論文がとくに槍玉に挙げているのは自動車分野だ。米韓FTAは自動車について「米国は2.5%の関税を発効後4年間維持した後、撤廃」「韓国は発効日に8%の関税を4%に引き下げ、これを4年間維持した後、撤廃」すると規定した。
これに関し、論文は「たとえ韓国がこの自動車の条項に違反しても、だらだらと長い手続きを経た後、ペナルティーとして、せいぜい、2.5%という控えめな関税率に戻るだけ。韓国の行動を変えることはほどんどできない」と非難している。
そして、こうした“韓国有利”のFTA締結は、大統領選のライバルで、オバマ政権で国務長官を務めたヒラリー・クリントン氏の責任であるとした。
具体的には、クリントン氏が米韓FTAで「米国に7万人の雇用を生み出す」と約束したにもかかわらず、実際には9万人以上の雇用を奪い、対韓貿易赤字を倍増させた、と攻撃。トランプ氏が大統領になったあかつきには、「強硬で賢い交渉」を進め、不均衡を是正するとぶち上げた。
1月20日の就任後、トランプ大統領は韓国に対して、目立った攻撃的な発言をしていない。
だが、いつ牙をむくか分からない不気味さを常にはらむ。市場関係者らが一つのハードルと考えるのは、米財務省が貿易相手国の為替政策を分析して4月に発表する、半期に一度の「為替報告書」だ。トランプ大統領の意向に沿い、財務省は、韓国をウォン安誘導の「為替操作国」に認定するのだろうか−。
実は2月に、あながち「ない」とも言い切れないことを示唆する分析記事が欧米メディアに登場した。2月13日付の英フィナンシャル・タイムズだ。電子版によると、韓国の貿易黒字は対国内総生産(GDP)比で8%に上り、中国や日本の「3%」より大きいと指摘。近年の政策動向をみると、中国や日本より、むしろ韓国が為替介入をしていることが「明らか」と言い切ったのだ。