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【阿比留瑠比の極言御免】
民進党は「虚偽答弁」と批判できるのか? 菅直人政権がかつて答弁書で打ち出した政府見解とは…
ただ、一連の民進党による追及を見ると、どうしても民主党(現民進党)政権時代の平成22年12月に、当時の菅直人内閣が政府の公式見解として閣議決定した答弁書を思い出す。
自民党の森雅子氏が質問主意書で「閣僚が国会において虚偽の答弁を行った場合、この閣僚にはどのような政治的・道義的責任が生じると考えられるか」と問うたのに対し、菅内閣はこう回答したのである。
「答弁の内容いかんによるものである」
この答弁書決定に先立つ臨時国会では、尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖の中国漁船衝突事件をめぐり、菅内閣が勾留期限前に超法規的に中国人船長を釈放しておきながら判断責任を那覇地検に押し付けるなどし、国会で菅首相らの虚偽答弁が厳しく追及されていた。
そんな状況下で、民主党政権は閣僚が国会で嘘をついても、必ずしも政治的・道義的責任は生じないという政府見解を打ち出していたのである。そしてこれについて党内から異論や疑念は表明されなかったし、メディアは産経新聞を除き取り上げなかった。
にもかかわらず、虚偽というより物忘れの類いである稲田氏の答弁を、「罪」とまで言い切る民進党とはどんな存在なのだろうか。
森友学園をまるで「絶対悪」であるかのように一方的に糾弾し、それに少しでもかかわった者も同罪だと決め付けて疑わないかのような野党やメディアの姿勢は、集団ヒステリーか魔女狩りのようで気味が悪い。
国会や紙面を単なるつるし上げの場とし、暗黒裁判の法廷となすことが、彼らの言う民主主義なのか-。