重監房には理不尽な理由で患者延べ九十三人を収容し、真冬は氷点下二〇度近くになる室内で粗末な食事しか与えず、二十三人が死亡したとされる。

 タイトルの「熊笹の尾根」は、重監房の跡地一帯などにクマザサが生えることから付けた。入所者自治会が企画し、岩波映像(文京区)が約十年前から撮影してきた映像を編集。昨秋開かれた谺さんの企画展で一部を上映し、今回、四十三分間に再編集した。重監房について谺さんは「孤独、闇、極寒、飢餓という四つの地獄を一度に再現したところ。人権とは何か考えてほしい」と求めている。

 DVDは一万五千円(税抜き)で販売は来月から。団体など向けに別の価格設定もある。上映会は四月十四日午後七時〜八時四十五分、文京区の文京シビックセンターで。関係者のトークもある。参加無料で定員は三百人。問い合わせは岩波映像=電03(5689)2601=へ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】

PR情報