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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 自分の部屋で寝転びながら、スマートフォンのゲーム「ポケモンGO」で遊ぶ。珍しいポケモンが出没しそうな所ならどこでも、ニューヨークにでもパリにでも「行ったことにして」目当てのポケモンを捕まえる。そんなことは可能なのか

▼「やろうと思えば、できます」と話すのは、東京大のディネス・マナンダー特任准教授だ。ポケモンGOは衛星利用測位システム(GPS)を使ったゲームだが、GPSの受信機をだまして、偽の日時と場所を示させる技術があるというのだ

▼「現在のGPSには、そういう危険が潜んでいるのです。十年前に私が警告を発してもまともに耳を傾けてもらえませんでしたが…」とディネスさんは話す。「GPSの情報を、知らぬ間に操作されたら、どんな深刻な事態が起きるか、考えてみてください」

▼これも、かなり深刻な事態だろう。警察が捜査対象者の車に、無断で、裁判所の令状もなしにGPS端末を取り付けていた

▼それが許されるなら、警察は私たちの行動を、誰に縛られることもなく監視できることになる。最高裁が「公権力による私的領域への侵入」という言葉を使って、「違法」と断じたのも当然だろう

▼いつ誰と、どこにいたか。知らぬ間に把握され、記録される。しかもそれが勝手に変えられる危険もある。高度情報化社会とは、そういうモンスターが潜む世界なのだ。

 

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