統幕幹部、日報隠し指示か 陸自も保管判明
南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の日報を巡り、廃棄したとしていた陸自内で電子データが保管されていた問題で、保管が判明したのは1月中旬だったことが政府関係者の話で分かった。防衛省は昨年12月、日報に関する情報公開請求に「廃棄して不存在」と回答後、12月26日になって陸自とは別機関の同省統合幕僚監部(統幕)で電子データが見つかった経緯がある。稲田朋美防衛相の指示を受けた防衛監察本部は特別防衛監察を実施、統幕幹部らが「陸自保管」の事実を隠した可能性を視野に調査するとみられる。
同省は2月7日から統幕で見つかった電子データの開示を開始した。だが、同省はその際にも「陸自にはデータは保管されていない」と説明し、事実を公表しなかった。同16日の民進党のヒアリングでは、統幕が派遣部隊の端末を調べたとした上で「(日報作成から)1~23日程度後に廃棄していた」と説明したが、日報の報告を受ける上部組織の陸自中央即応集団(CRF)での廃棄時期については回答を先送りしていた。派遣部隊以外の陸自部署での廃棄時期を明示すると「保管」やその後の廃棄の事実が明るみに出てしまい、過去の説明との矛盾を問われることを恐れた可能性がある。
CRFでの廃棄時期の回答を先送りしたことについて、ある統幕関係者は「国会答弁を乗り切るため」と証言。「陸自保管」の非公表が組織的だった可能性を示唆した。
制服組トップの河野克俊統合幕僚長は16日の記者会見で「隠蔽(いんぺい)は組織にとって致命的打撃になるというのが私の信念」と述べ、特別防衛監察に全面的に協力する考えを示した。【町田徳丈】