イスラエル代表のベンチにいる謎のおじさんは勝利を呼ぶおじさんだった
2017/03/15
イスラエルベンチの謎マスコット
イスラエル代表のベンチを覗くと、謎の等身大のおじさんに驚くはめになる。
日本でも、ソフトバンクがお父さん犬、オリックスがバファローズポンタ、というようにぬいぐるみをベンチに置く球団があるが、イスラエルのベンチにいる彼はお父さんやポンタとは違って人間そのものな分、見るとぎょっとする。
いったい彼は何者なのだろうか。
The Mensch on a Bench
あのおじさんは、メンシュという。
イスラエル代表のマスコットキャラクターというわけではなく、「The Mensch on a Bench」という絵本の主人公だ。
ユダヤ教の父親が、子供たちにユダヤの伝統を教えるために作った話 「The Mensch on a Bench」 の主人公が、メンシュ(Mensch)である。
Menschとはイディッシュ語(ユダヤドイツ語)で、尊敬すべき人柄の素晴らしい人といった意味なのだそうだ。
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なぜメンシュがここにいるのか
メンシュがイスラエル代表の一員となった理由
メンシュは、2016年9月にアメリカのブルックリンで行われたWBC2017の予選からイスラエル代表の一員となった。
彼を呼んだのは外野手、コディ・デッカー。
デッカーは言った。「何かが足りない...。我々には、ジョブーが必要だ」
「メジャーリーグ」という1989年に公開された映画を知っているだろうか?
この映画に出てくるブードゥー教信者の選手が、ロッカーに飾っていた神の名が「ジョブー」だ。
映画の中では、バラバラだったチームメイトが一つにまとまる過程で、象徴的な使われ方をしている。
イスラエル代表も、ユダヤ系の家系にある以外は、年齢も所属チームも実力もバラバラだ。
チームが一つにまとまるために「ジョブー」が必要だとデッカーは言った。
そして、メンシュが、アマゾンの倉庫からトラックで運ばれ、チームに合流することとなった。
大きくなったメンシュ
当初、メンシュは30cmほどの大きさだった。
映画メジャーリーグで、ジョブーが祭壇に祀られ供え物が置かれていたように、メンシュも布で飾られ、ユダヤのワインが供えられた。
冗談で始めたはずが、イスラエル代表は予選にて快進撃を遂げる。
そして、イスラエル代表として初めて予選を突破し、本選に進むことが決まった。
下記のサイトに、メンシュを持って喜ぶデッカーの写真がある。
そして、メンシュがこの快進撃を支えていると語るデッカーは、韓国に等身大のメンシュを持ち込んだ。
The Mensch on the Bench exists and will be traveling to Seoul, Korea, with Team Israel and Cody @Decker6 for first round of @WBCBaseball. pic.twitter.com/HuKCVL7lXC
— Barry M. Bloom (@Boomskie) 2017年2月20日
デッカーはメンシュについて、こう語っている。
全てのチームがそれぞれのジョブーを必要とし、彼が我々のジョブーなのだ。
そして、韓国でも、歴史的な初勝利を含め3連勝し、更なる快進撃となった。
日本にやってきた
ついにメンシュは日本にやってきた。
メンシュはイスラエル野球連盟のインタビューでキムチに相当面食らった様子を見せているが、日本についてどう考えているのだろうか。
デッカーは、こうも語る。
「我々はメンシュを見るとき、自分たちが何の元に集まっているかを思い出すんだ。」
チームを一つにまとめる象徴、メンシュ。
イスラエルは選手個々の実力は高くはないものの、団結力を武器にここまで勝ち星を重ねてきた。
果たしてメンシュは、二次ラウンド最強の相手、日本戦に向けて、さらなる力を発揮するのだろうか。
ちなみに、アメリカでは、メンシュが幸運を呼ぶアイテムとして、注目を集めているらしい。
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