【ベルリン=加藤貴行】自動車部品世界最大手の独ボッシュは15日、インターネットに常時接続するコネクテッドカー(つながる車)向けのクラウドサービスを始めると発表した。車周辺のあらゆるデータをやりとりするプラットフォーム(技術基盤)と位置づけ、機器が集めるあらゆる情報を取り込み、サービス面から安全で効率よい運転を促す。サービス強化に動く同社の象徴となる。
ボッシュが同日ベルリンで開いた、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」関連の自社イベントで、フォルクマル・デナー社長が表明した。
サービスは「ボッシュ・オートモーティブ・クラウド・スイート」の名称で展開。車や道路インフラに設置された機器と運転手、さらに車の関連事業を手がける保険や部品、修理サービスなど企業をつなぐ。具体的には、道路を逆走した場合に警報を発したり、車の整備が必要な状況を事前に知らせたりする。無線通信でソフトを更新することも可能になる。
またボッシュは、米半導体大手エヌビディアと合意済みの自動運転車向けの人工知能(AI)搭載コンピューターの共同開発に関し、2020年代初めに生産を始める方針も明らかにした。エヌビディアが機械学習によりアルゴリズムを蓄積する半導体を提供し、ボッシュが最終製品にする。デナー社長は同日の記者会見で「(自動運転の)レベル2から段階的に進化し、レベル4に対応する」と説明した。
一方、米インテルが先進運転支援システムのモービルアイ(イスラエル)の買収を決めたことに関し、デナー社長は「インテルは当社のパートナーであり、モービルアイは当社の明確な競合だ。影響は見極めなくてはならない」と述べた。
また、米半導体大手クアルコムによる車載半導体首位NXPセミコンダクターズ(オランダ)買収など、自動運転技術を巡る合従連衡が相次ぐことに関しては、「半導体は成熟産業になってきたが、自動車分野に各社が入ってくることはよいことだ」と歓迎する考えを表明。そのうえで「当社の半導体事業は特定用途であり、戦略に影響はない」と答えた。