ツイッターの複数の公式アカウントが大規模なハッキングの被害に遭った。対象となったアカウントには、国際的な人権団体アムネスティ・インターナショナルや国連児童基金(ユニセフ)、欧州議会などが含まれていた。このハッキングに先立っては、トルコとオランダの間には外交的な対立が起きていた。
いわゆるネット上の「荒らし」とみられるハッカーは、複数の名だたるアカウントを乗っ取った。対象には、NPO法人や欧州連合(EU)の関連機関、また、BBCの北米支局やロイタージャパン、フォーブスなどのメディアも含まれていた。
ハッキングされたアカウントは、オランダをナチスになぞらえたトルコ語のメッセージをツイートし、一部のユーザーのプロフィル写真をトルコ国旗やオスマン帝国を象徴する画像に変更した。
■ナチスの「かぎ十字」も
ツイートには、ナチスのかぎ十字や「♯ナチス・ドイツ」、「♯ナチス・オランダ」を意味するハッシュタグがあった上、トルコのエルドアン大統領の大統領権限拡大のための4月16日の国民投票にも触れていた。
ツイッター側は「多数のアカウントに影響を及ぼした今朝の問題については認識している。第三者のアプリを発信源として素早く特定し、即座に許可を取り消した」と発表した。
この大規模なハッキングは、オランダのソーシャルメディア分析会社が提供するアプリ「ツイッターカウンター」から発生したとみられている。実際、一部のツイートは同サービスを介して投稿された痕跡があった。ツイッター側は「影響を受けたアカウントは今以上に増えていない」としているが、ほかの第三者のアプリが同様にハッキングされたかについては、はっきりしないままだ。
ツイッターカウンターのオマー・ギノー最高経営責任者(CEO)は「我が社のサービスがハッキングされたことは認識しており、調査を開始した。利用者のアカウントがこうした被害に遭わないよう既に対策をとっている。今回の被害は実際に、我が社のシステムを使って起きたとみられるため、我々のシステムを使ってツイートを投稿できる全ての機能を遮断した」と語った。
同社は、2016年11月に起きた手口と似たような手口でハッキングされた。当時は、3億5000万のツイッターアカウントのなかで「プレイステーション」や米誌「ザ・ニューヨーカー」、「赤十字」など名だたるアカウントの一部からスパムをツイートさせるという手口だった。
ツイッターカウンター側も、ツイッターが自身のアプリを遮断したことを認めており、「もしこうした被害が続くなら、単に我々経由だけが原因ではないと確信する」と述べている。
今回のハッキングは政治的動機によるものとみられている。このハッキングに先立ち、トルコの国民投票を巡る遊説で、オランダの集会に向かっていたトルコの外相を乗せた航空機がオランダから着陸を拒まれ、エルドアン大統領はオランダ政府の振る舞いはナチスのようだと非難していた。
By Madhumita Murgia
(2017年3月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)
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