北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏が先月13日にマレーシアで神経ガス「VX」を使って暗殺されて以来、韓国では北朝鮮の化学兵器に対する不安が強まっている。これに伴い、韓国の国民安全処は今年、西北島しょ(西海〈黄海〉沖の北方限界線〈NLL〉近くにある島々)や休戦ライン隣接地域などで新たに作られる退避所13カ所について計83億2000万ウォン(現在のレートで約8億3200万円。以下同じ)を投じ、北朝鮮の核・生物・化学攻撃に備えた空気清浄装置を取り付ける。建設費用は1カ所当たり6億4000万ウォン(約6400万円)で、このうち9000万ウォン(約900万円)が空気清浄装置の費用だ。空気清浄装置は、化学戦の状況において、退避所内で最大5時間まで耐えられるようにしてくれるという。
これまで韓国政府は、長射程砲など北朝鮮の砲撃に備えて、バンカー(掩蔽壕〈えんぺいごう〉)構造の退避所を毎年10-20カ所ずつ整備してきた。しかし化学弾頭が落下してきた場合は、防毒マスクのほかに防ぐ手立てはない、というのが実情だった。既存の退避施設190カ所については、毎年10カ所ずつ空気清浄装置の補強を行っていく計画だ。