くるまるです。
今回は走行距離メーターの改ざん、巻き戻しについてです。
『中古車の走行距離メーター改ざん』は、
実際の走行距離よりも少なく見せて商品価値を上げて販売するという、詐欺です。
メーカーの工夫や政府の施策が進み、
かなり減少したと言われる走行距離メーターの改ざん車ですが、
完全になくなったわけではありません。
それでは、その手口や対策についてお話致しましょう。
【目次】
メーターのデジタル化対策
昔の自動車の走行距離メーターは、
アナログで0~9までの数字が書かれた文字盤がクルクルまわって表示するものでした。
アナログな走行距離メーター部品▼
一応ギアが入っているので、無理に逆回転させようとすると、メーター自体が壊れてしまいますが、慎重に回すと戻せました。
また、走行距離メーターはスピードメーターと連動しています。
昔は『本当のアナログ』だったので、スピードメーターに接続させたワイヤーを逆回転させれば走行距離メーターが逆回転し、走行距離表示数が減るという構造でした。
なので、
モーターなどにつないで地道にメーターを逆回転させる
というアナログな手口も過去にはありました。
現在、走行距離メーターも、スピードメーターも見た目は針のついたアナログメーターであっても、タイヤからの回転を一度電気信号にして、メーターが読み取るデジタル方式になっています。
このデジタル表示された走行距離を変更させるには専用機器が必要になるので、素人による巻き戻しや専用機器を持たない業者による走行距離表示の変更は基本出来ません。
ちなみに、この専用機器は本来、メーターを交換修理する際に実走行距離とメーターの表示距離を合わせるものです。
車検証への走行距離記載対策
国土交通省も対策をしています。
普通自動車は平成16年(2004年)1月から
軽自動車は平成21年(2009年)1月から
車検を受けた際には車検証の備考欄に走行距離が記載されるようになりました。
あなたの車の車検証にも左下を見れば記載されています。
車検証の備考欄に掲載される走行距離は2つ。
最新の車検時の走行距離メーターに表示された走行距離と、
その一つ前に受けた車検時の走行距離メーターに記載された走行距離です。
ココを見て、最新の『走行距離計表示値』よりも、
一つ前の車検時の『旧走行距離計表示値』の方が多いとなれば、
メーターの走行距離が修正されているか、メーターそのものが交換されているという事になり、走行距離メーターの改ざんがあったという事になります。
それでもなくならないメーター改ざんの手口とは?
これだけの対策をしても、メーター改ざんをして本来の車の価値よりも価格を上げ、売却しようとする悪徳業者は存在します。
それでは、その手口と対策をご紹介しましょう。
手口1.初回車検までに走行距離偽装
まず、デジタルメーター表示に関しては『専用機器』を使えば変更可能ですし、変更作業を請け負う業者もいます。
そして、てっとり早いのはメーターの交換です。
今装着されているメーターよりも距離の進んでいないメーターに交換すれば簡単に距離は減りますよね。
この手口は新車の場合、簡単に出来てしまいます。
車検証に前回の走行距離が表示されていないのですから、車検直前にメーターを交換してしまえば簡単に偽装できます。
◆対策
登録年からちょうど3年ぐらいで新古車のような走行距離なのに「安い」と感じる車は疑いましょう。
ただし、3年という短い期間であれば走行距離が伸びたところで、実はあまり車に影響が出ません。
知らないで詐欺にあうのは気が悪いですが、知った上で安く購入するのはアリだと私は思います。
手口2.ダブル車検
一度、車検を受けると備考欄に走行距離が掲載されます。
次の車検までに走行距離を偽装して、車検を受けると車検証でバレバレのメーター改ざん車の完成です。
時々、中古車検索サイトなんかでも表示されている「走行距離:改ざん車」というのはこういう車です。
この車が、もう一度車検を受けるとどうなるでしょう?
走行距離は最新の距離と前回の距離の2回分しか表記されていませんから、
更新されて改ざんされた過去は隠れてしまいます。
じゃあ、メーター改ざんして2年間眠らせてから車を販売するのか?
そんなまどろっこしいことはしません。
車検切れを待たずして、車検を受けた直後、短期間の内にもう一度車検を受けてしまえば走行距離の隠ぺいは可能です。
そんなことが可能なのか?
可能なんです。何なら、
車検を受けたその日のうちに、もう一度車検を受けることも可能です。
車検を受ける回数に法律的な定めはなく、手数料や自動車重量税さえ払えば2回でも3回でも車検を受けるのは自由です。
この手を使えば簡単に1つ前の走行距離が消えてしまいます。
◆対策
車検証については今年2017年1月から国土交通省が対策をしました。
過去にメーター交換などで走行距離が1度でも減った車の車検証には
『過去に表示された最大値』
が記載されるようになりました。
一般社団法人広島県自動車整備振興会でのお知らせ▼
http://www.hasp.or.jp/shinkoukai/HASPnews/2017/2gatu/p40.pdf
しかし、これまでに偽装されてしまっている車も存在しますから、次の手口を読んで、対策を覚えておきましょう。
手口3.徹底的に隠ぺい
実は車には走行距離メーター以外にも走行距離を知ることができる部分が有ります。
- オイル交換時期を表示したラベル
- 整備記録簿・メンテナンスノート
- 保証書
こういった物に表示された走行距離よりも
メーターの走行距離が少ないと不自然ですよね。
悪徳業者はこれら走行距離がわかるものを徹底的にに排除してしまいます。
メーター以外に走行履歴を予測できるものが何もない車は疑う必要がありそうです。
◆対策
オイル交換時期ラベルは、ドア裏やボンネット内など作業する人によって貼付け場所が違いますから、よく探せば「はがし忘れ」が出てくることもあります。
オイル交換時期ラベルの貼付け例▼
整備記録簿・メンテナンスノートに関しては、メーター交換後に、ディーラーへ持ち込んで、紛失したと言って再発行と整備記録(走行距離)の記載をしてもらう手口があります。
車の登録年式に対して整備の日時があまりに離れていて、1度しか記載されていない様な物は再発行されている可能性が高いです。
メンテナンスノート▼
まとめ
様々な防犯対策がされていますが、撲滅出来ていないのが現状です。
上記の対策を参考に加えて、
『走行が少ないわりに安い』
『走行が少ないわりにハンドルがすれている、シートがヘタっている』
『走行が少ないわりにタイヤが新品に交換されている』
こういった中古車はよく注意して購入しましょう。
メーカーや政府の対策がされるまで、中古市場にはあまり見かけなかった10万キロを超える格安車も最近では出てくるようになりました。
これが暗示するところは
「昔はみんなやっていた。」
ということでしょう。
逆を返せば、10万キロを超えるような過走行車であっても、キッチリ整備さえしていれば問題なく走るという見方もできます。
10万キロを超える過走行車であっても、お店が1年以上保証してくれるような車は信用できてお買い得車と言えるかもしれませんね。
◆自分で良い車かどうか見分けるのに自信がないという方は、
ジョージマンさんの『プロによる中古車探し』記事を参考にしてみて下さい。▼
過走行の中古車は購入時は格安ですが、売却時の査定額もグンと下がる可能性がありますから注意しましょう。
だからといって、
走行距離を偽装すると立派な犯罪者
になってしまいますから絶対にしてはいけませんよ。
◆過走行の中古車は海外輸出で値段がつきますので、
買い取り専門業者にお願いしましょう。▼
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