

首相の毎日を追いかける
「首相番記者」として。
私は4年間の大阪・編集局経済部での勤務を経て、首相官邸の記者クラブに詰める首相の番記者として、注意深く官邸の動きをチェックしています。首相のもとに誰が訪れ、どのくらいの時間、何を話したのか。もっともその内容を首相から直接聞くことはなかなか難しいため、会談の相手、たとえば自民党幹部などが官邸を退出する際にエントランスホールでつかまえ、コメントを取っています。また、首相が学校や病院などの施設視察、イベントや会合への出席などで官邸から出かける際は、ピッタリ後をついていき、その様子をしっかりと取材。記事にするための裏付けが不十分と感じた時は、首相と会談した閣僚、政治家、官僚、財界人、有識者などを自宅や職場で待ち構えて「夜回り」「朝回り」を繰り返します。日本の最高権力者のメッセージや行動、考えをそのままでは表に出てこない部分も含めて掘り下げて取材し、読者に伝えることが、私たち政治記者の役割のひとつです。
政策に強い記者となって
事実の真相をより深く掘り起こしていきたい。
私が取材・執筆で大切にしていることは、社是でもある「中正公平」を貫くことです。社会的地位や有名無名で判断してしまい、本質を見失うことのないよう常に自問自答しています。そして「現場主義」を忘れないこと。政治部の取材は国の方向性を決める政策や予算、外交・安保など「大きな話」に触れる機会が多く、ともすると国民の生活実感とかい離した感覚に陥ることもあります。しかし政策の先には必ず国民の生活という「現場」が存在します。消費増税ひとつ取り上げてみても、実際には駆け込み需要の反動に苦心する経営者や、家計への負担を軽くするため外食を減らす消費者がいます。こうした現場への影響を踏まえて取材・執筆を行わなければ、政策の良し悪しは語れませんし、記事に厚みを持たせることもできません。せっかく日経の政治記者になったのだから、経済や金融などの政策にも強い記者になって、他紙とは違う切り口から政治家の懐に食い込んでいきたい。世の中にはきっと私が書かなければ明らかにならない事柄があるはず。そうした記事を書いて読者に考える材料を提供し、世論を喚起できる記者になりたいと思っています。

- 2010年入社
- 大阪・編集局経済部
- 2014年
- 東京・編集局政治部





