鴻池祥肇(よしただ)元官房副長官(76)の登場によって、第2幕へと突入した森友問題。その幕を開けたのは降って湧いた「鴻池メモ」だ。この存在が明らかになり、彼は会見を開くに至ったわけだが、その背景には「自作自演」と「謀略」の匂いが……。
***
「ある自民党国会議員事務所の面談記録を入手した」
3月1日午後の参院予算委員会で、共産党の小池晃書記局長がこう切り出すと、ざわついていた第一委員会室は静まり返った。さらに小池氏がその記録の詳細を紹介し、財務省と総理を追及すると、室内からは「おーっ」と驚嘆の声が上がった。森友問題が「再噴火」した瞬間だった。
そこから事態は急速に動き出し、
「小池さんは予算委員会で自民党国会議員の名を明かしませんでしたが、その日の夜には鴻池さんが記者会見を行い、事実上、それは自分であると認めました」(政治部記者)
過去の愛人問題では往生際悪く、嘘を吐(つ)き続けたのに、今回はあっさりと「自供」。潔さとは無縁のはずの彼が何とも不可解だが、その謎はある野党議員によって解かれた。
〈共産党の小池議員が森友学園と政治家の関係を暴露しました。(中略)実は、鴻池議員が森友学園の学校法人の認可をおろさせたくないので、共産党に情報を提供したのです〉
予算委員会翌日、民進党の桜井充参院議員がメルマガでこう明かしたのである。つまり、鴻池氏自ら共産党にネタを売っていたのだ。俄(にわ)かには信じ難いが……。
「経緯を紹介しますと、メルマガに載せる前に、『この内容で出しますがいいですか?』と鴻池事務所に原稿を見せたんです」
と、桜井氏は証言する。
「もともと、メルマガを出した日の午前中に、民進党の同僚議員から『あの記録は鴻池さんが自ら共産党に出したんですよ』と聞かされていたんですが、念のため事務所に確認しました。すると、鴻池さん本人から『これで結構です』と連絡が来たんです。メルマガの内容に関して間違いはありません」
要は慎重に裏取りした上でのメルマガだったのである。武士道やサムライといった言葉が大好きな鴻池氏は、バリバリの右派。そんな彼が赤い共産党に「塩を送る」とは、本来なら顔が赤くなるほどの赤っ恥のはずである。その恥を忍んでも自作自演をした動機について、ある官邸関係者は、
「3月3日の産経新聞に、谷垣グループから数人の議員が抜けて麻生派に合流予定という記事が載っていましたよね。つまり、麻生さん(太郎・財務相)は自派閥の拡大に意欲的で、まだ枯れていないんです」
とした上で、不快感を示しつつこう読み解く。
「事実、彼は解散戦略などで対立する安倍側近の菅さん(義偉・官房長官)を警戒していて、『あわよくば』の思いを持っている。森友問題が大きくなれば安倍政権へのボディブローになるのは間違いなく、その『あわよくば』のチャンスは近付いてきます。そして、鴻池さんは、JC(日本青年会議所)時代からの麻生さんのお友だちで、今も最側近。麻生政権の夢よ再びとの思いがあればこそ、大嫌いな共産党にネタを持ち込む暴挙に出たんですよ」
麻生氏再登板を見据えた安倍潰しに共産党を利用……。野党共闘の一歩「先」を行く、自共共闘の謀略?
特集「『森友学園』の火薬庫」より
「週刊新潮」2017年3月16日号 掲載
新潮社

読み込み中…