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格安スマホ好調! 大手携帯会社はピンチか

東洋経済オンライン 2/17(金) 5:00配信

 格安スマホを展開するMVNOが台頭し、安価な月額料金でスマートフォンが利用できるようになった。一方、販売面で苦戦しているのがNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手携帯通信会社だ。

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 その要因は昨年4月、総務省がスマホ販売に関するガイドラインを打ち出したことだ。「実質ゼロ円販売」(2年間の利用を前提に端末代金と同額の料金を値引きする)が事実上できなくなった。他社から乗り換える番号ポータビリティ(MNP)の利用者を、過度な値引きによって獲得することが不可能になったのだ。

 また、端末の割引額が減少し、ユーザーの負担が増えたことから、MVNOやワイモバイルなどの低価格サービスにユーザーが流出する動きも強まっている。新規ユーザーの開拓が困難になり、既存ユーザーの流出も続く。大手携帯通信会社は一見すると苦しんでいるように見える。

■MVNOを“味方”と捉え始めた携帯通信大手

 毎月1万円近く料金を支払っている大手携帯会社の利用者が、月額2000円前後のMVNOのサービスに流れてしまえば、直接的に得られる収入は大幅に減る。それゆえ、従来、MVNOは既存通信会社の敵ともみなされてきた。

 しかし、MVNOは大手携帯通信会社におカネを支払ってネットワークを借りてサービスを提供している。通信会社にとってMVNOが増えることは、接続料収入などの収益源が増えることにつながる。メリットもあるのだ。

 さらに、最近は両者の関係も大きく変化しつつある。その要因のひとつは総務省の政策にある。総務省はMVNOの競争力を高めるべく、ここ1~2年のうちに競争を阻害する大手通信会社のSIMロック(ほかの通信会社の回線で使えないようにすること)や、前述のように、通信会社を乗り換える客を優遇した過度な割引販売に対し、厳しい対応を取るようになった。

低価格サービスは味方?

 こうした総務省の姿勢は、MVNOがある程度競争力をつけるまで変わらないとみられる。そこで、大手携帯通信会社は「低価格を求めるユーザーがある程度流出するのはやむを得ない」と判断したのだろう。可能な限り自社に収入が入るように、自社のネットワークを用いたMVNOを広げたり、サブブランドを味方につける動きが加速している。

 実際、KDDIは2016年からグループのUQコミュニケーションズが展開する「UQ mobile」で大幅なテコ入れを進めた。同年12月にはネット接続やMVNOを手掛けるビッグローブを買収するなど、MVNOを着実に広げている。

 ソフトバンクは、ユーザー獲得が進むサブブランド「ワイモバイル」に一層力を入れている。2月からは、ヤフーの有料会員サービス「Yahoo! プレミアム」と同等のサービスが無料で利用できる「Yahoo! プレミアム for Y! mobile」を、主力の「スマホプラン」などの契約者に対して提供しているのだ。

■最大手のドコモはどうする? 

 それでは、9割以上のMVNOに回線を提供するドコモはどうか。こちらはMVNOに対してコンテンツを提供している。「dTV」(動画見放題)や「dマガジン」(雑誌読み放題)など、自ら展開するコンテンツサービス「dマーケット」(どの携帯通信会社のユーザーでも利用可)をユーザーに積極的に使ってもらおうということだ。

 多くのMVNOは通信以外のコストを削ってサービス提供していることから、大手のように独自サービスを開発・提供するのは難しい。そこで多様なコンテンツを持つドコモと協力し、サービスの魅力を高めることで、加入促進へとつなげているわけだ。

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最終更新:2/17(金) 5:00

東洋経済オンライン

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